名誉記者団

2026.08.10

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[文=いとう めぐみ]

今や世界中の多くの人々を魅了する韓国ドラマ。みなさんはちょうど一年ほど前、
「韓国が作る日本のドラマ(Jドラ)」が制作・公開されたことをご存じでしょうか?
日々、韓国では数多くの映像作品が生まれ、韓国での放送とほぼ変わらぬタイミングで
世界中に配信され、大ヒットを記録する作品も少なくありません。

一昨年、韓国でも愛され、世界中のファンを魅了したパク・ミニョンさんとナ・イヌさん主演の「私の夫と結婚して」韓国版もその一つでした。

そしてちょうど一年前。初めて韓国が制作し、新たに生まれたのが
「私の夫と結婚して」日本版です。制作はSTUDIO DRAGONとCJ ENM Japan。

監督は韓国ドラマ「ザ・グローリー」を手掛けたアン・ギルホ監督、脚本は
「1リットルの涙」で知られる大島里美さんが担当し、俳優陣には佐藤健さん・
小芝風花さんをはじめとする日本のキャストが名を連ね、韓国のスタッフと
日本の脚本家・俳優がタッグを組んで誕生した、初めてのJドラとなりました。

「私の夫と結婚して」日本版の公式タイトル写真 (写真=©2025.CJ ENM Japan/STUDIO DRAGON all right reserved)

「私の夫と結婚して」日本版の公式タイトル写真 (写真=©2025.CJ ENM Japan/STUDIO DRAGON all right reserved)



リメイクではなかった日本版

この作品は、従来のリメイク作品とは異なり、韓国版の放送開始前から
韓国版と同時期に企画されていたオリジナル作品です。

昨年6月に韓国で行われた制作発表会にて日本版のイ・サンファプロデューサーは
「韓国版の放送開始前から日本版の企画も存在しており、
リメイクではなく日本版オリジナルとして制作が進められてきた」と経緯を語りました。
そのため、韓国版と日本版が最初から並行して存在しており、
従来のリメイクとは異なるユニークな生い立ちを持つ作品といえます。

その一方で、日本版には韓国版と非常に似たシーンも多く見られます。
その理由について韓国での制作発表会同日に日本で開催された「日韓コラボイベント」の中継で主演の佐藤健さん(以下「佐藤さん」)は「韓国版の面白さをできるだけ拡大し、
日本版でもより良く表現することを考えて脚本の打ち合わせを行った」と話しました。

同じく主演でヒロインの小芝風花さん(以下「小芝さん」)も
「韓国版の緊張感や惹きつけられる場面は日本版でもしっかり表現したい。
そのうえで日本人らしい感情の出し方を意識した」と話しており、
主演のお二人の韓国版への思いが日本版にも加わり、非常に似たシーンが含まれ、
また日韓双方の魅力を活かす形となった模様です。

韓国ドラマ制作陣が得意とする美しい「雨のシーン」 雨粒の美しさ・形・動きまでが感じられるよう 丁寧に描かれている。 (写真=©2025.CJ ENM Japan/STUDIO DRAGON all right reserved)

韓国ドラマ制作陣が得意とする美しい「雨のシーン」 雨粒の美しさ・形・動きまでが感じられるよう 丁寧に描かれている。 (写真=©2025.CJ ENM Japan/STUDIO DRAGON all right reserved)



和気藹々とした撮影現場

撮影も日韓の共同チームで進められました。
佐藤さんは「言語が違っても全く問題はなく、
エンターテインメントは共通の言語だと感じた」と語り、
小芝さんも「韓国の監督ならではの演出が新鮮で、多くを学んだ」と振り返りました。

アン監督は日本語を覚え、通訳を介さず積極的にコミュニケーションを取る姿勢も見せたそうです。

また初共演となった主演の佐藤さんと小芝さんのお二人は互いに「知識が深く勉強になる存在」・「明るく現場を盛り上げてくれる存在」と評し合い、和やかな現場の空気が伝わってきました。

主人公・美紗(小芝さん)と鈴木部長(佐藤さん)の第3話の会話シーン (写真=©2025.CJ ENM Japan/STUDIO DRAGON all right reserved)

主人公・美紗(小芝さん)と鈴木部長(佐藤さん)の第3話の会話シーン (写真=©2025.CJ ENM Japan/STUDIO DRAGON all right reserved)



撮影のこぼれ話

イベントでは他の出演者から撮影のこぼれ話も披露されました。

小芝さん演じる主人公・美紗の夫・友也を演じた
横山裕さん(以下「横山さん」)は試着シーンでアラームが鳴り、
思わず「万引きと勘違いされた」というユニークなエピソードを紹介。

主人公の幼馴染・麗奈を演じた白石聖さん(以下、「白石さん」)は
「カレーをかけるシーンで粘度を変えて撮影し、思った以上に飛び散った」と振り返りました。

そして主人公の職場の後輩・未来を演じた黒崎レイナさん(以下、「黒崎さん」)は
「食事シーンで口に入れすぎてNGになり、お腹いっぱいになった」と明かし、
主人公の高校時代の同級生・悠斗役を演じた七五三掛龍也さん(以下、「七五三掛さん」)は
「風の吹き具合にこだわった監督の演出にNGが多く出た。風に祈るような気持ちで挑んだ」と
笑顔で語りました。

