文化

2017.01.11

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広々としたスペースにきれいなインテリアで顧客を迎える鐘路書籍の「広場」はテーマ別に分けられた複数のゾーンで多様な書籍を紹介している

広々としたスペースにきれいなインテリアで顧客を迎える鐘路書籍の「広場」はテーマ別に分けられた複数のゾーンで多様な書籍を紹介している



かつて「書籍のメッカ」と呼ばれていた鐘路(チョンノ)に新しい触れ合いの場所が登場した。

昨年の12月23日、鐘路タワーにオープンした「鐘路書籍」。温かみのある照明と長い読書テーブル、壁面寄りの1人向けの読書空間にカフェから漂ってくるコーヒーの香りまで、まるでブックカフェのような雰囲気のここは興味深い歴史をもっている。

1907年にソウルの鐘路2街で営業を始めた旧鐘路書籍は1世紀近くの間、「本との触れ合い」の場所鐘路を象徴していた。携帯電話やインターネットがなかった時代、韓国最大の書店に成長し文化空間でありながら待ち合わせ場所としても人気が高かった。しかし、2000年代に入りオンライン書店との競争が激化したことで2002年に閉店した。

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鐘路書籍に置かれている長い読書テーブルと壁面沿いに並んでいる書架、温かみが感じられる照明は本が読みやすい雰囲気をつくる

鐘路書籍に置かれている長い読書テーブルと壁面沿いに並んでいる書架、温かみが感じられる照明は本が読みやすい雰囲気をつくる



歴史の彼方へと消えた鐘路書籍が14年ぶりに再開店したきっかけは何だろうか。鐘路書籍・鐘路タワー店のパク・レプン店長は「旧鐘路書籍が韓国最初の書店で1960~80年代に知識の基盤を提供した書店だったとすれば、新しい鐘路書籍は知識提供のソースが多様化したこの時代に本を読んでコーヒーも飲める新しい触れ合いの場所、また文化的共感を形成する書店を目指している」と説明する。

開店して2週間ほどしか経っていないが、鐘路書籍は文化に触れ合える空間として少しずつ定着しつつある。釜山(プサン)から来た南星ナムソン小学校のキム・ヨンハン校長は「ソウルの教育関連書籍を調べるために書店に来てみた。以前の鐘路書籍にはソウルに来る度に訪問していた。ここには本を読む人も、勉強をする人もいて、本屋が現代人にとっての「癒しの空間」になったと感じる。釜山に帰って子供たちに本の大切さを教えてあげたい」と話した。

鐘路書籍・鐘路タワー店のパク・レプン店長は「知識提供のソースが多様化した今の時代に、新しい触れ合いの場所で文化的共感を形成する書店になることを目指している」と説明する

鐘路書籍・鐘路タワー店のパク・レプン店長は「知識提供のソースが多様化した今の時代に、新しい触れ合いの場所で文化的共感を形成する書店になることを目指している」と説明する



新しくなった鐘路書籍の特徴は「女性に配慮した書店」だという点だ。周辺の大型書店より規模は小さいものの、ここにある書籍は女性の好みを良く反映している。書店に入るとすぐ目に入る「広場」は職員たちが考えた様々なコンセプトに合わせて運営する空間で、6つの本棚が10代から60代までの女性のための書籍で埋まっている。鐘閣(チョンガク)駅で待ち合わせをして鐘路書籍に入ってみたという顧客のシン・ヘミ(28)さんは「フェミニズムが浮上している今、女性に関する書籍を紹介しているところが気に入った。これからはもう少し積極的な女性主義の書籍も一緒に並べてほしい」と述べた。

パク店長は「書店内の6万種10万冊に達する書籍のうち、女性にアピールできるような書籍とステディーセラーを中心に紹介している。広場に置かれた9つの大型本棚にはキュレーションを経てセレクトショップのような形で運営する計画。まだオープンして間もないので不備も多いが、職員たちと一緒に最大限の努力を払って店を整備している。これからも鐘路書籍を見守ってほしい」と話した。

コリアネット イ・ハナ記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
翻訳:イム・ユジン
hlee10@korea.kr