[文・写真=いとう めぐみ]
みなさんは普段、どのようなお茶を飲んでいますか。
緑茶や麦茶・烏龍茶などのさまざまなお茶が販売され、日常で気軽に楽しめるようになっています。
今回は、暮らしに身近な日韓の「お茶」について筆者の気づきと、それにまつわるお話をご紹介します。
韓国で出逢った烏龍茶
ある日、韓国人の友人と韓国の焼肉店を訪れたときのこと、
私のことを日本人だと知った店主が笑顔で「日本の方は焼肉の時、よくこれ飲むでしょう。
要りますか?」と日本ではおなじみの黒い缶に入った烏龍茶を出してくださいました。
ところがその様子を見ていた韓国人の友人から
「これはなに?」と質問を受け、日本の烏龍茶であることを伝えたところ
「焼肉の時、韓国人は烏龍茶は飲まないね」との話を耳にしました。
その時、これまで筆者が韓国を訪れた際に韓国の飲食店やコンビニでは
烏龍茶を見かける機会がほとんどないことも思い出しました。
そして「韓国で烏龍茶はメジャーではないのだろうか?」
そのような素朴な疑問から、筆者は日韓のお茶について調べてみることにしました。
韓国のコンビニに並ぶさまざまな飲料の様子
本当に韓国で烏龍茶はあまり飲まれていないのか?
韓国メディア「毎日経済」が2024年3月に報じた茶飲料に関する調査によると、
韓国人が週1回以上飲むお茶として、麦茶(59.7%)、緑茶(58.9%)、
玄米茶(52.5%)などが挙げられていました。
気になっていた烏龍茶も47.4%とのことから筆者は飲食店やコンビニで
烏龍茶に遭遇することが少ない気がしていましたが
どうやら筆者が思っていたより韓国でも烏龍茶は飲まれているようです。
ただし、この調査は過去3か月以内に容器入り茶飲料を飲んだ経験のある
20〜49歳の男女500人を対象としたもので、韓国人全体の飲用状況を示すものではなく
また、飲用頻度と商品の販売量は異なるため、
実際の流通状況を直接比較することはできませんが
それでも、韓国で烏龍茶が全く飲まれていないわけではないことが分かりました。
そして、もう一つ興味深かったのが、日本ではあまりなじみのない
「決明子茶(결명자차/キョルミョンジャチャ:けつめいしのお茶)」が48.0%と、
烏龍茶をわずかに上回っていたことです。
決明子(けつめいし)茶ってどんなお茶?
決明子(けつめいし)茶という名前を初めて耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
決明子とは、マメ科の植物であるエビスグサなどの成熟した種子を乾燥させたものです。
韓国では、この種子を焙煎して煮出した決明子茶が知られています。
日本でも、決明子は生薬として知られていますが、
日常的な飲み物としては緑茶や麦茶ほどの馴染みはないように感じます。
同じ「お茶」でも、日韓で親しまれている種類が異なるのは興味深いものです。
日韓の麦茶で違いはあるのか?
そして先ほどの調査で最も高い割合を示したのが、麦茶(보리차/ポリチャ)でした。
麦茶といえば、日本でも昔から親しまれている飲み物です。
特に夏になると、冷蔵庫で冷やした麦茶を飲む機会が増えるという方も多いのではないでしょうか。
韓国でも麦茶は身近な飲み物の一つで、家庭や食卓で親しまれています。
日本の麦茶と韓国のポリチャ。
実は、原料や基本的な製法はどちらも主に焙煎した大麦を使用し、
煮出したり、水で抽出したりして作られます。
香ばしい風味も共通しており、焙煎の仕方については筆者も過去に
「日本では深煎り、韓国では浅煎りの傾向がある」という話を耳にしたことがあります。
「そんな違いがあるのか」と興味を持ちましたが、実際に調べてみると
メーカーや商品によって焙煎の仕方も異なるため、
国ごとの特徴として一概に比較することは難しいようです。
また日本で麦茶は夏の飲み物という印象がありますが
最近ではペットボトル飲料の普及で一年を通して
飲まれるものになりつつあります。
そして韓国でも麦茶は日常的な飲み物として親しまれ、
水の代わりに飲まれることもあります。
更には両国とも冷たい麦茶だけでなく、温かい麦茶を楽しむ習慣もあります。
日韓の麦茶には大きな違いはない代わりに多くの共通点があり、
麦茶は両国の人々に愛されている飲み物となっているようです。
また最近では韓国のペットボトル飲料の麦茶はこれまでの
オリジナルの風味だけではなく「누룽지(おこげ:釜でご飯を炊くと底にできる香ばしいもの)」の風味を加えてより香ばしさが感じられるものが販売されていたり、時代とともに麦茶も少しずつ変化しているようです。
左はオリジナルの麦茶/右はおこげを配合した韓国のペットボトル麦茶
果実を使ったお茶の種類が豊富な韓国
日本では緑茶やほうじ茶・玄米茶・烏龍茶・紅茶など葉から作られるお茶が多いですが、
韓国では日本と同じく緑茶などの茶葉を使ったお茶もありますが果実や穀物などを
原料としたさまざまなお茶も日常的に親しまれています。
例えば、韓国の伝統茶として知られて日本でもお馴染みになりつつある
柚子の果実を砂糖や蜂蜜などに漬けたものを、お湯や水で溶かして飲む
柚子茶(유자차/ユジャチャ)。
そして他にも梅茶(매실차/メシルチャ)や、花梨茶(모과차/モグァチャ:主に「マルメロ」を使用したもの)などがあります。
韓国を訪れると果実を使った伝統茶に触れる機会も多く、日本とはまた違うお茶の楽しみ方があるように感じます。
柚子や梅などの韓国伝統茶セット
素朴な疑問から知った日韓のお茶事情
ソウルの焼肉店での出来事をきっかけに今回、日韓のお茶について調べてみましたが
改めて普段何気なく飲んでいる一杯のお茶にも、それぞれの国の暮らしや文化が
表れているのだなと感じました。
これからの時期、温かいお茶がより一層嬉しい季節になります。
みなさんも韓国を訪れる際は、韓国ならではのお茶も楽しまれてみてはいかがでしょうか。
日本では出逢えなかった新たな味覚や発見があるかもしれません^^
*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
hjkoh@korea.kr