ひと

2014.11.11

「楽しく生きる好奇心旺盛なマルチ・アーティストと呼んでください」

「カイ(KAI)」という芸名で活動するチョン・ギヨル。彼はクラシックとポピュラー音楽を組み合わせた2枚のアルバムを発表したクロスオーバー歌手だ。

배우 카이 씨는 무대에 서서 자신의 모습을 보여주는 것은 가슴 뛰는 일이라고 말한다.

俳優のカイは、舞台で自分の姿を見てもらうことは胸がときめくことだという



彼はいわゆる「クラシックの正統コース」を歩んできた。ソウル芸術高校を首席で卒業し、ソウル大学声楽科で学士号、修士号、博士号を取得した。

2002年のシューベルトコンクールで入賞、2007年の東亜コンクール声楽部門で3位、2009年の大阪国際コンクールで3位など、華々しい受賞経歴の持ち主だ。

米国のユニバーサル・ミュージック・グループと2009年に専属契約を結び、ワンマンコンサートやシングルCD発売、ソプラノ歌手チョ・スミさんとの全国ツアーなど、本格的な活動を開始した。

専攻は声楽だが、彼の音楽に対する好奇心はそれだけにとどまらなかった。彼は現在、ミュージカルの舞台に出演し、様々な音楽人生を楽しんでいる。

뮤지컬 ‘두 도시 이야기’에서 열연하고 있는 배우 카이 씨. (사진제공: 오디뮤지컬컴퍼니)

ミュージカル「二つの都市の物語」で熱演する俳優のカイ(写真提供:ODミュージカル・カンパニー)



初めて出演したミュージカル「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」をはじめ、2012年には「二つの都市の物語」に出演、現在は「マリー・アントワネット」で歌手オク・チュヒョンと共演している。

ミュージカル「マリー・アントワネット」は、18世紀のフランス革命でギロチンにかけられるマリー・アントワネット王妃のドラマチックな生涯を描いている。この作品でカイは、悲運の王妃マリー・アントワネットを一途に愛するアクセル・フェルセン伯爵を熱演している。

先日は、一般の人も気軽に手軽に聴けるアルバム「カイ・イン・イタリア(KAI in Italy)」をリリースした。イタリアをテーマにした今回のアルバムは、「O Sole Mio(私の太陽)」や「Non Ti Scordar Di Me(忘れな草)」「Fenesta Che Lucivi(輝ける君が窓は早や暗し)」など、イタリアの曲やイタリア人歌手アンドレア・ボチェッリの「Time to Say Goodbye」、映画「ノッティングヒルの恋人」の挿入曲など、馴染みの曲で構成されている。

また、KBSラジオFM第1「世界の全ての音楽、カイです」のDJを務め、一般のリスナーにクラシックを含む世界のいろいろな音楽を紹介している。

彼は、「今この瞬間が幸せでなければ、これからも幸せにはなれないと思う。世界の全ての音楽、そしてカイの音楽で、笑顔になれる小さな幸せを伝えたい」と語る。

*カイ(KAI)へのインタビュー

‐「カイ(KAI)」という名前の意味は。また、その名前にしたわけは。


本名の「チョン・ギヨル」からきている。デビューしたときの名前は「ギョル」だった。ユニバーサル・ミュージックからクロスオーバー歌手として活動しないかというオファーを受けたとき、心構えを新たにしようと思い、名前を変えることにした。最初は「ギヨル」のイニシャルをとって「KY」にしようかと思ったが、チョ・スミさんのパートナーとして韓国8都市ツアーを巡回しているとき、チョさんに「カイ(KAI)」にしたらといわれた。世界的な歌手を目指そうと、「カイ」というどんな人でも覚えやすい名前にした。この名前にしたら、海外のファンもスタッフもよく覚えてくれるようになった。


‐いわゆるクラシックの正統コース(芸術高校、ソウル大学音楽学部)を歩んできたにもかかわらず、クロスオーバーに領域を広げようと思ったきっかけは。

常に楽しいことを追い求めてきた。人よりもイケメンだからというわけではないが、学生時代からいろいろ楽しいことを追い求めていた。大学生のときにハナロマートのCMで声楽家が必要だといわれ、CMに出演したこともある。大きな夢を抱いてその仕事に取り組んだというよりも、何か違ったことを経験してみたかった。今もいろいろなジャンルに挑戦しているのは、クラシック音楽にこれ以上ビジョンがないとか、古臭い音楽だと思っているからではない。クラシックは、常に自分の音楽の基本であり、個人的に一番好きなジャンルだ。クラシック関連のラジオのDJを務めているし、クラシックコンサートも頻繁に観に行くほど、クラシックは私の音楽のベースだ。より楽しくて新しいもの、そして人があまりしないことを追い求めているうちにここまで来た。

