韓国人の食卓に欠かせないおかずといえば、多くの人がキムチを思い浮かべるだろう。そのキムチに匹敵するほど頻繁に登場するおかずがもう一つある。香ばしくてサクッとした食感の味付け海苔だ。海で採れた海苔を、ごま油と塩といったスパイスで味付けして焼いた韓国ならではのおかずだ。
最近、韓国海苔の人気が徐々に海外にも広がり、これを購入する外国人観光客を頻繁に見かけるようになった。外国人には、おかずとしてだけでなく、低カロリーでヘルシーな「海のお菓子」として親しまれている。
東元F&Bが伝統的な瓦と韓服の曲線をモチーフに発売を開始した「両班海苔」
韓国海苔の歴史は長く、約1800年前にまでさかのぼる。海苔が最初に登場する歴史文献は、『三国遺事』の延烏郞細烏女の伝説だ。延烏郞が海苔を採取しようと海に出たという記録がある。しかし、韓国海苔の海外輸出の歴史は、まだそれほど長くない。1989年に東元F&Bが業界で初めて伝統的な瓦と韓服の曲線をモチーフとした「両班海苔」を製造したのが歴史の始まりだ。
海苔は栄養分の豊富な食品だ。タンパク質の含有量が40%に上る高タンパク食品で、脂肪分はほとんどなく、繊維質、カリウム、ビタミンA、B、Cが満遍なく含まれている。それだけでなく、必須アミノ酸10種類中、タウリンやアラニンなど8種類が含まれており、生活習慣病の予防はもちろん、子どもたちの成長を支える重要な役割を果たしている。
香ばしくサクッとした食感の「両班海苔」は、おかずとしても酒のつまみとしても親しまれている
韓国海苔が健康食品として認識され、海外での販売が増加したことを受け、東元F&Bの戦略はより多様になった。日本人の好みを考慮して開発したこしょう味やプルコギ味、ニンニク味などの「両班海苔」は、日本の味付け海苔市場で約30%のシェアを占めるほど、日本の食卓ではお馴染みのおかずになった。また、東元F&Bはアサヒビールと提携し、キムチ味やわさび味の海苔を相次いで発売した。塩味のきいた新しいタイプの海苔は、酒のつまみとして日本人に親しまれ、ロシアやタイ、モンゴル、ベトナム、シンガポールなどへの輸出にもつながった。
海苔にご飯を巻いて食べる文化に慣れていない中国や東南アジア諸国向けの製品として、スナックタイプの「キミー(Kimmy)」が発売された。「キミー」は、おかずではないことを踏まえ、塩加減を抑え目にし、サクッとした食感を強化したのが特徴だ。続いて、2011年には米国とカナダ市場を中心に「海の野菜」を意味する「シー・ヴェジース(Sea Veggies)」が、オリジナル、ブラックペッパー、チリの3つの味で発売された。本来はおかずとして食べられるだけあって栄養価が高く、サクッとした食感と低カロリーで、子どもたちのおやつとして好評を得ている。これに伴い、米国の流通大手と「シー・ヴェジース」の販売契約が相次いで締結されている。特に、クロガー・グループ(Kroger Group)の約2700の売場とスーパーマーケット大手「ラルフ(Ralphs)」の約3000の売場では、今年初めから韓国海苔が販売されている。
(上)東南アジア市場で発売された「キミー」、(下)米国とカナダで販売されている海の野菜「シー・ヴェジース」(写真提供:東元F&B)
東元F&Bの「両班海苔」の強みについて、同社の関係者は、「清浄な海域で育った高級な原草を適期に買い上げることが両班海苔の味の秘訣」と強調する。実際に、同社品質管理部には原草の品質を鑑別する「原草鑑別師」がいる。海苔の収獲が終わった時期に各工場を巡回して海苔の品質を確認・管理するのが役目だ。同社の関係者は、「生産過程で二度焼きして香ばしさを加える方式とともに、金属探知機や重量選別機、異物選別機などを駆使した品質管理システムを最大限に活用している」と話す。
東元F&Bの「両班海苔」は、韓国の輸出品の中で世界市場シェアベスト3の製品で、産業通商資源省が選定する「世界一流商品100」に10年以上連続で選ばれている。
詳細は、東元F&Bのホームページをご覧ください。
http://www.dongwonfnb.co.kr/english/index.htm コリアネット イ・スンア記者
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