[ソウル=グエン・ティタイ・ウィン]
[映像=国立民俗博物館]
北朝鮮の暮らしや民俗文化を取り上げた特別展が、ソウルの国立民俗博物館で開かれている。
国立民俗博物館は12日、特別展「ZERO:民俗の道で出会った北朝鮮」を開幕した。同館が所蔵する資料を通して、北朝鮮各地の暮らしや文化、地域ごとの特色を紹介する。
今回の展示では、同館が所蔵する光復(植民地解放)以前の前の北朝鮮地域の民俗資料316件346点を紹介する。中には約80年にわたって収蔵庫に保管され、今回初めて公開される資料もある。
展示のタイトル「ZERO」には、北朝鮮に対する既存のイメージや先入観からいったん離れ、新たな視点から北朝鮮を見つめ直すという意味が込められている。北朝鮮を遠い存在としてではなく、同じ歴史と文化的土台の上に形成されたもう一つの暮らしとして見つめ直すことが狙いだ。
展示資料を高く積み上げた「収蔵タワー」。タワーの間を歩きながら資料を間近で見ることができる。=国立民俗博物館
会場に入ると、資料を高く積み上げた6基の「収蔵タワー」が目を引く。国立民俗博物館・坡州(パジュ)館の開開放型収蔵庫から着想を得た展示手法で、来場者はタワーの間を歩きながら、生活道具や工芸品などの民俗資料を間近で鑑賞できる。タワーの外側は、関連映像を上映するスクリーンとしても活用されている。
展示では、黄海道(ファンヘド)、開城(ケソン)、平安道(ピョンアンド)、咸鏡道(ハムギョンド)の資料を通して、それぞれの地域に根付いた文化を紹介する。鳳山仮面(ポンサンタル)、康翎仮面(カンリョンタル)、海州仮面(ヘジュタル)、北青獅子遊び(プクチョン・サジャノリ)からは、地域に息づく祭りや踊り、芸能の躍動感が伝わる。海州盤(ヘジュバン)や半閉(パンダジ)からは、地域の暮らしの中で培われた工芸の美しさが感じられる。平壌(ピョンヤン)冷麺や開城(ケソン)餃子など、今も親しまれている料理からは、南北に共通する暮らしの文化もうかがえる。
20世紀初頭に作られた海州壺。牡丹や魚、菊など、自由で生き生きとした文様が特徴だ=国立民俗博物館
会場の中央には、黄海道・海州地域で作られた「海州壺」88点が一堂に並ぶ。一般的な甕(かめ)とは 異なり、海州壺は板の間や食品庫など屋内に置いて使われ、家の豊かさを示す装飾品としても用いられた。甕の丈夫で実用的な造形と、青花白磁を思わせる清らかな趣が調和している点が特徴だ。壺に描かれた牡丹や魚、菊などの多様な文様には、富や繁栄、長寿を願う人々の思いが込められている。
植民地期に金剛山観光の記念品として作られた「朝鮮金剛山しおり5枚セット」。当時の金剛山観光の様子を伝える資料だ。=グエン・ティタイ・ウィン
古くから景勝地として親しまれてきた金剛山に関する資料も充実している。紀行文や地図、屏風をはじめ、近代の観光土産として作られた写真帖や絵はがき、しおりなど、金剛山の姿を伝える様々な資料が並ぶ。中でも目を引くのが、米国人画家リリアン・ミラー(Lilian Miller)が金剛山を訪れた後に描いた「Cathedral Cliffs(大聖堂の断崖)」だ。金剛山特有の奇岩が連なる断崖を西洋の大聖堂になぞらえて描いた作品で、外国人の目に映った金剛山の姿を伝えている。
特別展「ZERO」の会場=グエン・ティタイ・ウィン
最も近い場所にありながら、長い間どこか遠く感じられてきた北朝鮮。本展では、北朝鮮各地の文化や人々の日常、南北がともに記憶してきた金剛山をたどりながら、異なるようでいてどこか似ている人々の暮らしと、南北が共有してきた文化のルーツを改めて見つめ直す。
特別展は2027年2月14日まで、国立民俗博物館の企画展示室1で無料で鑑賞できる。
uyen81@korea.kr