文化

2016.12.08

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韓国の様子がぎっしり詰まった小説が2編ある。
1編は米国作家、もう1編はフランス作家の作品である。作家は異なるが、両作品はストーリーの背景が韓国で主人公も韓国人だという共通点がある。

巨済島(コジェド)が背景となるティム・フィッツ(米、46)の小説『<rb>焼酎</rb>ソジュクラブ』と江原道・束草(ソクチョ)が舞台のエリザ・シュア・デュサパン(仏、24)の小説『束草での冬』の2作だ。

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米国作家のティム・フィッツ(写真)が今年11月に発表した小説『焼酎クラブ』は巨済島を背景に韓国人家族の人生について語る



『焼酎クラブ』は巨済島のある家族の物語。
主人公は釜山(プサン)に暮らしながら英語で小説を書くホン・ウォノ。彼はある日兄からの電話を受け取り巨済島の両親のもとを訪れる。故郷ではアルコール中毒で浮気者の漁師の父とそんな夫の傍で生涯自分を犠牲にし、子供たちを育てるために優れた腕前で次々と料理を出し続ける母、そして主人公の小説で英語の教材を作ろうと事業を構想する妹とその夫のアメリカ人が登場する。

父の浮気がまたばれたことで離婚したいと母が家出をした状況で両親を仲直りさせようとする主人公は、父の願い通り一緒に独島(トクト)へと漁に出る。2人は巨済島の漁村から独島まで続く海を背景に朝から晩まで焼酎(韓国式焼酎)とマッコリを飲む。親子がお酒を飲む姿からは韓国特有の文化が窺える。そして疎通へとつながる「酒文化」に対する作家の視線は「マッコリ礼賛」へと続く。

「母は蒸したサツマイモを3つ入れる。そうするとマッコリの後味は一味違ったものになる。口の中からマッコリの味がなくなるころになって『俺はここにいるぞ』とサツマイモがひょっこり顔を出すのだ。じゃじゃーん!とまさにマジックに等しい。それにこのマッコリは胃もたれの特効薬だ。胃袋の緊張をほぐしてぴりぴりした食道の壁を鎮めるのに母の芋マッコリほどのものはない」

作家のマッコリへの思いは行動となって現れている。米フィラデルフィアに住む彼は酒粕を工面し、自ら醸したマッコリを飲んでいる。彼のマッコリに対する愛情は作中で主人公に自分のマッコリ製造法を語らせていることからもよく分かる。

「無骨で野暮な味が好みならすぐ飲んでも良いが、冷蔵庫に2日以上寝かしてから飲むと天上の味を楽しめる」

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韓国を背景にした米小説『焼酎クラブ』と仏小説『束草での冬』は最近韓国語版が発刊された



『束草での冬』には作家が自ら経験した束草の様子がそのまま描かれている。フランス人の父と韓国人の母の間に生まれた作家は小説の中の23歳の主人公を通じてハーフとして自分が経験したアイデンティティの混乱と6年前の冬に初めて訪れた束草について語る。

フランス人の父と韓国人の母の間に生まれた主人公は束草の侘しいペンションで働く。寒い冬のある日、ひらめきを求め故郷ノルマンディーに似た束草を訪れた中年のフランス人漫画家、ヤン・ケランがペンションに泊まる。まるで運命のように若い女性と中年男性の間に微妙な感情が芽生える。容姿のせいで周りの刺々しい視線を意識しながら生きてきた主人公にとってケランは「23年前に母を誘惑しておきながら跡形もなく姿を消したフランス人の父」を彷彿とさせる。

「『そこ(ノルマンディー)は束草のようだったわ』
ケランは答えなかった。彼が私のように束草を知ることは決してないだろう。束草に生まれず、冬を越さず、束草の匂いとタコを知らずして束草を知っているとは言えまい。その寂しさを知らずには決して」


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フランス人の父と韓国人の母の間に生まれた作家のエリザ・シュア・デュサパン(写真)は今年8月にフランス語の短編小説『束草での冬』を発表した。同作は江原道・束草を背景に若い女性と中年男性の間に芽生える微妙な感情を描写している



作家はフランスとスイスを行き来しながら育った。18歳だった2010年、母方の親戚に会いに韓国を訪れる。彼女は「父の故郷はフランス北西部のノルマンディー地域だが、束草を訪れた時ふとノルマンディーを思い出した。ノルマンディーは第2次世界大戦の激戦地だったし、束草は南北の軍事境界線にとても近い。両地域がそんな点でとても似ていると思い小説で扱うことにした」と束草を背景に選んだ理由を説明した。さらに「(韓国は)母の故国だが私も韓国人であると感じている。幼いころは100%フランス人でも韓国人でもないと思っていた。アイデンティティに混乱を生じ結局小説を書くことになった」と執筆の動機について明かした。

コリアネット ソン・ジエ記者
写真:ルーペ、ブックレシピ
翻訳:イ・スミン
jiae5853@korea.kr