2018南北首脳会談 - 意義・背景



緊張と危機が続いている韓半島に、本格的な交渉と対話の場が設けられた。
1泊2日の訪朝日程を終えて帰国した特使団の鄭義溶団長は、予想外の訪朝結果を発表した。

特使団の
鄭義溶団長の
訪朝結果
(2018.3.6.)

  • 1

    韓国と北朝鮮(南北)は、4月末に板門店の「平和の家」で「2018南北首脳会談」を開催することにし、そのために具体的な実務協議を進めることにした。

  • 2

    南北は、軍事的緊張緩和と緊密な協議のために首脳間のホットラインを設置し、「2018南北首脳会談」以前に最初の通話を行うことにした。

  • 3

    北側は、韓半島の非核化に向けた意志を示し、北朝鮮に対する軍事的な脅威が解消され、北朝鮮の体制の安全が保証されるならば、核を保有する理由がないという点を明確にした。

  • 4

    北側は、非核化問題に関する協議や米朝関係の正常化のために米国と虚心坦懐な対話をする用意があることを表明した。

  • 5

    対話が続く間、北側は追加の核実験および弾道ミサイルの試験発射など戦略挑発を再開しないことを明確にした。同時に北側は、核兵器はもちろん通常兵器を南側に向けて使用しないことを確約した。

  • 6

    北側は、平昌オリンピックによって醸成された南北間の和解と協力という良い雰囲気を持続させるため、南側のテコンドー演武団と芸術団の平壌訪問を招請した。

「2018南北首脳会談」の意義
11年ぶりの出会い、新たな始まり

今回の会談は、韓半島の安全保障が大きな危機に直面している中、北朝鮮に対して対話の場に出るよう呼び掛けてきた文在寅大統領と韓国政府の一貫した努力と、米国や周辺国など国際社会の全面的な支持が生み出した貴重な機会である。2000年と2007年に続き、11年ぶりに実現する今回の会談は、板門店の韓国側施設「平和の家」で開かれ、北朝鮮の最高指導者が初めて韓国の地を踏むことになる。それだけに、両首脳が会談に集中できるように準備を進めていく方針である。

板門店、
分断の象徴から平和の象徴へ 
ソウルから52km、平壌から147km、開城工業団地から8km離れたところにある板門店は、1951年に国際連合軍と朝鮮人民軍との休戦会談が開催されたことで、対外的に知られるようになった。1953年に停戦協定がここで締結され、その後も軍事停戦委員会の会談が開かれた。1971年からは、南北赤十字会談の予備接触をはじめ、計360回以上の南北会談がここで開かれた。

板門店周辺は南・北・国連軍が警備する共同警備区域(JSA)だが、1976年に「斧蛮行事件(ポプラ事件)」が起きてからは、区域内にも軍事境界線を引いて南北の人員を隔離している。「自由の家」と「板門閣」の間にある高さ5cm、幅50cmのコンクリートの帯が軍事境界線で、分断の悲劇を物語る象徴となっている。

南北間の合意により板門店が「2018南北首脳会談」の開催場所と決まり、分断の歴史が始まったところで平和の芽を吹かせることができるか、世界の注目が集まっている。

「2018南北首脳会談」は、韓半島の非核化と平和定着、そして南北関係の発展に向けた「足場」を築く場になる見通しだ。南北が長い間断絶し、関係が悪化してきたことから、南北の首脳が会って虚心坦懐な対話を交わし、信頼を形成することもまた、今回の会談の重要な目標であり、意義である。

  特に、今回の南北首脳会談は、米朝首脳会談につながる見通しである。南北首脳会談と米朝首脳会談は、韓半島の非核化と恒久的な平和定着、南北共同繁栄への道を開ける貴重な機会となるだろう。この2つの会談が成功すれば、国際社会が望む北朝鮮の核問題の平和的解決と韓半島の平和定着という歴史的なマイルストーンとなるはずである。

  韓国政府は、こうしたことを踏まえて、2018年4月27日の南北首脳会談の成功によって韓半島の平和に向けた強固な足場を築くことができるよう、周辺国を含む国際社会との緊密な協力のもと、万全の準備を整えていく方針である。 

 

3月6日、文在寅大統領に訪朝結果を報告する鄭義溶国家安保室長

「2018南北首脳会談」の議題
韓半島の非核化・平和定着、南北関係の発展

  • 韓国政府は今回の首脳会談で「韓半島の非核化」「韓半島の平和定着」「南北関係発展」について包括的に議論する予定である。政府は、この3つの議題の均衡を維持しながら取り上げるとともに、南北間の合意を確実に履行するための方策も検討している。

    まず、韓半島の非核化について、今回の南北首脳会談で北朝鮮の非核化への意志を再確認し、これをもとに今後北朝鮮の核問題の平和的解決に向けた実質的な進展を遂げるための土台が築かれるものと期待される。韓国政府は、相次いで開催される予定の南北首脳会談と米朝首脳会談の成功により、北朝鮮が非核化という戦略的決断を下し、本格的な非核化措置を取っていくようにするため、最善の努力を尽くす方針である。

  • 韓半島の平和定着については、南北間の軍事的緊張の緩和と信頼構築のための措置を含め、韓半島の恒久的な平和定着に関する様々な事案が議論されるとみられる。

    持続可能な南北関係の発展に関しては、7·4南北共同声明、南北基本合意書、6·15共同宣言、10·4首脳宣言など、南北間のこれまでの合意を継承・発展させていくとの考え方のもと、対話と交流・協力、人道問題など南北関係全般について議論することになるとみられる。 

    韓国政府は何よりも、今回の南北首脳会談が南北間、そして米朝間の信頼を回復する第一歩となるよう、全力を尽くしていく。