[ソウル=ソ・エヨン]
[映像=アウラピクチャーズの公式ユーチューブチャンネル]
済州(チェジュ)四・三事件をテーマにした映画『私の名前は』が、来週、公開される。メガホンを取ったのは、歴史と社会の暗部に鋭く切り込んできた巨匠、チョン・ジヨン監督だ。
2日、ソウル・龍山区のCGV龍山アイパークモールにて、映画『私の名前は』の報道・配給関係者向け試写会および記者懇談会が開催された。会場には、チョン監督をはじめ、ヨム・ヘラン、シン・ウビン、チェ・ジュヌ、パク・ジビンら主要キャストが登壇。作品に込められた真意や制作の舞台裏を明かした。
物語は、自分の名前に葛藤を抱く18歳の息子「ヨンオク(シン・ウビン)」と、忘却の彼方に追いやられた1949年の済州の記憶を呼び覚まそうとする母「ジョンスン(ヨム・ヘラン)」、世代の異なる二人の軌跡を描く。
本作はすでに海外で高い評価を得ている。2月に開催された「第76回ベルリン国際映画祭」のフォーラム部門への招待に続き、今月24日にイタリアで開かれる「第28回ウディネ・ファーイースト映画祭」のメインコンペティション部門にも選出された。
記者懇談会で報道陣の質問に答えるチョン・ジヨン監督=2日、ソウル、イ・ジョンウ
済州四・三事件を中核に据えつつも、本作は国家権力による暴力という大きな言説のみに終始しない。むしろ、市井の家族が直面する人生の変転に光を当てている。物語は、国家暴力と校内暴力という二つの悲劇を重層的に交錯させることで、その深淵を描き出していく。
チョン監督は、「暴力が連鎖するメカニズムの本質は、国家も社会一般も変わらない」とし、「校内暴力を緩衝材(バッファー)として配置することで、観客が国家暴力の持つ恐ろしさに段階的に迫れるよう構成した」と、その意図を明かした。
映画『私の名前は』のスチルカット=レッツフィルム/アウラピクチャーズ
作品の核心を担うのは、演技派女優のヨム・ヘランだ。チョン監督の前作『罪深き少年たち(2023)』に出演した際は、エキストラでありながらも強烈な存在感を放った。チョン監督は、彼女の圧倒的な演技力に魅了され、当初の脚本を大幅に変更し、彼女を主人公に据えて物語を再構成したという。それほどまでに、チョン監督が彼女に寄せる期待と信頼は絶大だ。
ヨム・ヘランは、「激動の韓国の歴史をその身で耐え抜いてきた強い母であり、加害者と被害者という両面を併せ持つ立体的な人物である『ジョンスン』に魅了された」と感想を語った。映画の中で、ジョンスンが終始着用しているサングラスについては、「過去の真実と向き合えない心理象徴する比喩として捉えた」と付け加えた。
また、「実際の事件を基盤にしているため、慎重にアプローチしたが、証言集を読み込み、犠牲者たちの言葉を胸に刻んだ」とし、「(済州四・三事件)78周年を迎える今、物語が単なる過去の記録にとどまらず、現代に生きる私たちが、この事件をどう捉えるべきかを問いかけている点が印象的だった」と語った。
記者懇談会で作品を振り返るヨム・ヘラン=2日、ソウル、イ・ジョンウ
チョン監督は、記者懇談会の最後に、「4月は、国家による暴力について深く見つめ直すべき時期である」と語りかけた。また、「いかなる暴力にも立ち向かえる力は、結局、友情の回復と連帯にある」という信念を言葉に込めた。
痛ましい歴史から目を背けることなく、現代の言葉で観客と向き合おうとする映画、『私の名前は』は、今月15日に公開される。
xuaiy@korea.kr