‐いろいろなジャンルのアルバムを出している。先日リリースした「カイ・イン・イタリア(KAI in Italy)」の収録曲はどうやって選んだか。また、その曲を通してファンに伝えたかったメッセージとは。

これまで2枚のアルバムを出した。その合間にサウンドトラック・アルバムとシングルも発表してきた。また、KBSラジオFM第1「世界の全ての音楽、カイです」のDJを数年にわたって務めている。この番組を担当する前は、ほとんどクラシック音楽しか聴かなかったが、番組を担当して世界のあらゆる音楽を聴いていたら、音楽のいろいろな魅力を感じられるようになった。どうすれば、親しみやすくて、エキゾチックで、バラエティに富んだ音楽を伝えることができるだろうかとかなり悩んだ。そんなとき、学生時代によく読んでいたイ・ウォンボク教授の漫画「遠い国、近い国」を思い出した。

その本を通じて手軽に外国の魅力に触れることができたように、一般の人に外国の曲を気軽に聴いてもらって、具体的に知ってもらうことのできる音楽があればいいなと思った。それで、まずどの国を旅しようかと考えたら、声楽の国イタリアが良いと思った。イタリアの曲の中でも、中高生のときによく歌った曲から普段なかなか触れる機会の少ない曲まで、いろいろな曲をわかりやすく解釈してみた。このアルバムを出したいといったとき、スタッフや放送関係者らになぜこんな金にならないアルバムを制作するのかといわれた。CD制作の目的の一つが収益であることはわかる。でも、決してお金だけが目的ではない。

私は日頃から多くの人に平和を与えるミュージシャンになりたいと思っていた。私自身が音楽を通じて心と体が癒されたので、そういう音楽の必要性を実感している。作家には本があり、画家には絵があるように、私の心を語るツールが音楽だ。通勤するとき、帰宅するとき、車の中で聴き、笑顔になれるそんな音楽を届けたかった。また、ある人にとっては、大切な人への贈り物にしたいアルバム。贈る人、受け取る人、双方の品格と人格を高められるそんな音楽を作りたかった。

自分は声楽家なのか、それとも俳優なのかと混乱したこともあった。一番大事なことは、「私」という人間がしたい音楽、聞かせたい声、「カイ」という人間の考えと正直な気持ちを表現することが正解ではないかと思った。その最初の結論が今回のアルバムだと思う。

배우 카이 씨는 내년 2월 1일까지 서울 잠실 샤롯데씨어터에서 열리는 뮤지컬 ‘마리 앙투아네트’에서 남자 주인공 악셀 페르젠 백작을 열연하고 있다. (사진제공: EMK뮤지컬컴퍼니)

俳優のカイは、来年2月1日までソウル蚕室洞のシャロッテ・シアターで上演されるミュージカル「マリー・アントワネット」で、男主人公アクセル・フェルセン伯爵を熱演している(写真提供:EMKミュージカル・カンパニー)



‐ミュージカル「マリー・アントワネット」で演じる役のキャラクターは。

この作品は、童心を刺激する純情漫画のようだ。今回の作品で私は、マリー・アントワネット王妃を一途に慕うアクセル・フェルセン伯爵を演じている。アクセル・ フェルセン伯爵は、社会を統治する最高権力層にある王妃を慕う感情を表現することのできない、素直になれない男、人の目を気にして自分のカラーを見つけられないでいる男だ。これまではマリー・アントワネット王妃の贅沢と間違った選択にだけスポットが当てられてきたが、この作品ではなぜ彼女がそうするしかなかったのか、彼女の人間的な面貌に焦点が合わせられている。

‐オペラにもミュージカルにも出演しているが、それぞれの魅力と違う点は。

伝統的なクラシック音楽はもう死んだとよく言われるが、私はそう思わない。クラシック音楽は、今も静かに生き続けるジャンルだと思う。数百年、あるいは数千年以上前から伝えられてきた音楽をするときは、まるでタイムマシンに乗ってタイムスリップしているような感覚を覚える。私の胸がときめく瞬間だ。

