子どもには最高のものを与えたいのが親心だろう。下着一枚にしても、生地の素材や触感、縫い目の処理など、細かいところにまで目を光らせる。

特に、韓国の母親たちは、最高のベビー用品を手に入れようと、インターネットやSNSなどで情報を入手し、絶えず比較・分析する。そこまで手間をかけて厳選するのは海外でも有名だ。韓国のベビー用品市場は、世界の同業界のテストマーケットに浮上し、高額の輸入ブランドをはじめ、韓国内外の多くの企業が先を競って韓国市場に進出し、消費者のニーズの把握と製品研究に取り組んでいる。





消費者のベビー用品を見る目が鋭く厳しい韓国で、長きにわたって支持されてきたのが「アガバン＆カンパニー」だ。

「幼児に必要なものが全て揃っているところ」という意の「アガバン」は、1980年に設立された韓国最初のベビー用品専門メーカーだ。同社は、「便利で衛生的なベビー用品の国産化」を目標に、新生児用上着やベビー服、ベビーアウター、布団、おむつ、哺乳ビン、ベビーカー、カーシートなど、幼児に関する全てのものを消費者が一度に購入できるよう、乳幼児向け用品を自社生産している。

「幸せな出産、賢い子育て」の経営哲学でベビー用品を生産するアガバンは、輸入品が多かったベビー用品の国産化に取り組み、ベビー用品業界としては初めて1983年にQマークを取得し、国内のベビー用品メーカーのトップランナーに浮上した。同社は、1985年の「輸出の日」に輸出市場開拓功労賞の大統領賞を受賞したのをはじめ、様々な輸出功労賞を受賞した。また、1995年には米国の幼児・児童専門誌「アーンショーズ」が選定するベストブランドに選ばれるなど、韓国内外の幼児・児童専門機関で品質の高さが認められ、ベビー用品業界No.１のブランドとしての地位を確立した。





アガバンは、韓国のベビー用品業界において単一ブランド1位の座を守り続けるアガバンの元祖ブランド「アガバン(agabang)」の他にも、「エトワ(ettoi)」や「エル(ELLE)」「ディア・ベビー(Dear Baby)」「ナップ(NAP)」「イヤイヤオ(2ya2yao)」など、低価格ブランドから高額ブランドまで幅広く揃えている。2007年に商号を「アガバン＆カンパニー」に変更し、ベビー用品やベビー服の他にも、トータルベビー用品専門店「ネクストマム」やマタニティウェア「デスティネーション・マタニティ」など多様なブランドを有するファッション・ホールディングズに成長した。

2009年には韓国原子力技術院との共同出資により、アトピーなど敏感肌を持つ幼児向けの化粧品「ピュト(Putto)」を発売した。この製品は、特許出願物質である天然の薬用抽出物が100％使用されており、アトピー性皮膚炎を緩和し、かゆみを最大50％まで抑える効果が認められている。2013年に韓国内で100億ウォンを売り上げ、海外約10カ国にも輸出されている。

江南区駅三洞に立地するアガバンのトータル幼児用品売場「ネクストマム」では、アガバンの人気を目の当たりにできる。マネージャーのキム・ジンスンさんは、「中国やベトナムといったアジア圏だけでなく、世界のいろいろな国の人たちが店舗を訪れている。彼らはアウターなどのベビー服だけでなく、ベビーカーや幼児向けおもちゃなど様々なベビー用品に関心を示している」と話す。






アガバンの品質は、海外でも高く評価されている。同社の売り上げ全体の約25％は海外輸出によるものだ。同社は、1985年の米国を皮切りに、中国と中東地域に現地法人を運営しており、モンゴルやインドネシアなど約10カ国の海外消費者を取り込んでいる。

中国では現在、約100の売場が運営されている。アガバンは輸出のシナジー効果を高めようと、昨年12月に上海事務所を販売専門法人「上海アガバン貿易有限公司」に、烟台のアガバン複式有限公司を生産専門法人にそれぞれ転換した。

米国では、コストコやウォルマートといった大手スーパーに現地ブランドとODM(製造者開発生産)の形でアガバンの商品が販売されている。アガバンやエトワといった自社ブランドも、米国で認知度を高めている。

モンゴル、ベトナム、インドネシアでは、「アガバン」と「アガバン・ギャラリー」の売場がフランチャイズ形態で運営されている。モンゴル・ウランバートルには4つの売場が、ベトナム・ハノイには2つの売場があるほか、ハノイとホーチミンでそれぞれ1つずつ年内オープンを控えている。インドネシア・ジャカルタでも2つの売場のオープンが計画されている。中東地域では、ドバイ基盤のランドマーク 社(世界8カ国485売場運営総合流通会社)とODM方式でベビー服が販売されている。ロシアでは、モスクワやサンクトペテルブルクなどに5つの売場が年内にオープンする予定だ。


アガバンのイ・グンジュン広報チーム長は、「最近の母親はベビー用品を見る目が厳しく、海外の商品を購入するのも珍しくなくなった。そんななか、幼児の体型に合わせ、製品の質を高めたアガバンの蓄積された経験と技術力は、海外のベビー用品よりも優れているという好評を受けている」と語る。また、「特に、有機能製品が好まれる最近の傾向を反映させ、オーガニックの原糸を使用したところ、大変好評だ。中国をはじめ海外の消費者もアガバンの品質に太鼓判を押している」と話す。

アガバンのウォン・ミョンジュ衣料品デザイン室長は、「ありふれたデザインは二度と使わない。韓国製品とアガバンに対する海外の消費者の信頼と応えるべく取り組んでいる」と強調する。

記事：ユン・ソジョン記者
写真：チョン・ハン記者
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