文化

2026.08.21

国立中央図書館本館1階の展示室で7月28日から開催されている特別展「一冊の本から世界へ、K-コンテンツ」の入口。展示は10月6日まで行われる

国立中央図書館本館1階の展示室で7月28日から開催されている特別展「一冊の本から世界へ、K-コンテンツ」の入口。展示は10月6日まで行われる


[ソウル=イ・ジイェ]
[写真=イ・ジイェ]

K-POP、K-ドラマ、K-映画に代表される「K-コンテンツ」は、アジアを越え、今や世界的な文化現象として定着した。韓国のコンテンツは、いかにして言語や文化の壁を越え、世界中の人々の心をつかんだのだろうか。

国立中央図書館は、その答えを「本」と「記録」の中に見いだした。同館は10月6日まで、本館1階の展示室にて特別展「一冊の本から世界へ、K-コンテンツ」開催中だ。「2026世界図書館情報会議」の釜山(プサン)開催を記念して企画された今回の展示では、韓国の本と記録に込められた物語や文化が現代的なコンテンツとして生まれ変わり、翻訳を通じて世界へ広がっていく過程を体系的に紹介している。

特に注目を集めているのが、第2部「物語からK-コンテンツへ」である。現在、世界中で親しまれているK-コンテンツが、古典や説話からどのような文化的インスピレーションを得たのかに光を当てる。

第2部「物語からK-コンテンツへ」の展示物。(左から時計回りに)『イカゲーム』と『朝鮮の郷土娯楽』、『ソンジェ背負って走れ』と『ツツジの花』、『トッケビ』と『パリデギ』、『怪物』と『不可殺爾伝』

第2部「物語からK-コンテンツへ」の展示物。(左から時計回りに)『イカゲーム』と『朝鮮の郷土娯楽』、『ソンジェ背負って走れ』と『ツツジの花』、『トッケビ』と『パリデギ』、『怪物』と『不可殺爾伝』


ネットフリックスのオリジナルシリーズ『イカゲーム』は、伝統的な遊びと普遍的な競争心理を巧みに融合させた代表例だ。展示では、日本統治時代に全国各地の子どもの遊びや民俗遊びを調査・記録した『朝鮮の郷土娯楽』もあわせて紹介している。また、『イカゲーム』に登場し、世界的な注目を集めた「ムクゲの花が咲きました(だるまさんが転んだ)」、「ビソクチギ(石投げ)」、「イカゲーム」など、当時の記録資料を基盤に、身近な伝統遊びが現代のコンテンツへと再解釈されていくプロセスを知ることができる。

ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』も、韓国の神話や説話、死後の世界観を現代的に描いた名作として紹介されている。不死と救済という普遍的なテーマを軸に世界中の視聴者から共感を集めた本作は、OSTのヒットやロケ地観光へとブームが波及した。展示では、「パリデギ」をはじめとする韓国の巫俗神話に描かれた生と死、あの世と救済の物語を紹介し、作品に表現された韓国的ファンタジーの文化的な原型に焦点を当てる。

第3部「翻訳と韓国語、世界へ広がるK-コンテンツ」では、翻訳を通じて世界の読者に届けられた韓国文学を集中的に取り上げている。ハン・ガンの『菜食主義者』や『少年が来る』、チョン・ボラの『呪いのウサギ』などの翻訳版が展示され、韓国固有の記憶や感性、そして思想が異なる文化圏の読者へと浸透していく過程を示している。

展示は、こうした文化的潮流が近年になって突然生まれたものではないことにも焦点を当てている。朝鮮時代の外国語学習書などからは、韓国と世界との言語交流が古くから続いてきた歴史をうかがうことができる。現在のK-コンテンツの世界的な広がりもまた、韓国語に込められた物語や感情を異なる言語圏へ届けてきた翻訳者たちの努力の賜物であるというメッセージが込められている。

第3部「翻訳と韓国語、世界へ広がるK-コンテンツ」の展示物。(左上から)パク・ギョンリの『土地』、シン・ギョンスクの『母をお願い』、キム・マンジュンの『九雲夢』、ハン・ガンの『菜食主義者』と『少年が来る』、チョン・ボラの『呪いのウサギ』

第3部「翻訳と韓国語、世界へ広がるK-コンテンツ」の展示物。(左上から)パク・ギョンリの『土地』、シン・ギョンスクの『母をお願い』、キム・マンジュンの『九雲夢』、ハン・ガンの『菜食主義者』と『少年が来る』、チョン・ボラの『呪いのウサギ』


来場者向けの体験型スペースも充実している。人工知能(AI)を活用し、朝鮮時代の風俗画から現代のK-ドラマまで、4つの時代の主人公になって記念撮影が楽しめる。また、チップを動かしながら、韓国資料室と世宗(セジョン)学堂を運営している国、韓国文学の翻訳版が出版されている国、韓国語学科が開設されている国を確認できるコーナーもある。

国立唱劇団の唱劇『春香(チュニャン)伝』と劇団ヒョンジャンの実景劇『論介(ノンゲ)』を上映するコーナーでは、古典小説や歴史にまつわる説話が舞台芸術として新たに生まれ変わる過程を体感できる。

来場者が実景劇『論介』を鑑賞する様子=16日、ソウル

来場者が実景劇『論介』を鑑賞する様子=16日、ソウル


BTSのリーダーであるRMは2023年、スペイン紙『エル・パイス』のインタビューで、「K」というブランドは、先駆者たちが築き上げてきた「プレミアムラベル」であり、「品質保証」のようなものだと語っている。今回の展示は、「K」というブランドが、一夜にして生まれたものではないことを示している。過去の本や記録に蓄積された物語や文化が新たなクリエイターと出会い、現代的なコンテンツへと再解釈され、さらに翻訳や流通を経て、世界の人々が共有する文化へと広がったということだ。

その過程における図書館の役割にも光を当てている。現在のコンテンツが過去の記録から新たな物語を見いだすことができたのは、その記録を収集し、保存してきた場所が存在したからにほかならない。今回の展示では、「図書館」を過去の文化を保存する場所ではなく、蓄積された記録を基に新たな文化の可能性を発見し、未来のコンテンツへとつながるプラットフォームとして捉えている。

ljyhwa@korea.kr