文化

2026.09.09

「2026世界翻訳家大会」で基調講演を行う英ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院(SOAS)のアンデシュ・カルソン教授=8月28日、ソウル、ソ・エヨン

「2026世界翻訳家大会」で基調講演を行う英ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院(SOAS)のアンデシュ・カルソン教授=8月28日、ソウル、ソ・エヨン


[ソウル=ソ・エヨン]

韓国文学翻訳の30年にわたる成果を振り返り、人工知能(AI)時代において翻訳家が果たすべき新たな役割を模索する場が設けられた。

韓国文学翻訳院は先月28日、同院の設立30周年を記念し、ソウル・江南(カンナム)区のグランド・メルキュール・インペリアル・パレスで「2026世界翻訳家大会」を開催した。

基調講演を行った英ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院(SOAS)のアンデシュ・カルソン韓国学教授は、韓国文学が世界の読者に広く紹介されてきた足跡をたどり、韓国文学の世界的な広がりを高く評価した。

カルソン教授は、「約30年前、ロンドンの大型書店で韓国関連の書籍を探した際、東南アジアのコーナーへ案内されたことを覚えている」と振り返り、「今やロンドンの書店では、最も目立つ場所に数多くの韓国の本が並んでいる」と感慨深く語った。

続いて、「韓国の作家とその作品が世界中で注目を集めるようになったことを祝いたい」と付け加えた。

カルソン教授は、1990年代からイ・ムニョル、ファン・ソギョンらの作品をスウェーデン語に翻訳してきた翻訳家でもある。ハン・ガンの『別れを告げない』や『すべての、白いものたちの』などをスウェーデン語に翻訳し、ハン・ガンのノーベル文学賞受賞にも貢献した。2024年12月にストックホルムのスウェーデン・アカデミーで行われたノーベル文学賞の受賞者講演では、ハン・ガンの講演文「光と糸」のスウェーデン語訳を手がけた。

登壇者らが「韓国文学翻訳の美学的地平」セッションで総合討論を行う様子。(左から)朝鮮大学文芸創作学科助教授のヤン・ギョンオン文学評論家、スペイン・マドリード自治大学東アジア学科のクリスティーナ・バオン・アルナイス助教授、西江大学仏語仏文学科のチョン・イレン講師=8月28日、ソウル、韓国文学翻訳院

登壇者らが「韓国文学翻訳の美学的地平」セッションで総合討論を行う様子。(左から)朝鮮大学文芸創作学科助教授のヤン・ギョンオン文学評論家、スペイン・マドリード自治大学東アジア学科のクリスティーナ・バオン・アルナイス助教授、西江大学仏語仏文学科のチョン・イレン講師=8月28日、ソウル、韓国文学翻訳院


登壇者らは、韓国文学が世界中の読者から深い共感を得ている理由として、「作品に描かれた普遍的な人間経験」を挙げた。

スペイン・マドリード自治大学のクリスティーナ・バオン・アルナイス助教授は、「韓国文学の重要な美学的成果の一つは『共感』にある」と述べ、「特定の文化や社会から出発した作品が、翻訳を経て普遍性を獲得し、世界中の読者との共感を形成できるという点で、比較文学的にも重要な意味を持つ」と語った。

そのほかに、翻訳家の主体的な役割についても議論が交わされた。韓国文学をフランス語に翻訳するチョン・イレン翻訳家は、翻訳の過程で直面する多様な選択と判断について自身の経験を共有し、「翻訳家とは戦略を練り、テキストに変容を与え、絶えず美学的判断を下す存在だ」と定義した。

生成AIの普及に伴い、翻訳家の役割をめぐる議論はさらに具体化した。出席者らは、AIによって翻訳の効率性と拡張性が高まる中、人間の翻訳家の役割を、従来の「伝達者」から「倫理的な仲介者」へと進化させていく必要があるとの認識で一致した。

韓国外国語大学英語通翻訳学科のイ・サンビン教授は、「人間の翻訳家は、技術では処理できない領域、すなわち『他者との関係』『責任』『応答』を担う」とし、「翻訳家は、単にテキストを翻訳するだけでなく、それを取り巻く倫理的な文脈を構築し、他者の声をどのように届けるか決定する」と語った。

続けて、「翻訳をめぐる議論の核心は、人間とAIの対立や競争ではない」と前置きし、「翻訳の未来は、翻訳という概念が二重化する中で展開される『差異の美学』にある」と説明した。さらに、「一つは効率性と拡張性を追求する『技術的翻訳』であり、もう一つは責任と応答を追求する『倫理的翻訳』だ」と述べ、「両者は決して同じものにはなり得ない」と強調した。

xuaiy@korea.kr