社会


単一民族社会だった韓国ですが、20世紀末以降は外国人労働者や外国人学生などが急激に増加しています。2018年11月に実施された人口住宅総調査によると、韓国に居住する外国人住民は165万人で総人口の3.2%を占め、このうち中国系国籍の外国人が46.0%を占めていることが分かりました。



Foreign Nationals Residing in South Korea (Statistics Korea, 2017)



最近では、国際結婚による「多文化家庭」が急増しており、国際結婚で生 まれた多文化家庭は33万9千世帯にのぼります。政府は、外国人が積極的に社会活動を行えるよう担当部署を設置し、特に結婚移住者のための多文化家族支援法を制定しました。この法律に基づいて、2020年現在、全国に228の多文化家族支援センターが運営されています。ここでは、韓国生活に適応しやすくするための韓国語教育や心理相談プログラムをはじめ、結婚移民者の母国の伝統 文化体験イベントや、セイルセンターなどの就職支援機関と連携した就職支援 プログラムを運営しています。
多様な外国文化が流入すると、考え方の違いからいろいろな社会問題が生 じるため、韓国政府は異質な外国文化の重要性を認識し、様々な対策を講じて います。多文化村が観光名所となるようサポートすることは、そのうちの一つ です。

代表的な外国文化エリアとして、仁川(インチョン)広域市中区(チュング)善 隣洞(ソンリンドン)にあるチャイナタウンが挙げられます。この地域は、19世 紀後半の近代化の過程で中国と距離が近い利点を生かし、主に商いのために華 僑が定着したことから、その歴史が始まりました。最近では、中国との交流の 中心地の役割を担い、地域の歴史性と文化性が再認識され、新しい文化と観光 の名所として関心を集めています。

京畿道(キョンギド)安山市(アンサンシ)檀園区(タノング)元谷洞(ウォンゴク ドン)には、「多文化村特区」があります。中国、インド、パキスタンなどから 来た外国人住民は、ここで各国の特産物を購入できます。

ソウル市龍山区(ヨンサング)二村洞(イチョンドン)には日本人村が、龍山区 梨泰院洞(イテウォンドン)のモスク周辺にはムスリム村があります。また、ソ ウル市瑞草区(ソチョグ)盤浦洞(パンポドン)のソレマウルにはフランス人村、東 大門区(トンデムング)往十里(ワンシムニ)にはベトナムタウン、鍾路区(チョンノ グ)昌信洞(チャンシンドン)にはネパールタウンが形成されています。

ソウル市は、2013年に多文化村共同体活性化事業を推進し、外国人密集地 域の代表である永登浦区(ヨンドゥンポグ)大林(テリム)2洞をモデル事業地に選 定し支援しました。2018年3月には「タドゥリム文化複合センター」が開館し ました。


政府省庁と地方自治体には、多くの多文化出身公務員が勤務しています。 また、タレントとしても、様々な文化的背景を持った外国系の韓国人が活躍し ています。今後、彼らの活躍は、多様な文化が共存できる社会の雰囲気作りに 大きな助けとなり、さらに社会統合にも大きく貢献してくれるものと期待されています。