第19回釜山国際映画祭(BIFF)のオープニング作品は台湾の「軍中楽園」(Paradise in Service)が、クロージング作品は香港の「ギャングスターの給料日」(Gangster Pay Day)がそれぞれ選ばれた。10月2日に幕を上げる今回の映画祭には79ヶ国による314本の作品が上映される。
台湾のニウ・チェンザー(Chen-zer Doze Niu)監督の「軍中楽園」は、監督が1960~70年代に軍隊生活をした父親世代の思い出を振り返って作った作品だ。この映画は中国本土と最も近い 金門島(きんもんとう)に転入した新兵パオが「軍中楽園」と呼ばれる公娼を管理することになるところから始まる。あらすじは「愛」と「共感」についてのものであるが、中国と台湾の離散家族の悲しみや性道徳、抑圧的な軍隊文化など、当時の台湾社会をよく表している。香港のリ・ボチョン(Lee Bo Cheung)監督の「ギャングスターの給料日」は、従来のギャングスター映画とは違う一面を見せる作品で、アクション映画がもつ伝統的な悲壮美を省略し、その代わりコメディとラブストリーが適切に加わっている。
「アジア映画の窓」セクションには既存の映画強国の他、ミャンマー、イラク、パキスタン、バングラデシュなどの秀作も招待された。ベトナム出身ミヌンニュエンボ(Nghiem-Minh Nguyen-vo)監督の「2030」、バングラデシュ出身モストパ・パルキ(Mostofa Sarwar Farooki)監督の「蟻の話」(Ant Story)、ネパール出身パスカル・ドゥンガナ(Bhaskar Dhungana)監督の「スンタルリ」(Suntali)、イラク出身バティン・ゴパディ(Batin Ghobadi)監督の「マルダン」(Mardan)などが紹介される。「韓国映画の今日-パノラマ」セクションでは今年ベニス映画祭に共に招待されたホン・サンス監督の「自由の丘」(Hill of Freedom)、キム・ギドク監督の「一対一」(One on One)、ロカルノ映画祭の招待作品であるジャン・リュル監督の「慶州」(Gyeongju)とカンヌ映画祭の招待作品であるチョン・ジュリ監督の「トヒヤ」(A Girl at My Door)などが上映される。