文化

2026.09.03

映画『可能な愛』の制作発表会でポーズを取る(左から)チョ・インソン、チョ・ヨジョン、イ・チャンドン監督、チョン・ドヨン、ソル・ギョング=8月25日、ソウル、パク・デジン

映画『可能な愛』の制作発表会でポーズを取る(左から)チョ・インソン、チョ・ヨジョン、イ・チャンドン監督、チョン・ドヨン、ソル・ギョング=8月25日、ソウル、パク・デジン


[ソウル=ソ・エヨン]

マスク工場で働くミオク(チョン・ドヨン)は、解雇された夫のホソク(ソル・ギョング)と10歳の息子と暮らしている。ある日、ホソクの元同僚の葬式で、解雇された労働者を取材するドキュメンタリー監督のイェジ(チョ・ヨジョン)と、裕福な家庭で育った夫のサンウ(チョ・インソン)に出会う。2組の夫婦は交流を重ねる中で、それぞれの異なる人生と胸の内に潜む欲望に向き合うことになる。

イ・チャンドン監督が、『バーニング』(2018)以来8年ぶりにネットフリックス映画『可能な愛』でスクリーンに帰ってくる。

ソウル・麻浦(マポ)区の「ホテル・ナル・ソウル・Mギャラリー」で先月25日に開かれた『可能な愛』の制作発表会で、イ監督は「タイトル通り、愛についての映画だ」と前置きし、「私たちが生きていく中で、どのような愛が可能なのか、その愛を守るためにはどうすればいいのかという問いを投げかける作品である」と説明した。

『可能な愛』のスチルカット=ネットフリックス

『可能な愛』のスチルカット=ネットフリックス


映画は、十数年前に大手企業で起きた大規模なリストラとゼネストを背景としている。当時、この騒動の映画化を試みながらも断念した過去を持つイ監督は、技術の発展によって労働そのものが消失しかねない現代において、リストラが誰にでも起こり得るリアルな脅威となったことが、再びこのテーマに向き合う契機になったと語った。

イ監督は、「職業がその人のアイデンティティそのものである以上、解雇は人生と存在理由が一変する重大な出来事だ」とし、「10年が経過した今こそ、この物語を語る必要性はがより大きくなった」と強調した。

労働と資本の問題から出発した物語は、最終的には「愛」に答えを見いだす。イ監督は、「私たちの人生を支配しようとする力が強まり続ける現代において、私たちはどう生きていくべきなのか」と問いかけ、「こういう時代だからこそ、私たちの人生を支え、生きる力を与えてくれるのは、人と人との愛なのだと考えた」と語った。

制作発表会で記者の質問に答えるイ監督=8月25日、ソウル、パク・デジン

制作発表会で記者の質問に答えるイ監督=8月25日、ソウル、パク・デジン


俳優たちに寄せるイ監督の信頼は絶大なものだった。イ監督は、チョン・ドヨンとソル・ギョングについて、「オファーを出した時、シナリオの内容すら確認せずに喜んで引き受けてくれた」とし、「数年前に一緒に仕事をした時は、監督と俳優という独特の緊張感があったが、歳月を重ねて人間的にも深い信頼関係が生まれたことで、現場の空気感は以前よりずっと柔らかく温かなものになった」と語った。

今回が初共演となるチョ・インソンとチョ・ヨジョンについても、「チョ・インソンは、映画を目に見えない形で支配するサンウ役に欠かせない存在だった。チョ・ヨジョンは、私の視点や立場を代弁する役柄だが、キャラクターの内面を完璧に理解してくれた」と絶賛した。

『可能な愛』の撮影現場の様子=ネットフリックス

『可能な愛』の撮影現場の様子=ネットフリックス


国内外を問わず、「イ・チャンドンの帰還」に対する映画界の期待は高まっている。映画は、2日(現地時間)に開幕する「第83回ベネチア国際映画祭」のコンペティション部門に招待され、ワールドプレミアとして初披露される。さらに、来年3月に開催される「第99回アカデミー賞」の国際長編映画部門における韓国代表作品にも選定され、オスカー賞獲得に挑むこととなった。

イ監督の『シークレット・サンシャイン』(2007)で「第60回カンヌ国際映画祭」の主演女優賞を受賞したチョン・ドヨンは、ベネチア国際映画祭への招待について「とても驚いた」とし、「『可能な愛』が海外の観客にどのように受け止められるのか、緊張と期待が入り交じっている」と話した。『オアシス』(2002)に続き、3度目のタッグとなるソル・ギョングも「予想はしていたが、実際に知らせを聞いた時は本当にうれしかった」とし、「監督とは久しぶりの共演だったが、うれしい知らせを聞くことができてよかった」と喜びを語った。

『可能な愛』は23日、韓国の劇場で先行公開される。映画の製作国の劇場で少なくとも2週間以上の公開実績を求めるアカデミー賞の出品条件を満たすためだ。ネットフリックスでの世界配信は11月6日を予定している。

xuaiy@korea.kr