「私どもの南海郡は、大きくも華やかでもありませんが、小さな宝がたくさんある町です」
南海郡のパク・ヨンイル郡守は、南海生まれ、南海育ちの「南海っ子」だ。
パク郡守は、自身の母校である南海高校と南海海城中学校で教鞭をとり、2006年から昨年まで南海郡水産協同組合長として地域発展のために尽力してきた。そして昨年の選挙で南海郡の暮らしを総括する郡守に当選した。

南海郡のことに関しては隅々まで誰よりもよく知っていると自負するパク郡守は、南海郡は「宝島」だという。
パク郡守は、「どこからでも青々とした海を眺められる南海は、かつて“花田”と呼ばれるほど、春になると全ての山と川が花に覆われた。美しい南海を気軽に楽しんでもらおうと、南海の海岸線をつなぐ“宝島800里の道”を造成中」と語る。そして、「地名からしても、“南海”といえば思い浮かぶのは海だ。海を背景にした美しい景色、そしてテーマと特色のある“宝島弥助カタクチイワシ祭り”や“ドイツ村ビール祭り”“李舜臣殉国祭典”など様々なイベントを楽しめる」と故郷自慢は止まらない。



パク郡守に南海郡のあれこれについて話を聞いた。

－郡守として南海郡を自慢するとしたら。

朝鮮時代前期、4代目書道家だった「自庵」キム・グ(金絿、1488～1534)先生が南海に島流しにされたときに書いた「花田別曲」の中で、南海は「一点の神仙が住む島(一点仙島)」と歌いました。

青々とした海を背景に大小79の島からなる海岸が絶景をなす南海は、島全体が観光地だといっても過言ではないほど数多くの観光名所があります。また、南海は韓国の海岸国立公園「閑麗水道」の中心に位置しています。

私が郡守ですが、南海郡民の一人として誇り高き南海郡民とともに南海で暮らしていることをとてもありがたく思うとともに、無限の誇りとプライドを感じています。

－今後30年を見据え、南海郡が推進する発展戦略とは。

南海郡の今後30年の戦略は、経済や農漁業、観光、福祉など全分野を網羅していますが、最も基本となるのは経済だと思います。

南海経済の中核をなす農水産業の基礎をしっかりと築き、実際に所得増大につなげることが重要だと思います。同時に、観光産業、そして農水産業と観光産業の融合、新成長エンジン事業の確保も発展戦略に見据えています。

中でも、農水産業と観光業の融合の最も代表的な事業は、「宝島800里の道」の造成です。南海郡は、800里(約314.18km)の道を造成し、各邑面の拠点地域と観光名所に展望台や農水畜産物直売場及び加工品販売場、ご当地グルメコーナーなどを設置し、地域住民の実質的な所得につなげる計画です。

最も重要だといえる新成長エンジン事業の確保では、南海郡がこれまで推進してきたIGCC(石炭ガス化復号発電)再生可能エネルギー産業団地が早期に建設されるよう全力を尽くすとともに、産業団地を造成して製造業誘致を推進する計画です。

－南海郡は、お話にあったIGCC再生可能エネルギー産業団地など、環境産業の活性化に向けても積極的に取り組んでいるそうだが、外国資本の投資にも期待しているか。

南海郡は、持続可能な未来発展に向けた環境産業の誘致に向けて積極的に取り組んできました。
ポスコ建設とMOUを締結して推進するIGCCは、海洋生態系の破壊が懸念される海洋温排水が全く排出されず、大気汚染物質を最大87％削減することができます。また、プラズマガス化による廃資源を活用した電力生産も推進中です。

IGCC発電とプラズマガス化発電は、いくつかの先進国でしか活用されていない先端技術で、関連産業の誘致はもとより、プラント建設と運営技術のノウハウを海外に輸出することも可能なため、外国資本の誘致も見込めます。

－南海郡は、中国江西省豊城市をはじめ海外との交流協力を積極的に行っているそうだが、力点を置いている分野とは。

海外の地方自治体との交流協力において何よりも重要なのは、両国の都市をつなぐ特別な媒介を通じて持続可能でしっかりした友好関係を維持することだと思います。特に、歴史的事実と文化的コンセンサスは相手の地方自治体に特別な印象を与え、友好交流の当為性を与えると思います。

中国江西省豊城市との交流協力もそうした観点から行われました。南海郡の観音浦湾は、丁酉再乱で「忠武公」李舜臣将軍とともに明の鄧子龍将軍が戦死した場所です。鄧子龍将軍の故郷で墓地のある豊城市との友好交流は、両都市の歴史的・文化的コンセンサスが土台になっています。

観音浦湾の他にも、南海郡には壬辰倭乱(文禄・慶長の役)での明の勝戦記念碑「張良相東征磨崖碑」や始皇帝徐福に関する不老長生の遺物である「徐市過此」、ドイツに派遣されて韓国に戻ってきた鉱夫や看護師らが定着したドイツ村など、海外の地方自治体と交流協力の媒介となる多くの歴史・文化コンテンツが多くあります。



－南海郡の発展のために最も力を入れて取り組んでいる観光・文化事業とは。

最も力を入れて推進している事業は、「宝島800里の道」の造成です。

「宝島800里の道」は、南海バレ道や循環道路などと連携し、南海郡全域を徒歩や自転車、車両など様々な交通手段で見回れる観光ルートです。800里の道には各邑面の拠点地域と観光名所に展望台や探訪コース、特産物販売所など様々な施設が設置されています。また、南海郡を通り過ぎるだけの観光地ではなく、休養もできる「とどまる観光地」にしていく計画です。

－南海郡を初めて訪れる人、特に外国人が南海郡を感じることのできる場所、また南海郡でぜひ食べてほしい料理または特産品は。

南海郡は、「宝島」と呼ばれるほど自然環境に恵まれ、数多くの観光資源を有する町です。中でも、代表的なのは、錦山と菩提庵、ドイツ村、加川ダレンイ村です。

錦山と菩提庵は朝鮮を開創した「太祖」李成圭が朝鮮建国という夢を叶えようと祈った場所で、ドイツ村は最近話題の映画「国際市場」とドラマ「ファンタスティック・カップル」の舞台になった場所で、毎年ここで開かれる「ドイツ村ビール祭り」は2年連続で慶尚南道の代表イベントに選定されたことがあります。また、加川ダレンイ村は、CNNが選定する「韓国旅行に行く際にぜひ立ち寄りたい場所」に選ばれたことがあります。

南海郡の特産物はニンニクやほうれん草、柚子などで、韓国のグルメたちを誘惑する料理はカタクチイワシの包みご飯やカタクチイワシの刺身、ナマズのスープなどです。

－南海郡で思い出深い場所は。

雪里です。雪里の景色は、カップルで行って何も言わずただ手を握って眺めていたい美しさです。特に、雪里海水浴場は、外国人200～300人がやって来て独自のイベントを開くほど美しく楽しい場所です。

－南海郡を訪れる計画を立てている外国人観光客に一言。

南海郡は、きれいな海を背景に、汚染されていない秀麗な自然景観と観光客のための多彩で豊かな観光インフラが造成された「宝島」です。一歩一歩動くたびに目の前に広がる絶景と所々に隠された興味深い物語をいっぱいに秘めた「宝島」南海郡が皆様をお待ちしています。

記事：コリアネット　チョン・ハン記者
hanjeon@korea.kr