2000年の秋、まるで一編の「童話」のようなストーリーが多くの人の心を打った。
それは2000年9月18日から11月7日まで放送された放送局KBSドラマ『秋の童話』だ。男女の恋と別れ、痛みを描いた『秋の童話』は全16話で、放送当時40%を越える視聴率を記録し、視聴者を泣かせた。
2000年9月18日から11月7日まで放送されたKBSドラマ『秋の童話』には(左から)俳優ソン・スンホン(ジュンソ役)、ソン・ヘギョ(ウンソ)、ウォンビン(テソク)が出演した
裕福な家庭に育った主人公ウンソとジュンソは仲の良い兄妹。中学生になったある日、乗りなれない自転車でウンソが車にはねられる事故に遭う。入院して血液検査を受けたウンソは両親と血液型が違うことに気付く。ウンソが生まれた時、看護師が席を外した隙にジュンソが妹の名札を他の赤ん坊と入れ替えてしまい、運命が変わってしまったのだった。あいにく血のつながった妹はウンソと同じクラスのクッパ屋の娘、シネだということが分かる。
それぞれ元の位置に戻ったウンソとシネ。月日が経ち、画家になったジュンソは江原道(カンウォンド)の束草(ソクチョ)に小さなアトリエを設けるが、そこで偶然近所のホテルで働いていたウンソに再会する。すでに婚約していたジュンソは再会したウンソに恋をする。ところが、ジュンソの親友でありウンソが働くホテルオーナーの息子、ハン・テソクもウンソに恋をする。
ウンソは14年間血のつながった兄だと思っていたジュンソと愛し合うようになるが、白血病にかかり悲劇が始まる。二人は最後の思い出として海へと旅立つがウンソはジュンソにおぶわれたままこの世を去る。葬儀の後、ジュンソはウンソとの思い出の場所を歩くが走ってきたトラックにはねられ、ウンソの後を追う。
ドラマ『秋の童話』でウンソ(ソン・ヘギョ、左)がジュンソ(ソン・スンホン)におぶわれたままこの世を去る場面
ドラマ『秋の童話』にはジュンソ役のソン・スンホン、ウンソ役のソン・ヘギョなど2000年度のトップスターたちが出演することで、放送前から大きな話題となった。彫刻を思わすソン・スンホンとウォンビン(ハン・テソク役)の容姿は多くの女性の心を掴んだ。特に、ウォンビンはソン・ヘギョの心を得ることに失敗すると、「愛?ふざけるな。カネで買ってやるよ。いくらならいいんだ」という名セリフを残した。この一行のセリフは当時新人俳優だった彼に主演並の人気をもたらした。
『秋の童話』は美しい季節と恋の物語を描いたユン・ソクホ監督の四季シリーズ、「冬のソナタ」「春のワルツ」「夏の香り」をスタートさせた初の作品だった。「詩のように美しい叙情的な映像表現に主力した」というユン・ソクホ監督の言葉通り、このドラマには秋の叙情的な雰囲気を醸し出す風景がたっぷり盛り込まれている。刺激的な都市を背景にする代わり、江原道の白い蕎麦畑、青く澄んだ東海(トンへ)、秋を彩る雪岳山(ソラクサン)、静かな藁の家、小さな村の廃校などが画面を埋め尽くす。
ドラマの中でジュンソのアトリエだった江原道襄陽(ヤンヤン)郡の廃校で主人公の2人が窓を拭く場面
その後『秋の童話』は中国、台湾、日本、インドネシアなど、アジア地域を中心に放送された。当時、ソン・ヘギョが「(自分にとって)韓流の始まりは『秋の童話』から」と言ったくらい海外でも大きく人気を博した。日本、中国では放送が始まると視聴率が40%を越えるほどの人気ぶりをみせた。
台湾でも『秋の童話』が大ヒット。2001年『秋天的童話』と題し、放送わずか6回で各種ドラマランキング1位を席巻した。海外ドラマとしては初めての1位だった。近々中国で映画としてもリメイクされる予定だ。
『秋の童話』の中、江原道束草市「アバイ村(アバイマウル)」
アバイ村に入るケッペ(渡し舟)の上ですれ違うソン・ヘギョ(ウンソ役)とソン・スンホン(ジュンソ役)
ドラマ『秋の童話』でウンソの家として登場した小さな店
アバイ村の中の小さな店がヒロイン・ウンソの実家として登場する。江原道束草市青湖(チョンホ)洞の青草(チョンチョ)湖周辺の砂浜に位置するこの村は、韓国戦争(1950~53)以降、北韓咸鏡(ハムギョン)道から来た避難民たちが暮らしはじめ、「アボジ(父親)」を意味する方言「アバイ」と呼ばれるようになった。古民家と心温まる咸鏡道の方言がそのまま残っている。『秋の童話』が大ヒットしてから中国、日本など海外からの観光客が増えている。村のあらゆる場所で『秋の童話』という看板を見かけることができる。
束草ケッペ乗り場でケッペに乗ると、約5分でアバイ村に着く
ウンソの実家以外にも青草湖の湖辺や束草海水浴場などアバイ村で主要場面が撮影された。村に入るために乗る小さな渡し舟「ケッペ」がこの地域の名物。この「ケッペ」は束草市内とアバイ村を繋ぐ船で、2本の長いロープをそれぞれ一艘ずつ固定して引っ張るという手動方式で運行されている。ケッペの上で黄色い傘をさしたウンソとジュンソがすれ違う場面は『秋の童話』の名場面として取り上げられる。
※ アクセス: 束草高速バスターミナルで一般バス9、9-1、7、7-1番に乗り,ケッペ乗り場で降りる。ケッペに乗って移動。ケッペの料金は一人当たり200ウォン(片道)。 |
コリアネット ソン・ジエ記者
写真:KBS、アバイ村公式ホームページ、連合ニュース
翻訳:イ・ヨンジュ
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