テレビ電話イベントのイメージ。ニューイーストのミンヒョン=Spoonz YouTube
[仁川=田村温子(日本)]
現在、全世界・多くの業界がコロナの影響を受けており、音楽界も例外ではない。そんな中、K-popアーティストの活動に変化が生まれた。
例として、コロナ禍の中カムバックした NU'EST(ニューイースト)をご紹介したい。
5月11日、ミニアルバムThe Nocturne8集が公開され、タイトル曲 I'm in Troubleで2週間のカムバック活動を行ったニューイースト。
様々な点で通常とは違う活動となり「実際に会えない」という点で、ファンとして残念な気持ちも残るが、状況が状況なので仕方がない。ただ今回のファン活動は「会えなかった割に充実していた」と感じている。
オンラインサイン会
通常、対面式で行われるサイン会がオンラインサイン会となった。
영상통화 팬사인회、通称영통팬싸(ヨントンペンサ)と呼ばれる1対1でのテレビ電話を使ったサイン会である。
グループやアーティストによっても異なるが、ニューイーストのCD購入サイン会の場合、以下のような流れであったと聞いている。
オンラインサイン会は、カカオトークのビデオ通話を使って行われた。
自分に電話がかかってくる正確な時間のお知らせがないのと、2回以内に受け取らなければ「無し」になるなどの規定があり、その点対面のサイン会に比べると少し怖い点もある。
制限時間は1分で、タイマーが鳴ると次のメンバーへスマートフォンが移動される。
急かされる感じもなく、5人で計6分半くらいの人もいた。時間はそこまで厳しく制限されなかったそうだ。
テレビ電話で会話をしながらサインをしてもらい、後にサインCDとプレゼントのスマホグリップが届く。韓国国内であれば、5日後にサインCDが届いたようだ。
参加した人の満足度はとても高く、録画した映像を後で見返すことができる点もよかったという。
ファンの中にはメンバーの誕生日を祝うために、ケーキを準備したり、部屋中に飾ってあるニューイーストのポスターやグッズを見せたりしてメンバーを驚かせたりもした。
ニューイーストだけでなく、他のアーティストも様々なイベントを行なっており、Twiceはオンラインハイタッチ会を予定している。
音楽番組の無観客化
通常はファンが集められ、早朝の事前収録、音楽番組生放送で観覧・応援することができるのだが、無観客の形に変わった。
音楽番組のビハインド映像でメンバーのミンヒョンはこのように話している。
「デビューから8年間ずっとファンの皆さんと一緒にステージを作ってきたのに、今回はいないのでどこから元気をもらえばいいのか分かりません。早朝の時は体力的にも大変な時もあり、いつもファンの皆さんに元気をもらっていますが、今日はいないので…一人で頑張らないといけませんね。」
アイドルも目の前にファンがいるのといないのとでは、モチベーションが違うようである 。
M COUNTDOWN Mini Fan Meeting with NU’EST KPOP=Mnet K-POP Twitter
短い時間ではあったが、番組内でオンラインミニファンミーティングも開かれた。質問コーナーを設けたりするなど、リアルタイムで全世界のファンとアイドルが交流できる時間を持った。
公開ラジオ観覧現場封鎖
封鎖されているKBS公開ラジオ観覧現場=田村温子撮影
KBSや一部MBCのラジオは、スタジオがガラス張りになっており、通常であればファンや通りすがりの人でも見れるようになっているが、今回はここも封鎖されていた。
ただし「見えるラジオ」という公開ラジオは、オンラインを通して映像が配信されるので、現場だけが観覧不可になったのであり、ラジオ中の姿をネットで閲覧することは可能である。
オンラインコンサート
オンラインコンサートを実施したアーティストも多い。ただ「見る」だけでなく「参加型」を意識した様々な工夫がされている。
会場バックの大画面にファンを写してコンサートの一体感を感じさせるものだったり、チャットやテレビ電話を通じて、ファンとリアルタイムで会話をしたり、応援棒(ペンライト)をブルートゥースで接続すればライトの色が音楽に合わせて変わったりと、離れていても繋がっているということを感じさせる工夫がされている。
現在、日韓だけでなく世界の行き来が難しい中、このような対応をしたことは、外国のファンにおいてもよかったと思う。実際の姿を見ることはできないが、充分なコンテンツ・イベントのおかげでファン活動はそれなりに忙しく、満足いくものだったようだ。
海外に住むファンにとっては、今回のコロナ渦中のイベントは悪くなかったのかもしれない。アイドルと会うということにおいて国境がなくなり、遠くにいながら気軽に楽しめるという点では、コストや時間も抑えられるため、ある意味ファン活動がしやすくなったともいえよう。
ただし、現場には現場の魅力があるので、オンラインのエンターテインメントが広がったからと言って、オフラインが廃れることはないはずだ。
K-pop界において様々な可能性が生まれ、選択肢が広がったものと考える。
コロナ禍の中で最大限できる活動・ファンとの交流を試してみて、どんな状況でも制限なしに、世界のどこからでもK-popを楽しめるという成功事例を生み出した。
K-pop界の新たな発展が見えたコロナ渦中の活動であったとともに、エンターテインメントを楽しむことに限界はないと感じた。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
eykim86@korea.kr