[文・写真=田尾秀子]
みなさんは全羅南道 順天市にある、ユネスコ世界文化遺産候補として注目を集めている「楽安邑城(ナガンウプソン)」をご存じでしょうか。2011年には暫定リストに登録され、世界文化遺産登録に向けて、その歴史的価値が注目されています。
茅葺き屋根の家々が並ぶ、楽安邑城の町並み
■ 邑城(ウプソン)とは
日本では「邑城」という言葉はあまり馴染みがありません。どのような意味かというと、地方行政の中心となる町(邑)を城壁で囲んだ城郭都市のことを言います。
■ 楽安邑城の歴史
楽安邑城は1397年、倭寇の侵入に備えるために築かれ、1626年に現在残る石造りの城壁へ改築されました。朝鮮時代、地方行政の中心となる町には役所が置かれ、外敵から町を守るため城壁で囲まれました。そのため、ただ単に城があるわけではなく、城壁の内側には役所や民家、楼閣などが復元され、城壁には雉城(チソン)と呼ばれる防御設備も設けられています。こうして、朝鮮時代の町の姿を今に伝えています。現在でも、約90世帯の人々が伝統的な茅葺き家屋で暮らしています。
東軒「使無堂」と呼ばれ、地方の行政を執り行っていた場所
■ 実際に訪れてみて
順天駅からバスに揺られ、1時間程で楽安邑城に到着すると、そこはまるで朝鮮時代に遡ったかのような景色が広がっていました。邑城の入口まで行くと、まず目に飛び込んできたのは立派な東門でした。
どこからどう巡って行けば良いのかと思うくらいに広く、まずは夏が見頃の蓮池へ向かいました。白とピンクの蓮の花が、伝統的な茅葺き家屋とマッチしていて、まるで当時の衣装をまとった人々が現れそうな雰囲気を醸し出していました。
白い花が咲いている蓮池と城壁
城壁に沿って歩くと、陶芸工房や昔ながらの共同洗濯場など、朝鮮時代の暮らしを感じられる場所にも出会えました。やがて現れる急な階段を上がりきると、眼下には茅葺き屋根が一面に広がっていました。
たくさんの茅葺き家屋が建ち並ぶ様子
私は思わず「この景色が見られただけでも来てよかった」と思えるほどの絶景を目にし、しばらくその場を離れることができませんでした。
そして、訪問後に改めて地図を確認すると、展望台近くにはドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』のセットがあることを知りました。さらにパンフレットを見返すと、国楽や鍛冶屋、天然染め、豆腐作りなど、様々な体験プログラムが用意されているようです。
また時間に余裕を持って、ゆっくり訪れてみたい場所になりました。
陶芸工房もありました
実際に楽安邑城を歩いてみると、美しい城壁や茅葺き家屋の町並みに加え、今もその景色の中で人々が暮らし、歴史や文化を受け継いでいることこそ、この場所ならではの大きな魅力だと感じました。
*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
hjkoh@korea.kr