雪岳山の観光では、東海岸の非武装地帯(DMZ)内にある高城(コソン)統一 展望台と東海岸観光も訪れるのが普通です。
錦江(クムガン)と栄山江(ヨンサンガン)は穀倉地帯の湖南(ホナム)平野を流 れ、稲作に重要な役割を果たしています。この他にも臨津江(イムジンガン)、 万頃江(マンギョンガン)、蟾津江(ソムジンガン)などの大きな川が各地域の平 野に豊かな水をもたらしてくれます。
済州島(チェジュド)
済州島は韓国最大の島で、韓半島の南に位置します。東西が約73km、南北が 31kmの楕円形で、耽羅(タムナ)時代からの歴史が受け継がれ、独特で豊かな 民俗文化が大切に残されています。
1960年代以降は、みかんやデコポンなどの特産物が本格的に栽培され始 め、最近では中国、日本から訪れる外国人観光客に人気の国際リゾート地と して脚光を浴びています。2006年には国際自由貿易地帯を目指し、済州特別 自治道が発足しました。首脳会談をはじめ、各種の国際会議も頻繁に開かれ ています。
火山活動で作られた済州島は島全体が「火山博物館」と言えるほど多様で 独特な火山地形を誇り、地面の上に大小368個のオルム(小規模火山)が、地面 の下には160以上の溶岩洞窟が島全体に散在しています。このような済州島な らではの自然的価値によって2002年の生物圏保存地域指定を皮切りに、2007年 には世界自然遺産に登録され、2010年には世界地質公園の認証を受けました。 2016年には済州の海女文化が人類無形文化遺産に登録されました。済州島は 世界中の人々が楽しめる観光地としてはもちろん、保護すべき「自然と文化 資産の宝島」として、大きな魅力があります。
済州島観光の白眉は漢拏山です。漢拏山は標高1,950mの休火山で、韓国 で最も高い山です。高度によって1,800余種もの高山植物が茂り、植生の変化 がはっきり分かります。
山のほとんどが火山岩の玄武岩からなり、南側は傾斜が急ですが、北側は 緩やかです。頂上には火山噴火口の白鹿潭(ペンノクタム)があります。
済州島で見逃せない探訪地として城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)が 挙げられます。城山日出峰は、高さ182mの火山噴出口で島の東側にありま す。大きな皿状の平らな噴火口には葦が茂り、絶景を成しています。上から 見下ろすと円形競技場のようにも見えます。噴火口の周辺には岩峰が屏風の ように広がり、巨大な城や王冠を彷彿とさせます。
城山日出峰は天然記念物に指定されており、初日の出でも有名です。 2.5kmの龍泉(ヨンチョン)洞窟は石灰洞窟と溶岩洞窟の特徴を併せ持つ世界的 に希少な洞窟で、済州市旧左邑(クジャウプ)月汀里(ウォルチョンリ)に位置し ます。また、狹才(ヒョプジェ)と表善(ピョソン)にも石灰洞窟があります。コ ッチャワルは火山の噴火により噴出された溶岩が大小の岩塊に分割されて形 成されたでこぼこした独特の地形です。世界でも珍しく熱帯の北方限界植物 と寒帯の南方限界植物が共存しています。原生林が鬱蒼と茂り、済州島の肺 と呼ばれることもあります。
中文(チュンムン)観光団地は、西帰浦(ソグィポ)の南海岸に造成された観 光団地です。海水浴場やゴルフ場、乗馬場、狩り場など様々なレジャースポ ーツ施設があり、上・中・下の3段で構成された天帝淵(チョンジェヨン)瀑布 と、柱状の崖をなす柱状節理の地形も見どころです。2012年7月には東洋最 大規模の水族館アクアプラネットが城山邑(ソンサンウプ)ソプチコジ路にオー プンしました。
済州島の海岸を歩いて一周するオルレ(散策路)も見逃せないコースです。 海路を灯す灯台では無料で宿泊体験ができます。昔から済州島は石、風、女 が多い三多島(サムダド)と呼ばれました。石が多いのは火山活動によるもので す。風に飛ばされないよう家ごとに石垣を積み、畑も低めの石垣で囲みまし た。女性が多いというのは海女をはじめとする女性の働きが目立つという意 味です。
済州の特産物の中では「手のひらサボテン(百年草)」が有名です。世界中 の1万種類を超えるサボテンの中でも、最も優れた品種に挙げられます。激し い潮風と劣悪な環境でも100年を生きるということから「百年草」とも呼ばれ ます。火山活動で生じた玄武岩を削って作った「トルハルバン」も記憶に残 る観光商品です。済州島の南に10kmほど離れた位置にある馬羅島(マラド)は 韓国最南端の島で、西南に149km離れた海上には離於島(イオド)海洋科学基 地があります。
閑麗水道(ハンリョスド)
全羅南道 麗水(ヨス)から慶尚南道 閑山島(ハンサンド)に至る120kmの距離の南 海岸沿岸水路を指す閑麗水道は、閑山島と麗水の頭文字を取って付けられた 名前です。澄んだ藍色の海と大小の島々、くねくねと広がる海岸線、そして 長い年数にわたって自然に形成された奇妙な形の岩が描く景色で有名です。
また、様々な動植物が生息する重要な海洋生態系の宝庫として保存価値が あり、1968年に海上国立公園に指定されました。
2012年に世界博覧会が開催された麗水がこの水路の出発点であり終着点 で、特に椿の森がうっそうとした麗水の梧桐島(オドンド)一帯には、細かい 砂で有名な海水浴場がたくさんあります。閑麗水道は美しい景色とともに、 1592年の壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の時に敵を壊滅した李舜臣(イ・スンシン) 将軍の遺跡が残るリアルな歴史の現場でもあります。
全体の面積の76%が海上である閑麗水道は、海と島、陸地が織りなす見事な 地形景観に優れた韓国を代表する自然観光地です。2013年2月に開通した「李舜 臣大橋」と、陸と南海(ナメ)島を結ぶ南海大橋も美しいことで有名です。