文化

2014.10.29

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文学批評家や小説家、詩人、閣僚などを経験したイ・オリョンさんが執筆した自身初の小説『将軍のヒゲ(The General’s Beard)』は、純文学に推理小説の要素を加えた枠物語だ。

이어령 작가의 소설 ‘장군의 수염’ 영문판.

作家のイさんの小説『将軍のヒゲ』の英語版



物語は、カメラマンのキム・チョルンの謎の死から始まる。殺人の容疑がかけられた主人公の「私」は、キムの死因を究明しようと、キムの足取りを辿りながら周りの人物を調査する。主人公は、キムが死亡する前に小説「将軍のヒゲ」を執筆していたことを探り出す。

キムが執筆していた「将軍のヒゲ」は、クーデターに成功した将軍の真似をして国民全員がヒゲを生やしているのに、一人だけヒゲを生やしていなかった主人公が社会からのけ者にされ、冷遇と圧力を受けるという内容だ。

主人公の「私」は、この小説を通じ、キムの特異な孤独感は幼年時代から形成されてきたもので、彼が画一化された近代社会から一定の距離を置きながら生きてきたことを発見する。しかし、あまりにも深く小説に深くのめり込み、キムは妄執と幻想に縛られ、小説と現実を混同していたのだ。主人公は、現実適応能力のなかったキムが最終的に自殺を選ぶしかなかったことを知る。

この作品は、1968年に映画として公開され、翌年1969年の第5回百想芸術大賞で作品賞、監督賞、音楽賞を、第7回大鐘賞で脚本賞を、第3回白馬賞で監督賞を受賞した。また、第4回シカゴ映画祭に出展された。

문화부 장관으로 활동했던 시기의 이어령 작가. (사진: 연합뉴스)

文化相を務めていた頃のイさん(写真提供:連合ニュース)



著者のイさんは、「『将軍のヒゲ』は、キューバ革命を起こしたカストロのヒゲからヒントを得た。西洋の様々な革命や韓国の軍事革命がもたらした慣習、または儒教の伝統などから疎外された人物を描きたかった」と語る。

また、「この小説に登場するキムは、戦争や政治、抑圧などに見られる画一主義を拒む人物、つまり全ての人が“イエス”というときに“ノー”といえる覚醒された人物」と説明する。

1934年に忠清南道牙山市で出生したイさんは、1956年にソウル大学国文科を卒業し、1969年に同大学大学院を卒業する。1955年にソウル大学文理学部の学報で「李箱論」を発表して以来、朝鮮日報や韓国日報、中央日報、京郷新聞など主要新聞の論説委員として精力的に活動する。

1967年から京幾高校の教諭、壇国大学選任講師、梨花女子大学教授を務め、1990年~1991年に初代文化相を務めた。

彼の作品には、『デジログ』や『土の中に、あの風の中に』『知性の小道』『今日を生きる世代』『お茶一杯の思想』などのほか、評論集『抵抗の文学』や『通行禁止時代の文学』『若さの誕生』などがある。

コリアネット ソン・ジエ記者
jiae5853@korea.kr