文化

2026.09.29

CGV龍山アイパークモールで開かれた映画『もしもの愛』のマスコミ試写会および記者懇談会で、「第83回ベネチア国際映画祭」の審査員大賞(銀獅子賞)のトロフィーを手にポーズを取る(左から)俳優のチョ・インソン、チョ・ヨジョン、イ・チャンドン監督、ソル・ギョング=21日、ソウル

CGV龍山アイパークモールで開かれた映画『もしもの愛』のマスコミ試写会および記者懇談会で、「第83回ベネチア国際映画祭」の審査員大賞(銀獅子賞)のトロフィーを手にポーズを取る(左から)俳優のチョ・インソン、チョ・ヨジョン、イ・チャンドン監督、ソル・ギョング=21日、ソウル


[ソウル=ソ・エヨン]
[写真=ネットフリックス]

イ・チャンドン監督が、映画『もしもの愛』で「第83回ベネチア国際映画祭」の審査員大賞(銀獅子賞)を受賞し、トロフィーを手に帰国した。

イ監督は21日、ソウル・龍山(ヨンサン)区のCGV龍山アイパークモールで開かれたマスコミ試写会および記者懇談会に銀獅子賞のトロフィーを手に登壇し、「大変うれしく、光栄に思う」と述べた。監督は、「賞は結果の一つにすぎない。この映画が世に出て、観客と初めて出会った時に、どのように受け止められるかの方が、はるかに重要だった」と話した。

続けて、「決して分かりやすく、刺激的な映画ではないにもかかわらず、作品が投げかける問いや真意を観客がしっかりと受け止め、反応してくれていることが表情や雰囲気から伝わってきて安心するとともに大きな喜びを感じた」と付け加えた。

この日の記者懇談会には、イ監督をはじめ俳優のソル・ギョング、チョ・インソン、チョ・ヨジョンも出席した。米・ニューヨークで舞台『桜の園』へ出演中のチョン・ドヨンは、オンライン中継で参加した。

チョ・インソンは、ベネチア国際映画祭で話題となった、海外メディア記者によるイ監督へのサイン攻めエピソードを披露。「公式記者会見という厳粛な場でありながら、海外記者たちが一斉に壇上へ押し寄せてきたため非常に驚いた」と語った。続けて、「今年は幸運にも『カンヌ国際映画祭』と『ベネチア国際映画祭』の両方を訪れたが、カンヌでは見られなかった光景だった」とし、「ベネチアでも、イ監督と韓国映画の揺るぎない地位が実感でき、誇らしく感謝の気持ちでいっぱいになった」と付け加えた。

マスコミ試写会および記者懇談会で報道陣の質問に答えるイ監督=21日、ソウル

マスコミ試写会および記者懇談会で報道陣の質問に答えるイ監督=21日、ソウル


映画『もしもの愛』は、リストラされた労働者と階級差による葛藤を軸に、人間関係や資本、そして映画製作者の倫理と姿勢について問いを投げかける。

大企業をリストラされたホソク(ソル・ギョング)と妻のミオク(チョン・ドヨン)、この夫婦を取材し、ドキュメンタリーを制作する監督のイェジ(チョ・ヨジョン)と裕福な夫のサンウ(チョ・インソン)は、それぞれ異なる感情と欲望を抱えながら、互いの人生に向き合っていく。特に、劇中のイェジは、夫のサンウから自立しようとしながらも、その影響から完全に脱することができないジレンマを抱えた人物として描かれている。

イ監督は、「ある意味では、映画監督としての私もまた資本と婚姻関係を結んで生きているのかもしれない」と述べ、「資本の力を借りなければ自分の物語を語ることのできない創作者のジレンマの中で、他者の苦痛を単なる素材として搾取するのではなく、真摯に愛することが果たして可能なのかを問いかけたかった」と演出の意図を説明した。

映画『もしもの愛』のスチルカット

映画『もしもの愛』のスチルカット


俳優たちは、それぞれ異なる境遇に置かれた人物を演じる中で、資本と階級が人間へ及ぼす影響について深く考察したという。

ソル・ギョングは自信が演じたホソクについて、「自我が完全に崩壊した状態で、羞恥心や罪悪感、怒り、コンプレックスなど、複雑な感情を抱えていたと思う」と語り、裕福なサンウ夫妻と出会ったことで感じる萎縮や拒絶感を意識して演じたと説明した。チョン・ドヨンは、「お金や階級は、人の価値観を壊し、その人自身の価値をも奪ってしまうこともある」とし、「ミオクはそうしたものから自らの尊厳と家族を守ろうとする人物」と語った。

映画の公開を控え、イ監督は「映画を完成させるのは、観客の存在にほかならない。観客の心の中で、この作品がより強く、意義深く生き続けてくれることを願っている」と語った。

映画『もしもの愛』は、11月6日よりネットフリックスで配信される予定だ。

xuaiy@korea.kr