科学技術

2014.12.17

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高齢化が進むにつれて増えつつある病気の一つであるアルツハイマー病は、認知症の種類の中で6~8割を占める。しかし、いまだ根本的な治療法は確立されておらず、アルツハイマー病の患者は症状が悪化すれば結局、死に至る。

韓国科学技術研究院(KIST)の研究チームは15日、イカ、牡蠣、海老などに多く含まれるタウリンが、アルツハイマー病の治療に効果があると明らかにした。タウリンは抗酸化作用や疲労回復、血圧の安定に効果があるとされる物質である。

同研究チームは、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドベータたんぱく質と、様々な神経伝達物資との相互作用を調べた。脳内に高濃度に存在するタウリンが、アミロイドベータを直接調節するという研究結果を導き出した。この結果に基づき、アルツハイマー病のモデルマウスに、飲料水に溶かしたタウリン30ミリグラムを3カ月間毎日飲ませた後、脳機能の変化を観察した。

迷路試験(Y-maze test)と受動的回避試験(passive avoidance test)で、タウリンを摂取したマウスの認知機能が正常な状態に回復することが確認された。さらに、アルツハイマー病の症状である大脳皮質の炎症が抑えられたほか、脳の海馬から分泌されるアミロイドベータの量も減り、記憶力に深く関与するグリア細胞の活性化が促進されることが確認された。

알츠하이머 병이 유도된 실험 쥐에 타우린을 투약한 결과 인지 기능 행동 시험에서 기억력과 학습능력이 정상 수준으로 회복됐다.

アルツハイマー病のモデルマウスにタウリンを投与した結果、認知機能の行動テストで記憶力と学習能力が正常な状態に戻った。



注目すべき特徴は、タウリンの脳機能改善効果がアルツハイマー病において選択的に表れるということだ。従来の治療薬物が正常のマウスでは脳機能の異常を来たしたのに対し、タウリンは正常のマウスで脳機能の異常を来たすことはなかった。タウリンの持つもう一つの特性は、タウリンが脳の血管壁を透過しやすいため、口から摂取しても脳にうまく吸収されることだ。別途の複雑な投与過程を経る必要がなく、飲料水などの食物からタウリンを摂っても効果が高い。

タウリンは人体に無害であるほか、すでに疲労回復や抗酸化作用、中枢神経の発達などの効能があるとされており、様々なサプリメントにも含まれている。肝臓疾患や心臓疾患の治療薬としても使われている。

韓国人にとって日常的にタウリンを最も手軽に摂取できる食べ物は、スルメである。スルメの表面に付着している白い粉がタウリンだ。イイダコやイカを食べると「頭が良くなる」といわれるのも、タウリン成分のためだ。タウリンは牡蠣にも豊富に含まれているが、牡蠣100グラム当たりのタウリン含有量はなんと1130ミリグラムだ。

타우린에 의한 기억 담당 뇌부위(해마)의 신경교세포 활성화를 보여주는 사진. 정상 쥐(왼쪽)와 타우린을 투여한 쥐.

タウリンによって記憶に関与する脳部位(海馬)のグリア細胞の活性化が促進されることを示す写真。正常のマウス(左)とタウリンを投与したマウス(右)。



同研究チームは、今回の結果を基に、タウリンの化学構造を変えて薬の効果を高めた新物質を合成し、アルツハイマー病の根本的な治療が可能な新薬を開発する計画だ。

今回の研究は、KIST脳科学研究所のフラッグシップ・マーケティング事業の一環として進められたもので、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)と韓国の科学技術連合大学院大学(UST)のインターンシップ事業の後押しで行われた。研究結果は、国際学術誌「サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)」13日付で、「水に溶かしたタウリンを摂取したアルツハイマー病のモデルマウス、記憶力と学習能力が回復する( Taurine in drinking water recovers learning and memory in the adult APP/PS1 mouse model of Alzheimer's disease )」というタイトルで掲載された。

同研究院の関係者は、「アルツハイマー病におけるタウリンの治療効能を新薬開発に応用すれば、身体に優しく、副作用もない優れた効能をもつ治療薬の開発が期待できると思います。研究結果を基に、アルツハイマー病の病理学的な原因解明や根本的な治療薬の開発研究に一層拍車がかかりそうです」と語る。

コリアネット イム・ジェオン記者
写真提供:韓国科学技術研究院
jun2@korea.kr