[高城=チョン・ミソン]
世界に類を見ない「南北二つの高城」、生態・歴史・トレッキングが融合した最北端の境界地域
韓国・江原(カンウォン)道の最北端。韓半島の分断線という傷跡を境に、世界に類を見ない「南北二つの高城(コソン)」が互いに向き合っている。同じ地名でありながらも分断された歴史を持つこの地域は、今では生態と平和、文化が融合した境界地帯となっている。非武装地帯(DMZ)と接する高城が、安保の最前線から平和トレッキングの名所、そして地域の文化探訪スポットへと変貌を遂げている。文化体育観光部が選定した「ローカル100」の一つである「高城DMZ平和の道」。その道に沿って高城DMZに秘められた多層的な魅力をたどってみた。
ユ・インチョン 元文化体育観光部長官と「ローカル100」の参加者が5月8日、江原道・高城郡の統一展望台から始まる「高城DMZ平和の道」に沿って鉄柵線区間を歩いている=文化体育観光部
南北二つの高城
江原道・高城は世界で唯一、分断された境界線の南北両側に同じ名前の地域がある場所。1950年に韓国戦争が勃発し、1953年には休戦協定により軍事境界線が引かれ、一つだった高城郡は二つに分断された。高城郡の面積は南側が約664.55平方キロメートルで、北側は約858.65平方キロメートル。今も行政地図にはそれぞれの高城が存在する。同じ名前、しかし分かれた運命。高城は分断のシンボルであり、民族史的悲劇の実体がそのまま存在する場所だ。
江原道・高城の統一展望台に設置された案内図。1953年の休戦協定締結後、軍事境界線によって南北に分断された「高城郡」の位置を視覚的に示している=チョン・ミソン
民間人が立ち入りできる最北端、コリアトゥルレキルの終着地
地域的にも高城DMZは特別だ。民間人が立ち入りできる韓国の最北端に位置している。高城の統一展望台からは、北の高城郡と金剛山(クムガンサン)の峰が肉眼で見える。海と山、鉄条網が織りなす風景には、美しさと緊張、切なさが入り混じっている。
ここは「コリアトゥルレキル」のフィナーレを飾る地点でもある。コリアトゥルレキルは、韓国の海岸線と境界地域に沿って整備された全長4500kmのトレッキングコース。南海(ナムへ)沿岸から出発し、東海(トンへ)沿岸または西海(ソへ)沿岸を通って最北端の高城DMZでコースが締めくくられる。 自然と人、歴史と道がつながったコースは、単に歩くことにとどまらず、この地に刻まれた時間と分断の跡をたどる意義深い体験をもたらす。
ユ・インチョン元文化体育観光部長官が5月8日、ガイドの説明を聞きながら高城DMZ平和の道でのトレッキングを始めている。ここは韓国の最北端であり、約4500kmに及ぶコリアトゥルレキルの終着地でもある=文化体育観光部
分断の歴史を伝える生きた教育の場
高城DMZは教育的な価値も高い。統一展望台から鉄条網の向こうに北朝鮮が見え、非武装地帯を肌で感じられる。近くのDMZ博物館には、韓国戦争と分断の歴史、冷戦の痕跡、平和への願いが記録されている。単なる観光地にとどまらず、私たちが向き合うべき歴史と現実を目の当たりにできる場所なのだ。
ユ・インチョン元文化体育観光部長官が5月8日に江原道・高城のDMZ博物館を訪れ、展示の解説を聞いている。DMZ博物館は韓国戦争と分断、非武装地帯の形成と変化に関する資料を展示し、境界地域の歴史と平和の価値を伝えている=文化体育観光部
高城DMZ、自然と観光が融合した場所
数十年にわたり一般人の立ち入りが禁止されてきた高城DMZは、生態系の宝庫として注目されている。ヤギ、ツキノワグマ、タンチョウなどの絶滅危惧種を含む様々な野生動物が生息している。一部の地域は探訪路として開放され、生態教育や研究の場として活用されている。生態と安保、歴史とトレッキングが融合した高城は、自然と人が共に創り上げる特別な空間だ。
ユ・インチョン元文化体育観光部長官が5月8日、江原道・高城郡で行われたプログラム「DMZ平和の道」に参加し、海岸鉄柵付近のウッドデッキを歩いている。このエリアは民間人の立ち入りが制限されているため人為的な破壊が少なく、自然生態系がよく保存されており、生態的価値が高いと評価されている=文化体育観光部
高城DMZは分断の傷跡の上に自然と人が調和している複合的な空間。ここを歩くということは、ただ単に「最北端の地を踏んだ」という意味にとどまらず、分断された現在を歩き、平和について考える旅でもある。南北に分かれた高城が、いつか再び一つにならんことを。そんな願いが風に乗って流れている。
ローカル100-100のストーリーで再発見する地域文化の魅力
文化体育観光部では、地域ならではの文化的な価値や魅力を発掘して広めるプログラム「ローカル100」を推進している。普段なかなか触れる機会のない地域の文化資源やストーリーを発掘し、地域文化の多様性とアイデンティティを広く紹介するのが目的。韓国の地方自治体や国民発掘団の推薦と厳正な審査を経て選ばれた100の名所、コンテンツ、名人は、各地域の魅力や日常が詰まった独創的な「100のストーリー」によって地域の文化を照らし出す。
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