文化

2026.07.10

韓国の食文化に光を当てる特別展「私たちの食卓」が国立中央博物館で開催されている=2日、ソウル

韓国の食文化に光を当てる特別展「私たちの食卓」が国立中央博物館で開催されている=2日、ソウル


[ソウル=チョン・ウィソク]
[写真=パク・デジン]

K-カルチャーやK-フードが世界的な注目を集める中、そのルーツをたどる特別展「私たちの食卓」が、国立中央博物館で開かれている。今月1日から一般公開が始まり、多くの観覧客を迎えている。

博物館は、K-フードのルーツが日々の食卓にあることを伝えるため、時代やジャンルを超えた様々な資料を集めた。3000年前の種もみをはじめ、当時の暮らしぶりを描いた風俗画、朝鮮時代の美食家による味の記録など、488件684点の遺物を公開している。

展示は、第1部「暮らしとともにある私たちの食卓」と、第2部「自然が生み出した私たちの食卓」の2部構成となっている。

扶余・松菊里で発見された青銅器時代の焼けた種もみ=2日、ソウル

扶余・松菊里で発見された青銅器時代の焼けた種もみ=2日、ソウル


「シクサハショッソヨ?(ご飯食べましたか?)」。入口で、どこか懐かしく温かい挨拶に迎えられ展示室に入ると、「焼けた種もみ」が最初に目に留まった。

種もみのような有機物は、通常の環境では長い年月にわたって原形を保つことは難しい。しかし、焼かれる際に酸素が遮断されると、有機物は炭化し、数千年を経ても腐敗せずに残る。

1979年に扶余(プヨ)・松菊里(ソングンニ)で発見されたこの種もみは、青銅器時代の韓半島で本格的な稲作が始まっていたことを示す貴重な資料である。

そのほか、料理の配膳方法を描いた「飯床式図」や朝鮮時代の様々な小盤(ソバン、小さなテーブル)が、当時の食文化を今に伝えている。

一方、展示室の一角では、朝鮮時代の庶民の暮らしぶりも垣間見ることができる。金弘道(キム・ホンド)の『酒幕(チュマク)』は、どこか落ち着かない姿勢でクッパを食べる人の様子が生き生きと描かれている。金得臣(キム・ドゥクシン)の『川辺に集まり、飲食を楽しむ』は、暑い夏の日、柳の木陰に腰を下ろし、食べ物を分け合う人々の何気ない小さな日常を捉えた作品である。心豊かな当時の暮らしぶりをうかがうことができる。

『園幸乙卯整理儀軌』が展示されている様子=2日、ソウル

『園幸乙卯整理儀軌』が展示されている様子=2日、ソウル


第2部「自然が生み出した私たちの食卓」へ進むと、王室の食文化が紹介されていた。その代表的な資料が『園幸乙卯整理儀軌』だ。これは、1795年に還暦を迎えた恵慶宮洪氏(ヘキョングン ホンシ)を祝うため、第22代国王の正祖(チョンジョ)が華城行宮(ファソンヘングン)などへ行幸した際の宴や儀式をまとめた記録である。

8日間にわたる行幸の間、正祖と恵慶宮洪氏に供された祝宴の膳やスラサン(王のお膳)、さらに参列者や随行員に用意された食膳に至るまで、詳細に記録されている。当時の朝のスラサンを再現した図は、当時の様子を臨場感豊かに伝えている。

そのほか、朝鮮時代の美食家・許筠(ホ・ギュン)が流刑地で各地の名物料理を思い浮かべながら記した『屠門大嚼』、メジュ(茹で大豆をすり潰して固めたもの)や清麹醤(チョングクジャン)などの原型と推定される炭化した豆の塊、発酵食品に関する史料など、まさに展示名の通り「自然が生み出した」豊かな食を掘り下げる資料が並ぶ。

今回の展示では、実物の料理を展示できないという制約を克服するための、博物館側のユニークな工夫も光る。来館者は、臨場感あふれる調理の音を聞きながら展示を楽しむことができ、大型のデジタル画面は、朝鮮各地における水産物や農畜産物の生産地をが一目でわかるマップが映し出されている。

国立中央博物館の兪弘濬(ユ・ホンジュン)館長は、「私たちの食卓は、 この土地の自然に感謝し、食を天の恵みとして大切にしてきた先人たちの努力の上に成り立っている。それを肌で感じるきっかけになれば」と語る。展示を通して、K-フードの奥深い歴史をて感じてみてはいかがだろうか。展示は10月25日まで開催される。

innocence@korea.kr