ペロブスカイト太陽電池を研究する朴南奎教授(真ん中)=科学技術情報通信部
[コ・ヒョンチョン]
世界は今、「気候変動」という危機にさらされている。このような中、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーが注目を集めている。その中でも、高い潜在力を秘めているのが太陽電池である。
1954年、米国のベル研究所で初めて開発された第1世代のシリコン太陽電池は、第2世代の薄膜太陽電池を経て次世代太陽電池へ発展を重ねている。中でもペロブスカイト太陽電池は、変換効率の発展が特に目覚ましい。光を電気に変える効率である変換効率を25%まで引き上げるのに、第1世代のシリコン太陽電池は約50年かかった。しかし、ペロブスカイト太陽電池は10年しかかからなかったのだ。そして、このような技術発展の中心には、研究に向けた韓国の科学者たちの努力があった。
成均館(ソンギュングァン)大学の朴南圭(パク・ナムギュ)教授は、2012年に世界初の「固体型ペロブスカイト太陽電池」を開発した。ペロブスカイトは液体溶媒で溶解するため、太陽電池への活用が難しかった。しかし、朴教授は液体電解質を固体型有機物質に代替し、ぺロブスカイト太陽電池の変換効率を9.7%まで高めることに成功した。まさに革新そのものであった。
朴教授は世界的にも著名な科学者である。昨年5月にはスウェーデン王立科学翰林院が主管するノーベルシンポジウムに招待され、今年7月には大韓民国最高科学技術人賞を受賞した。
現在、商用化されている太陽光発電設備の90%以上は、第1世代のシリコン太陽電池だ。光伝導がよく、耐久性もよいがコストが高いという短所を抱える。ポリシリコンとインゴットを1000℃以上の鉱炉で溶かすためには、高価な装備が必要だからだ。一方、ペロブスカイト太陽電池はコストが安い。工程温度が100℃程度であるため、軽量化と柔軟化も可能だ。
朴教授は、「ペロブスカイトの変換効率は理論的に30%だ」と述べながら、「現在の技術レベルをさらに引き上げるための新しい物質、工程および素子に関する研究を進めている」と話した。つまり、ペロブスカイトがどのような構造である時に光を最も効率よく吸収し、電気が最も効率よく通じるのかを研究しているのだ。さらに、「太陽電池は数十年以上使用できなければならないため、長期安全性を高めるために努力している」と付け加えた。
朴教授は、社会が必要とするプラットフォーム物質の開発を目指しているという。そのためには幅広い基礎知識や膨大な量の実験が必要になるだろう。朴教授は「基礎知識を深く知ることも重要だが、幅広く知ることも非常に重要だ。知っている分だけ見えてくるからだ」と強調した。
今までのようにこれから先も、韓国の科学者たちは、世界の科学者たちと交流を広げていくだろう。グローバルな交流を通してまた新しいアイデアにつながることを願う。地球を守る再生可能エネルギーへの転換に拍車を欠けてほしいものだ。
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