朝鮮時代の済州島の姿は、「耽羅巡歴図(Governor's Official Tours in Tamna)室」で観賞できる。国宝に指定された41幅の彩色画帳「耽羅巡歴図」は、1702年に済州牧師兼兵馬水軍節制使として済州島に赴任してきたイ・ヒョンサン(1653~1733)が済州島各地を巡視(inspection tour)した様子と一年間にわたって挙行した催しを簡単な説明とともに残した記録画集だ。絵には、牧師一行が助川城に入って軍事訓練と馬を点検し、金寧の溶岩窟や正房滝などを見回った後、ミカンの木の森で風楽の宴を開いている様子や日課を終えた後に済州牧場に戻って各地域の老人たちを招いて宴を開いている様子などが詳細に記録されている。「巡歴図」という名称の記録画は韓国では唯一のもので、当時の済州島の地形や役所、邑城、軍事施設、そして風物などについて知ることができ、済州島史の研究における貴重な資料と評価されている。