写真は、「盤亀川の岩刻画」の様子
[蔚山=イ・ジヘ]
[写真=パク・デジン]
盤亀川(パングチョン)の流れに沿って整備されたデッキを散策すると、対岸に長い歳月を刻んできた巨大な岩壁が目に入る。展望台の望遠鏡に目を凝らせば、岩肌に刻まれたはるかな先史時代の息吹が、鮮明に浮かび上がる。今から7000年前、文字を持たない先史時代の人々が石槌を用いて刻み込んだ生の記録、それが、蔚山(ウルサン)・大谷里(テゴクリ)の盤亀台(パングデ)の岩刻画である。
コリアネットは8日、ユネスコ世界遺産に登録された蔚山の「盤亀川の岩刻画」を訪ねた。
「盤亀川の岩刻画」とは、1970年12月24日に発見された「川前里(チョンジョンリ)岩刻画」と、翌年の1971年12月25日にその存在が明らかになった「大谷里盤亀台岩刻画」を総称したものだ。同じ地域で2年連続で、人類の偉大な遺産が相次いで発見されたのは、非常に珍しいといえる。
川前里の岩刻画には、青銅器時代の文様と新羅時代の銘文が、数千年の時空を超えて交差している。大谷里・盤亀台の岩刻画には、主に新石器時代のクジラ漁や狩猟、漁労活動の様子が多彩に描かれている。かつては泗淵(サヨン)ダムの建設により、岩刻画の大部分が水没する危機にさらされた。しかし、水位の調整や保存活動を経て、現在ではその本来の姿が守られている。
「盤亀台の岩刻画」の様子
「盤亀台の岩刻画」は、盤亀川下流にある幅約8メートル、高さ約4.5メートルにも及ぶ巨大な岩壁に、計312点もの絵が刻まれている。遠くから望遠鏡でのぞく岩肌からは、新石器時代の人々の驚くべき観察力がうかがえる。
カメやクジラといった海洋動物と、ヒョウやライオンなどの陸上動物が精緻に描かれている盤亀台の岩刻画
陸上のトラやシカ、イノシシをはじめ、サメやカメ、そして無数のクジラが一つのキャンバスで共存する。特に目を引くのは、クジラの描写の精緻さだ。北方セミクジラ、ザトウクジラ、コククジラ、スナメリ、マッコウクジラ、ゴンドウクジラ、シャチなど、少なくとも7種類以上のクジラが、それぞれの生態的特徴を正確に捉えて描かれている。
これらの絵は、岩壁の上で一編のドキュメンタリーのように、当時の営みを今に伝えている。クジラを探し求める姿から、船と銛を使って捕獲する様子、捕らえたクジラを陸へ引き揚げ、解体・分配するまでの一連の過程が、順を追って展開される。先史時代のこの地に高度な海洋漁労文化と組織的な捕鯨技術を持つ集団が存在していたことを物語る、貴重な資料である。
それだけではない。狩人がイノシシやシカを槍やわなで捕らえ、トラを囲いや網で捕獲する様子も生き生きと描かれている。そのほかにも、踊る巫者の姿や狩猟や漁労の成功を願い儀式を行う様子も描かれ、新石器時代の人々の儀礼文化を垣間見ることができる。
「盤亀川の岩刻画」は、昨年開催された「第47回世界遺産委員会」において、韓国で17番目となる世界文化遺産として登録され、その価値が世界的に認められた。数千年前の人々が岩に刻み残した暮らしの記録が、時を超え、未来の世代にも変わらぬ感動を伝え続けていくに違いない。
jihlee08@korea.kr