ミュージカルは、クラシックと多少違い、「なかったものを新たに生み出すジャンル」だと思う。全く違う新しいジャンルというよりも、伝統音楽の延長だと思う。古典音楽を継承して再現するのがオペラとクラシックとするなら、ミュージカルは新しく創作するものだといえる。

‐これまで一番記憶に残っている舞台と役柄は。

特に記憶に残っている舞台はない。一つひとつの舞台がどれもとても大切だ。アルバムはそれほどヒットしなかったし、実力のない歌手ともいわれた。でも、そうした一連の過程を通じて成熟できたと思う。そうした過程があったからこそ、どんな舞台に立っても嬉しいし感謝している。これまでは、主に弁護士や貴族、裕福な家庭の御曹司などの役を演じてきた。あまりにも役柄がワンパターンではないかと周りの人にいわれたりもしたが、私はとにかく感謝の気持ちでいっぱいだった。そうした役柄が必要だというときに私に声をかけてくれて、私を見に来てくれて感謝している。舞台ではないが、長く続けているラジオのDJも一日一日がとても楽しく、これまでに多くのことを学んだ。

‐声楽家として、ミュージカル歌手として、俳優として変わり続けられる原動力とは。

好奇心だ。どうすればスターになれるかと考えたことはない。もし、あの人と共演すれば、あの舞台に立てばどんなことを学べるかという強い好奇心が働く。そうした好奇心を刺激する役柄は、いくらお金をもらっても、いくら時間をかけても逃したくない。多額の出演料や人がうやましがるようなシナリオであっても、私の好奇心をくすぐらなければ私は動かない。私の好奇心を刺激するものであれば、狂ったようにひたすら取り組む。

‐ 自分自身をどんなアーティストだと思うか。

その答はまだ見つかっていない。私の音楽を敢えて区分する必要はないと思う。音楽はどれも有機的で、自然に多くの人を喜ばせ、常に新しいことに挑戦するのが音楽だ。新たに生まれるジャンルもあれば、消えていくジャンルもある。音楽を区分することは意味がないと思う。

한 무대, 한 무대 모두가 소중하고 값진 경험이라고 말하는 배우 카이 씨.

一つひとつの舞台がどれも大切で、貴重な経験だという俳優のカイ



‐あなたの音楽人生の恩師は。

私の身近にいる人、仲間たち、みんな恩師だ。後輩やスタッフに謙虚な態度で接することのできない人は、いくら能力があっても美しくない。そんな人を反面教師とし、自分の行動には気をつけている。いつも手帳を持ち歩き、自分が感じたことをメモするよう心がけている。自分の身近にいる全ての人、新人俳優であろうと先輩であろうと見習うべきことはある。

‐今後、ぜひ挑戦したいことは。

音楽に携わる者として2つの夢があった。一つは、クリスマス・アルバムを出すことだ。個人的にクリスマスがとても好きだ。毎年クリスマスが待ち遠しく、考えただけでワクワクする。たとえ恋人と一緒に過ごせなくても、クリスマスにしか感じられない大きな愛の感情がある。昨年のクリスマスは自費でシングルを制作し、リリースした。自分の領域でアルバムを出してみたかった。クリスマスに多くの人が気軽に聴けるキャロル・アルバムを完成させることが一つ目の夢だ。

もう一つは、デュエット・アルバムを出すことだ。トニー・ベネットら私の好きな歌手は、ある程度年齢がいってから世界的な歌手とデュエット・アルバムを出している。私にはない魅力を持つ誰かとコラボレーション・アルバムを出し、二人がひとつになる音楽を多くの人に聴いてほしい。

‐あなたにとって音楽とは。

私にとって音楽は「私自身」だ。色をつけて良いものを見せようとする道具としての音楽ではなく、私が今持っている人生観、愛、社会を見つめる視線、そうしたものをありのままに表現するのが私の音楽だと思う。いろいろな人に会ったり、話をしたり、行動したりすることが私の音楽だと思うので、常に気をつけている。私にとって音楽は、今この瞬間の私自身だ。

카이씨가 코리아넷 독자들에게 보내는 메시지와 친필사인.

カイがコリアネットの読者のために書いたメッセージとサイン



記事:コリアネット ソン・ジエ記者
写真提供:EA&C
jiae5853@korea.kr