名誉記者団

2026.10.01

他の言語で読む
  • 한국어
  • English
  • 日本語
  • 中文
  • العربية
  • Español
  • Français
  • Deutsch
  • Pусский
  • Tiếng Việt
  • Indonesian
[文=田尾秀子]

K-Bookも今やトレンドのひとつに加わっているようです。

そのことを表すかのように、駐大阪韓国文化院では、9月を「2026年 韓国文学の月」として、さまざまなトークショーや講演が開催されました。その中から今回取り上げるのは、韓国の図書館をテーマにした「韓国の図書館事情」という講演会です。

今回の講演者のパク・ヨンエ先生。(講演会資料より) 写真=田尾秀子

今回の講演者のパク・ヨンエ先生。(講演会資料より) 写真=田尾秀子


講演者は、韓国・議政府美術図書館など、革新的な図書館プロジェクトを企画されているパク・ヨンエ先生です。

先生は、図書館で30年にわたるキャリアを持ち、公共図書館の企画・建築・運営を一貫して担う「図書館ディレクター」として活躍されています。これまでに15か国・51都市・119館もの海外の図書館を視察し、さらに7館の建設・開館プロジェクトを統括されたようです。

講演ではこうした経験をもとに、さまざまな公共図書館についてお話しくださいました。

議政府には、さまざまな特色を持つ図書館があります(講演資料より) 写真=田尾秀子

議政府には、さまざまな特色を持つ図書館があります(講演資料より) 写真=田尾秀子


まず、図書館は「本がたくさんある空間」でしょうか?それとも、「本もたくさんある空間」でしょうか?という問いかけから、時代とともに図書館が変化していくという大変興味深い内容でした。その中で、私が特に印象に残り、ぜひ訪れてみたいと思った図書館をご紹介します。

■ 議政府美術図書館

本とアートが出会う、議政府美術図書館の外観 写真=韓国観光公社

本とアートが出会う、議政府美術図書館の外観 写真=韓国観光公社


2019年、それまで美術館が存在しなかった議政府に、美術図書館が開館しました。その背景には、議政府に暮らしと創作の拠点を置いた韓国近現代美術の巨匠、ペク・ヨンス氏の存在があります。地域の芸術家としてペク・ヨンス氏を記憶し、市民とともにつないでいくことも、この図書館の役割のひとつです。

また、この図書館は本と作品をつなぐだけでなく、展示を見るだけにとどまらない、多様な体験ができる場所です。私が特に興味を持ったのは、そこに「学び」「体験」「つながり」があり、その先に「成長」までつながっていることです。図書館と美術館の間に、新たなジャンルが生まれたようにも感じられる図書館です。

● 希少な美術資料から探求まで

分かち合いによるアートコレクションとして、寄贈された美術資料を紹介するコーナーがあります。また、以前は高価な書籍を所有することはなかったそうですが、公共図書館だからこそ、市民に還元するために貴重な資料を所蔵するようになったとのことです。その一例が、デビッド・ホックニーの「ビッグブック」です。

さらに、韓国近現代美術の記録と探求につながる「新写実派資料」も紹介されています。

● 予備・新進作家に、展示の舞台を提供

美術を専攻する学生には、卒業制作のために創作空間(オープンスタジオ)を提供したり、作品を発表する舞台として展示や公募展を通じて市民と出会う機会を提供します。このようなことで作家の成長を支えます。

● 青少年文化芸術アカデミー

次世代のキュレーター(展覧会の企画者や学芸員)を育成・支援するプログラムとして、そこで展示を学び、芸術を市民に伝えるという現場を経験しながら専門性が育まれます。

● 市民の成長

市民がドーセント(ボランティアガイド)について学ぶことができます。作品を理解し、解説を準備することで、学んだことを地域の人と分かち合う活動にもつながっています。

● つながり

市民の日常の空間ともいえる議政府美術図書館には、美術を愛するBTSのRMも訪れています。個人的な訪問と美術書の寄贈を通じて図書館とのつながりが生まれました。今では世界からも関心を集める文化的なスポットとなっていることも印象的です。

議政府美術図書館を訪れたBTSのRM (講演資料より) 写真=田尾秀子

議政府美術図書館を訪れたBTSのRM (講演資料より) 写真=田尾秀子


● 建物の特徴

この地域の画家として知られるペク・ヨンス氏の作品『星』のイメージを、館内外のデザインに取り入れています。また、壁をなくして視線をつなぐことで、異なる階や活動が一つの空間としてつながり、歩く中で新たな発見が生まれるよう工夫されています。

■ 議政府音楽図書館

世界的なピアノブランド「スタインウェイ」のピアノが置かれた議政府音楽図書館 (講演資料より) 写真=田尾秀子

世界的なピアノブランド「スタインウェイ」のピアノが置かれた議政府音楽図書館 (講演資料より) 写真=田尾秀子


図書館といえば、静かな空間をイメージされる方が多いのではないでしょうか。議政府音楽図書館については、今回の講演者のパク・ヨンエ先生が千葉市立中央図書館を視察された際、ロビーで行われていた音楽公演と、その公演を包む空間をご覧になったことがきっかけになったそうです。

議政府音楽図書館は2021年に開館しました。一般的な図書館で本を探すように、ここではLP・CD・楽譜・音楽書など、音楽にまつわるさまざまな資料を探すことができます。

この図書館のテーマは「ブラックミュージック」です。

● テーマの理由

議政府には長く米軍基地が置かれていました。米軍を通じて新しい音楽が広がり、大衆音楽の文化も育まれていきました。こうした地域の歴史や音楽文化から見つけたテーマが「ブラックミュージック」です。ジャズ・ブルース・ヒップホップ・R&Bなどの資料も継続的に収集しています。

● 体験

たくさんのLPやCDの中から好みのものを選んで鑑賞できるのはもちろん、楽譜を閲覧することもできます。さらに、楽器演奏ができるスペースもあり、スタインウェイのピアノを実際に弾いてみることもできるそうです。また、演奏や公演に触れるなど、さまざまな形で音楽を体験できます。

■ 講演会に参加して

今回、「韓国の図書館事情」の講演会に参加してみて、私が思っている図書館は、「静かな場所」や「本を探す場所」、「本を読む場所」、「本を借りる場所」というイメージしかありませんでした。

しかし、講演の最初に投げかけられた「図書館は『本がたくさんある空間』でしょうか?それとも『本もたくさんある空間』でしょうか?」という問いに、講演を聞いていく中で、その意味が少しずつ見えてきました。韓国の図書館は、単に本を閲覧するだけではなく、学びや体験、創作を通して成長したり、人とのつながりが生まれたりする場所へと多様に変化していることがわかりました。さまざまな特徴を持つ図書館をご紹介していただき、これまで私が持っていた図書館のイメージがガラリと変わりました。

私はこれまで韓国を訪れても、図書館に足を運んだことがありませんでした。韓国語が少し理解できても、ハングルで書かれたたくさんの本を前にして、「果たしてその中から自分の好みにあった本に出会えるのだろうか?」という気持ちがあり、なかなか訪れるきっかけがありませんでした。

しかし今回、美術や音楽を楽しめる図書館があることを知り、図書館もまた、新たな旅の目的地になり得る場所なのだと気づきました。

次に韓国を訪れるときは、K-Libraryにも足を運んでみたいと思います。

*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

innocence@korea.kr