新羅人が思い描いた仏教の理想世界を形象化した仏国寺(プルグクサ)と、優れ た彫刻や独創的な建築で高く評価される石窟庵(ソックラム)をはじめ、東洋最 古の天文施設である瞻星台(チョムソンデ)、新羅仏教文化の中心地である皇龍 寺址(ファンニョンサジ)と芬皇寺(プンファンサ)など、新羅の歴史と文化の息 吹が感じられる遺跡が数多く残っています。
特に、慶州平野一帯には当時の王族や貴族の墓である巨大な古墳が多く残 されています。何層もの白樺の皮に空を飛ぶ馬を描いた絵が発見されたこと から名付けられた天馬塚(チョンマチョン)、新羅王朝の華やかな工芸技術を伺 い知ることができる金冠が出土した金冠塚(クムグァンチョン)をはじめ、いく つもの古墳が群れをなす光景は壮観です。
現存する最大の鐘「聖徳(ソンドク)大王神鐘」は、韓国の銅鐘だけに見ら れる独特の構造である音の響きを大きくする音筒と鐘頭部から胴体、下部の 縁部分まで彫刻が施された華やかな模様が特徴です。
慶州市の南に位置する南山(ナムサン)は都を守る要塞の役割を担った場所 で、数多くの仏教遺跡が残っています。新羅時代の崇山信仰、岩石信仰に関 連する仏教文化が南山に集中しており、南山のあちこちには複数の仏像が見 られます。
両地域は朝鮮時代の上流階級を指す両班が集まって住んでいた村であり、 代表的な氏族村で、朝鮮時代の支配層に特有の伝統生活空間と景観を現在ま で維持している文化村です。
どちらも韓国の代表的な村の立地条件となる背山臨水の形をしており、住 宅の機能をもつ宗家と住居、憩いの場となった精舎とあずまや、教育が行わ れていた書院と書堂、そして周辺の農地や自然景観まで揃っています。
安東河回村は17世紀から豊山柳(プンサンリュウ)氏が家屋や書院を建て、 代々暮らしてきた集成村で、現在瓦ぶきと藁ぶきを含む450軒の家屋が保存さ れています。洛東江の水路が村全体を包み込むように流れ川の周辺には鬱蒼 とした松の森があり、この風景は壮観です。
村の安寧と豊作を祈る別神グッ行事の中で、仮面劇公演の「河回別神(ハフ ェビョルシン)クッタルノリ」と、洛東江辺で楽しんでいた民俗遊び「船遊綱 火遊び」も伝えられています。
慶州から兄山江(ヒョンサンガン)沿いの16km北東に位置する良洞村は、朝 鮮時代500余年の歴史を持つ伝統文化村です。
160軒の瓦ぶきと藁ぶきの家が昔の姿そのままに伝えられている良洞村 は、山の渓谷に沿って広がる景観、自然と調和をなし長い伝統を持つ家屋、 両班階層を代表する資料や儒教思想、慣習を有し、重要な価値を持つ村とし て評価されています。