科学技術

2014.11.18

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韓国の研究チームが酸素を利用したエコ火力発電技術を開発した。この技術は、発電設備と製造コストを大幅に削減でき、効率的で環境にやさしい火力発電技術として注目を集めている。

石炭火力発電は、充実したインフラと手頃な発電コストが強みで、世界の電力生産の60%を占めているが、温室効果ガスの排出など環境汚染問題が指摘されてきた。そのため世界各国は、酸素を利用したエコ火力発電技術の開発に力を入れてきた。「石炭ガス化複合発電(IGCC)」や「純酸素燃焼(Oxyfuel)」技術などがこれに該当する。これらの技術は、酸素の大規模供給と製造コスト削減がカギだった。

韓国エネルギー技術研究院のユ・ジヘン氏率いる研究チームが開発した酸素分離膜技術は、セリウム酸化物複合体(CeO2)を利用することで安定的かつ経済的に酸素を分離させることができる。研究チームは、安定的に酸素イオンを伝達する物質である「セリウム酸化物」と電気伝導率の高い金属酸化物「ペロブスカイト(Perovskite)」を混合し、手頃な価格の素材を使用して厚さ30㎛(マイクロメートル)のセラミック酸素分離膜を開発、世界最高の透過性能の実現に成功した。

この酸素分離膜を利用すれば、酸素分離設備コストを最大で48%、酸素製造コストを最大で68%まで削減できる。また、化学的安定性も従来のセラミック酸素分離膜に比べ10倍以上高めることができる。

これまでの酸素分離は、沸騰点の違いを利用して空気中で酸素を分離させる深冷分離法が利用されてきたが、大規模な工場が必要なうえ、空気を圧縮する過程で大量の電気を消耗するため発電効率が悪いというデメリットがあった。

복합체 분리막 조성에 따른 전기전도도 및 미세구조

複合体分離膜の形成に伴う電気伝導率と微細構造


유지행 박사팀이 개발한 복합체 산소분리막(KIER,빨간점)과 및 세계수준의 투과성능 (BSCFZ, 파란점) 비교

ユ氏の研究チームが開発した複合体酸素分離膜(KIER、赤の点)と世界レベルの透過性能(BSCFZ、青い点)の比較


친환경 화력발전 기술 연구를 주도한 유지행 박사

エコ火力発電技術の研究を主導したユ・ジヘン氏


研究を主導したユ氏は、「この技術を発電プラントや製鉄産業などに適用させれば、発電効率を高めることができる。米国などで利用されている同種の技術による酸素分離性能をはるかに凌ぐ世界最高レベルで、分離膜市場で今後優位に立つことが見込まれる」と期待している。

この研究結果は、今年2月に英国王立化学会が発刊した材料分野の学術誌『Journal of Materials Chemistry A』の表紙論文と『Chemistry of Materials』に掲載された。

친환경 화력발전 기술 연구논문이 게재된 영국 왕립화학회 발간 재료분야 학술지 'Journal of Materials Chemistry A’

エコ火力発電技術の研究論文が掲載された英国王立化学会発刊の材料分野学術誌『Journal of Materials Chemistry A』


コリアネット ユン・ソジョン記者
arete@korea.kr