[文・写真=駒瀬元暉]
皆さん、韓国の街を歩きながらこう感じたことはないですか?「
あれ、韓国って全然お寺を見かけないな」と。
例えばソウルでは江南の奉恩寺(ポンウンサ)などは有名ですが、一部を除き街でほとんどお寺を見かけることはありません…。
では、韓国のお寺の多くはどこにあるのでしょうか?
そう、答えは
山の中!一般に韓国でお寺は山にあるもの。
このような山にあるお寺は「
山寺」(
サンサ *산사)と呼ばれ、韓国で登山をするとよく出会うことができます。
今回はソウル在住の私が行ってきた美しい山寺をご紹介しながら、韓国の山寺が持つ独自の景観、そして現在にも受け継がれる魅力に迫っていきます!
道峰山の登山道の途中にある天竺寺。圧巻な風景を誇る山寺だが、なんとソウル市内にある。
首都圏で楽しめる絶景山寺
上に載せた写真は、岩山を背後にした山寺
天竺寺(チョンチュクサ)。
事前リサーチなしで訪れたのですが、豪快すぎる景色に衝撃を受けたのを覚えています。
新羅時代の673年に最初築かれ、朝鮮を建国した李成桂はここで100日間祈祷を行ったという歴史深い山寺ですが、何より驚きなのが ”
ソウル市内にある” ということ!
ソウル北東部にそびえる名山
道峰山(トボンサン)のメインの登山コースの中間に位置しています。世界的に見ても珍しい、緑豊かな山々があちこちにある首都のソウル。
日帰りで気軽に登山と絶景の山寺を見に行くことができます。
こちらも道峰山の中にある望月寺。紅葉と建物の調和が美しかった。
自然をそのまま活かす "韓国建築の美"
上の写真は、先程ご紹介した天竺寺と同じく、道峰山の登山道の途中にある
望月寺(マンウォルサ)。
こちらはソウルのすぐ隣の議政府市にあります。今年の秋に登ってきたのですが、紅葉と建物の調和が一枚の絵のような景色でした。
さて、天竺寺と望月寺どちらもすぐ後ろに荒々しい岩が迫っていて、圧巻の風景ですよね。
お寺自体も山の斜面にそのまま建てられた雰囲気で、境内も平坦な部分が狭く傾斜も急です。
斜面上に所狭しと立ち並ぶ望月寺の建物。自然と華麗な人工物の対比が独特な雰囲気だ。
調べてみたところ、このように周りの自然環境を残したまま建物を建てるのは
韓国建築ならではの伝統だと言います。
韓国の伝統建築では周りの自然と一体化し、そのまま背景として取り込む手法が一般的なんです。
思えば、ソウルでも景福宮などの有名観光地や高層ビルのすぐ後ろに山々が連なっているのを見ると、韓国全体で “
自然と共に生きる” 意識が受け継がれてきたのだなと実感します。
こちらもソウルの隣、楊州市にある五峰山石窟庵。見ての通り背後の絶壁が圧巻の一言。
現代に生き続ける韓国山寺の伝統
周りの自然環境と一体化した独特な景観を持つ山寺。
そんな韓国の山寺は現在、全世界でその価値が認められています。そう、
世界遺産に登録されているんです!
ユネスコ世界文化遺産には韓国語の発音のまま “
Sansa” として説明され、特に歴史的価値の高い7ヶ所の山寺(
通度寺・浮石寺・鳳停寺・法住寺・麻谷寺・仙岩寺・大興寺)が登録されています。
残念ながら私は7ヶ所の内どこにも行ったことがなく...
インターネットやSNSで写真をよく見るのですが、画面越しでも周りの山々の壮大さ、
現存の建物が醸し出す厳かな雰囲気に魅了されています。いつか行ってみたい!
韓国の寺院に行くと必ずある、祈祷の空間。今でも重要な出来事の前に祈祷を行うことも多い。
世界遺産として歴史的価値が認められているのはもちろん、現代を生きる人々の暮らしにも韓国山寺の伝統は広く受け入れられています。
その代表例が「
テンプルステイ」。
名前の通り、一般人が寺院に滞在しながら僧侶の生活を体験できるプログラムで、韓国人はもちろん、外国人観光客にも人気がとても高い旅行商品です。
日帰りでも宿泊型でも楽しむことができ、朝早く起きての礼拝や瞑想、精進料理や茶の体験、僧侶の方との対談など、気軽に仏教文化に触れられます。
仏教に関心のある人でなくても、忙しい日常から離れ、心を落ち着ける
ヒーリング目的で参加する人も多いといいます。
テンプルステイの存在は、韓国山寺が
自然な形で現代の暮らしと結びついている証拠だと感じます。
テンプルステイも行っている、高陽市の興国寺。バックの山々があまりに美しいこの山寺もまた、ソウルからすぐそばの距離だ。
今回は、韓国の山寺の
自然と一体化した独自の魅力、現代まで生き続ける山寺の文化についてご紹介してきました。
さて冒頭で少し触れたとおり、韓国では街にお寺が少ないのですが、これは朝鮮時代に儒教が国教になったため、仏教は徹底的に弾圧を受け、多くのお寺が破壊されたからなんです。
そんな苦難の歴史を経ながら、山奥で細々と命脈を繋ぎ、21世紀の現在再び世界から脚光を浴びている韓国の山寺。
ソウルから日帰りで行ける場所も多いので、ぜひ山寺に訪れてみて、大自然と調和したダイナミックで優雅なビューを満喫してみてください。
*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
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