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[ソウル=文・写真・動画 イ・ギョンミ]
ワンワン!
9月4日から10月25日まで、ソウルにある国立現代美術館(MMCA)ソウル館では、今までとは少し違う企画展が開かれた。人と愛犬が一緒に美術館に入場し、作品が鑑賞できる「みんなのための美術館、犬のための美術館(A Museum for All, a Museum for Dogs)」展。国立現代美術館に、補助犬以外の犬の出入りが可能になったのは、初めてのこと。
同企画展の趣旨は、家族と同じく大切な存在であるが、実際には公共の場に同行できない伴侶動物を美術館に招待することで、今の社会がどのくらい開かれているかや、他人に対する配慮などについて考えてみようということ。国内外の作家らの写真やオブジェ、映像など、28点の作品が披露された。
愛犬たちがどのように美術館を楽しんでいたのか、その現場を取材した。
国立現代美術館ソウル館の入り口
国立現代美術館は現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、入場人数を一定数に制限し、予約制を導入している。「みんなのための美術館、犬のための美術館」展に、愛犬と一緒に入場するには、一般の来館者とは別の予約が必要だった。
1回の入場は4チームまでと制限されているため、予約は開始後すぐに締め切られた。しかし、12日から、新型コロナウイルス感染症の防疫対策「社会的距離の確保」のレベルが、第1段階に引き下げられたことを受け、企画展の最後の週は1回あたり6匹まで入場が認められた。犬を飼わない人も同企画展への入場が可能となった。
展示室の案内表示板
美術館内で愛犬が入場できるのは、第7展示室や屋外の展示マダン(中庭)、美術館前のマダン(前庭)の3カ所。エレベーターをはじめ、美術館のところどころに、入場時の注意事項などが書かれた案内表示板が設置されていた。他の来館者の迷惑にならないよう、一般とは別に入り口が設けられていたが、案内表示板のおかげですぐに見つけることができた。
企画展が行われている展示室の入り口
入り口で、注意事項に関する説明を聞き、用意された愛犬用マナー袋を受け取った。また、「愛犬の出入り可能なスペースについて確認しましたか」「ケンカなどのトラブルが起こった場合に、飼い主がコントロールできなければ、利用を制限することもあります。同意しますか」といった内容が書かれた書類にサインしてから入場することができた。
愛犬が入れる第一番目の場所「展示マダン」
屋外の展示マダンには、ワラで作られた迷路のようなものがあった。室内の展示室に入る前、犬たちが匂いを嗅ぎ、排便しながら緊張を和らげるようにするスペース。ワンちゃんたちが自由に走り、飼い主はその様子を一生懸命にカメラで撮っていた。
犬たちは、展示マダンの片隅にあるキム・ヨンクァン作家の「知っておいて、私は大きくて、危なくない!(Beware, I Am Big and Non-dangerous!)」というタイトルの作品に近づいて、作品の匂いを嗅いだり、足でタッチしたりした。
第7展示室
第7展示室は、森と黄色・青色でいっぱいだった。犬たちに見えている世界には、鮮やかな赤や緑は存在せず、黄色と青色だけを識別すると言われるため、このように設計したという。森のようになっているところで、ボストンテリアのテリちゃんは、転がりながら展覧会を楽しんでいた。テリの激しい動きに作品の一部である木切れが散らばった。テリの飼い主であるパク・ヒヨンさんが、あわてて片付けようとすると、隣にいた案内スタッフが「大丈夫ですよ。ここでは犬たちが主人公ですから」と話した。
パクさんは、「犬と一緒に入れる展覧会は初めてで、気になって早めに予約した」とし、「これからもペットと一緒に楽しめるチャンスが増えれば」と語った。
第7展示室にある映像作品、デメルザ・コイの「オオカミたち」
ドローンで上空からオオカミたちを撮影した映像作品には、多くの犬たちが関心を寄せた。映像が映るスクリーンの上に犬が上がることができる上、犬たちはオオカミたちが動いているのを見て、それを不思議に感じているようだった。白いプードルの「トビ」は、オオカミたちの後をずっと追いかけていた。
作品のうち、3匹の犬を表現したチョン・ヨンドゥ作家の「トーゴとバルト:人類を救ったヒーロー犬の群像」も来館者の目をひいた。りりしい犬の姿も注目すべき点であるが、犬の飼料で作られた作品であることが特徴的だった。
美術館の野外マダンに設置された彫刻スカウトの「犬の夢」
次に、愛犬たちが展覧会を楽しめるのは、野外マダン。ここに設置された「犬の夢」という作品は、犬の障害物競走である「ドッグ・アジリティ」道具や抽象的彫刻の要素が融合した作品。犬たちが自由に道具で遊ぶことができるようになっていた。ここは、予約なしに誰もが利用できる場所であるため、展覧会の機関中に、多くの犬が訪れたという。
今回の展覧会は、愛犬と一緒に来た来館者だけでなく、一般の人にも人気があった。韓国に来て15年になるという米国出身のアンジェラ・キムさんは、「いろんな理由で犬を飼っていないが、犬と一緒に楽しめる展覧会があると聞いてすぐ予約して来た」と話した。米国では、このような展覧会は見たことがないとし、「入場できる犬の数が限られていたので、たくさんの犬を見ることができなくて残念」とし、「今度、またこのような展覧会が開かれれば、その時もぜひ来たい」と語った。
km137426@korea.kr