文化

2025.12.01

国立中央博物館が光復80周年を記念して、1936年ベルリンオリンピックのマラソン金メダリスト孫基禎にスポットを当てた特別展「2本の足で世界を制覇する」を7月25日から開催。写真は博物館の常設展示館・寄贈1室の入口で、人工知能(AI)技術により孫基禎の歩みを再現した映像が映し出されている。

国立中央博物館が光復80周年を記念して、1936年ベルリンオリンピックのマラソン金メダリスト孫基禎にスポットを当てた特別展「2本の足で世界を制覇する」を7月25日から開催。写真は博物館の常設展示館・寄贈1室の入口で、人工知能(AI)技術により孫基禎の歩みを再現した映像が映し出されている。


[ソウル=シャルル・オドゥアン]
[写真=イ・ジョンウ]

「たくさんの人に祝ってもらいながら一番悩んだのは、どうすれば僕が日本人ではなく朝鮮人だということを伝えられるかということだった」

国立中央博物館が光復80周年を記念して、1936年ベルリンオリンピックのマラソン金メダリスト孫基禎(ソン・ギジョン、1912~2002)の歩みにスポットを当てた特別展「2本の足で世界を制覇する」を開催。7月25日から始まった。同展は、日本による植民地支配下で日章旗をつけて走らざるをえなかったが、祖国を思いながら表彰台に立った孫基禎選手の歩みを紹介するものだ。

1936年8月9日。ベルリンオリンピックのマラソンでゴールテープを切ったのは「日本代表の孫基禎(そん・きてい)」だった。しかし、彼はその瞬間にも、自分が日本人ではなく朝鮮人であることを証明してみせたかった。表彰台に上がった孫基禎は、喜ぶどころか顔も上げられず、手に持った月桂樹で日章旗を隠した。

光復後、孫基禎は再び走った。1947年と1950年のボストンマラソン大会でそれぞれ優勝した徐潤福(ソ・ユンボク)と咸基鎔(ハム・ギヨン)の指導にあたり、「KOREA」の名のもとで両選手を世界の頂点に立たせた。1988年のソウルオリンピックでは聖火リレーの走者を務めた。

「2本の足で世界を制覇する」という展示名は、1947年に大韓民国臨時政府の金九(キム・グ)主席が徐潤福選手のボストンマラソン優勝を祝って書いた揮毫「足覇天下」に因んでいる。足で世界を制覇したという意味の四文字は、スポーツ競技での勝利のみならず、大韓民国の国民が抱いた大きな誇りと希望も表している。

特別展「2本の足で世界を制覇する」で「1936年8月15日に書かれた孫基禎の直筆サイン入りポストカード」が初公開された。

特別展「2本の足で世界を制覇する」で「1936年8月15日に書かれた孫基禎の直筆サイン入りポストカード」が初公開された。


特別展では遺物18点が展示された。

その中でも孫基禎の直筆サイン入りポストカードは同展で初めて公開された。1936年8月15日、オリンピックが終わった直後に彼がサインした小さなポストカードにはこう書かれている。「손긔졍 KOREAN」。孫基禎は、自分が日本人ではなく韓国人であることを世界に知らせようと、機会あるごとにハングルで「손긔졍」(ソン・グィジョン)とサインしたという。

国立中央博物館は「孫基禎選手が世界に韓国人としてのアイデンティティを示そうとした強い意志がうかがえる重要な資料」と意義づけした。

紀元前6世紀の「古代ギリシャ青銅兜」

紀元前6世紀の「古代ギリシャ青銅兜」


1936年ベルリンオリンピックのマラソン金メダリストへの副賞である古代ギリシャの「青銅兜」も一緒に展示された。孫基禎は、50年ぶりに返還されたこの兜について「自分だけのものではなく、わが民族のもの」だとして1994年、国立中央博物館に寄贈した。

オリンピックの頂点に立った孫基禎の優勝を伝えながら日章旗が塗りつぶされた表彰式の写真を掲載した東亜(トンア)日報の1936年8月25日付記事、孫基禎が授与された金メダルと月桂冠、優勝の賞状なども見られる。

国立中央博物館のユ・ホンジュン館長は「本展は多くの遺物を展示するわけではないが、孫基禎選手が多くの人にもたらした喜びと感動を伝える意義深い展示」と説明した。

展示期間は12月28日まで。

caudouin@korea.kr