また小芝さんは「マンションの落下シーンで首を痛めたが、白石さんがオイルを届けてくれて
救われた」と明かし、そこに横山さんが「毒じゃないよね?と思った」と冗談を交えるなど、
イベント会場は和やかな雰囲気に包まれていました。

さらに主人公の職場の先輩・住吉を演じた田畑智子さん(以下、「田畑さん」)は
「タイトなスケジュールで大変な中でも、現場は和気あいあいとしていました。

小芝さんが常に明るい笑顔でいてくれて、本当に救われました」と話し、
頼れる先輩として現場を支えていた様子を伝えました。

撮影現場での思い出を笑顔でお話される主人公・美紗の先輩  住吉役の田畑智子さん (写真=いとう めぐみ)

撮影現場での思い出を笑顔でお話される主人公・美紗の先輩 住吉役の田畑智子さん (写真=いとう めぐみ)


役づくりについても出演者から次のような話がお披露目されました。
横山さんは「自分にはない人物像を演じる難しさに悩んだが、監督の『行け!』という
言葉を信じて友也を全うできた」と語りました。

また白石さんは「美紗と仲良く見せつつ裏腹な気持ちをどう出すか苦労したが、監督から
『満足するまで撮るから安心して』と言われて支えられた」と振り返り、七五三掛さんは
「かっこよさとアイドル的でない自然さの塩梅が難しかった。監督から最後に
『最初の頃よりかっこよくなった』と言われ、とても嬉しかった」と笑顔を見せました。
黒崎さんは「(未来が)序盤と中盤以降で役の印象が大きく変わり、シリアスな場面を明るく
引っ張っていく役割を意識ながら演じた」と語り、物語のキーパーソンとしての役割について
触れていました。


タイムリープで戻りたい過去

イベントでは「タイムリープで戻れるなら」・「10年前に戻れるなら?」という
企画も行われました。七五三掛さんは「打ち上げでもう少し佐藤さんと話したかった」と答え、黒崎さんと田畑さんは「後悔はない」と前向きな回答を披露。
白石さんは「高校生に戻って課題を提出したい」と笑いを誘い、
横山さんは「(前日に訪れた中華料理店で)
中ライスを大にしておけばよかった」と会場を和ませました。

お題の回答をされている白石さん(左)と黒崎さん(右) (写真=いとう めぐみ)

お題の回答をされている白石さん(左)と黒崎さん(右) (写真=いとう めぐみ)


終盤、主演の佐藤さんは「中盤以降は日本オリジナルの展開になり、
韓国版を見た方も新鮮に楽しめます」と話し、小芝さんも「オリジナル要素を含め、
最後までぜひ楽しんでほしい」と呼びかけました。


Kドラマ(韓国ドラマ)輸出2.0の幕開け

「韓国が制作する初めてのJドラマ」として制作された本作は、
「Kドラマ(韓国ドラマ)輸出2.0の幕開け」とも言われた作品です。

また従来からの版権ビジネスに留まらず、韓国の制作会社が他国で直接作品を
企画・制作するという新しい形態の作品でもありました。

本作は昨年6月の配信開始後から日本版は配信サービス内でのランキングで1位を記録し、
既に配信されていた韓国版とともに、日本版を目にした方が韓国版も楽しむなど、
日韓版双方を見比べて楽しむ方なども現れて、多くの注目を集めました。

韓国のスタッフが日本の風景美や情緒を丁寧に映し、日本の脚本家と俳優陣が演じることで
生まれたユニークな作品は、日韓エンターテインメントの交流がまた一段階、
深くなったことを象徴する作品でもありました。

そして韓国が誇るエンターテインメントの祭典「AAA 2025(Asia Artist Awards 2025)」で
主演を演じられた佐藤さんはこの作品の出演をきっかけに「ベストアーティスト賞(俳優部門)」と「アジアスター賞」の2つを同時受賞されました。

2026年に入ってからは日本の地上波でも韓国の第一線で活躍する俳優の方々を目にするようになり、
制作現場での日韓協業の裾野はさらに広がりを見せています。
「私の夫と結婚して」日本版は、単なるリメイクでも従来型の国を跨いだ共同制作でもなく、
韓国の制作陣と日本の情緒・俳優・景色が出逢うことで生まれた
新しい日韓エンターテインメントの形を示した作品でもありました。

また制作発表会で語られた出演者の言葉の数々から伝わってきたのは、
国や言語の違いを越えて、よりよい作品を共に作ろうとする現場の熱量でした。

その熱量は、ブックレットのクレジットに日韓の制作者の氏名が混在する
OST(オリジナルサウンドトラック)の発売や出演者の海外での評価、そしてなお今も
広がり続ける日韓協業という時代の流れの中にも確かに息づいています。

日韓の人々の氏名が一緒に記載された作品OSTブックレット (写真=いとう めぐみ/筆者私物)

日韓の人々の氏名が一緒に記載された作品OSTブックレット (写真=いとう めぐみ/筆者私物)


韓国作品が世界で一つのコンテンツとして定着した時代から
韓国の制作陣が各国の俳優・脚本家と物語をともに作り上げていく時代への
変化が生まれた2025年夏。

そして1年後の今、2026年夏も「私の夫と結婚して」日本版は、その変化の始まりを
記録した作品として、日韓エンターテインメントの新しい可能性を
今も示し続けています。

【作品情報】

Amazon Originalドラマ「私の夫と結婚して」日本版(全10話)
Prime Videoにて配信

©2025.CJ ENM Japan/STUDIO DRAGON all rights reserved

*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

hjkoh@korea.kr