釜山市海雲台区のランドマーク「BUSAN X The SKY」から眼下に広がる、海雲台のパノラマ風景=テレシア・マーガレット
ホ・ミン 国家遺産庁長
人類が共に守り、未来へ継承すべき普遍的価値を持つ遺産について議論する「文化外交のオリンピック」、ユネスコ世界遺産委員会が19日、釜山で開幕する。48回目となる今回の委員会は、韓国が1988年に世界遺産条約に加盟して以来、初めて議長国を務める歴史的な会議となる。国際社会から援助を受ける立場だった韓国が、文化外交をリードする国へと成長した韓国にとって今回の委員会は、韓国の国家遺産政策における重要な節目であり、「K-ヘリテージ」の存在感を世界へ発信する絶好の機会となるだろう。
韓国は、1988年に条約に加盟して以来、短期間で17件の文化遺産および自然遺産を登録し、その卓越した普遍的価値を国際社会から高く評価されてきた。1995年に登録された宗廟(チョンミョ)、石窟庵(ソックラム)・仏国寺(プルグクサ)、海印寺(ヘインサ)蔵経板殿をはじめ、韓国の世界遺産は、いずれも豊かな歴史の層を宿している。2007年に韓国初の自然遺産として登録された「済州(チェジュ)火山島と溶岩洞窟群」は、その優れた地質学的価値と太古の景観で世界を魅了した。さらに、昨年登録された「盤亀川(パングチョン)岩刻画」は、先史時代の暮らしや精神文化を今に伝える人類共通の遺産である。韓国の世界遺産は、最初の自然遺産から最新の文化遺産に至るまで、自然と人間、過去と現在がどのように共存してきたかを示している。
今回の開催地である釜山は、開催都市として象徴的な意義を持つ。釜山は、韓国戦争当時、全国の避難民を受け入れた「避難首都」であった。戦火の中でも人類の尊厳と希望を守り続けた痕跡が街の随所に残されており、世界遺産暫定リストにも登録されている。戦争による荒廃を乗り越え、国際社会からの援助を基に目覚ましい経済成長と復興を成し遂げた釜山は、世界遺産の専門家らが集まり、未来について話し合う国際協力の舞台となる。苦難を克服し、回復と繁栄を実現した釜山の歩みは、ユネスコの目指す平和と共生の理念と完全に合致するものである。
韓国で初めて開催される今回の世界遺産委員会は、韓国の国際的なリーダーシップを一段と引き上げる決定的な契機となる見通しだ。初の議長国就任は、韓国が単に多くの遺産を有する国というだけでなく、世界遺産の保全および管理体制をリードする国として国際的に認められたことを意味する。特に今回の会議では、「韓国の干潟(第2段階)」の拡大登録の可能性が高く、期待が高まっている。拡大登録が実現すれば、生物多様性の宝庫である韓国の干潟の価値を世界に改めて示す重要な機会となるだろう。
さらに韓国は、世界遺産が直面する複合的な危機を乗り越え、グローバルな遺産政策の未来ビジョンを提示する「釜山宣言」の採択を準備している。現在、世界遺産は気候変動による損傷や武力紛争に起因する破壊など、かつてない危機に直面している。韓国はこれに対応するため、ユネスコが定める従来の5つの戦略目標(信頼性、保全、能力強化、コミュニケーション、地域社会)に「協力(Collaboration)」を加え、国際連帯の強化を提案する方針である。また、世界遺産分野では初めてデジタル化における倫理と責任の問題を宣言に盛り込み、人工知能(AI)時代において遺産の真正性をいかに守るかという課題を提起する計画である。
「釜山宣言」が、単なる一過性の成果にとどまらず、今後、国際社会で継続的に語り継がれる世界遺産分野の重要なマイルストーンとなることが期待される。そのため、国家遺産庁は、様々なフォローアップ事業の推進と「釜山フォーラム」の開催を計画している。「釜山宣言」を起点として、韓国は、グローバルな文化外交の舞台で持続可能かつ責任あるリーダーシップを発揮する考えである。
今回の委員会の目玉となるのは、BEXCOに設けられるサッカー場約2面分の広さを誇る「大韓民国館(K-Heritage House)」である。同館は、海外からの参加者だけでなく、国民の誰もが自由に訪れ、世界遺産や無形遺産、記録遺産など質の高い伝統文化コンテンツを体験する空間だ。伝統文化と先端技術が融合した「大韓民国館」を呼び水に、「K-カルチャー」の源流である「K-ヘリテージ」の発信を強化する。韓国の文化遺産の優れた価値を世界に示すと同時に、国民の誇りを高める場となる見通しだ。
世界遺産は、単なる過去の遺物ではなく、未来世代へと継承すべき人類共通の資産だ。釜山から発信される「Kヘリテージ」のメッセージは、世界に深い感銘を与え、文化大国としての韓国の地位をより強固にする重要な契機となるだろう。第48回世界遺産委員会の成功裏の開催を通じて、韓国が世界遺産条約の未来をけん引する、真のグローバルリーダーとして確固たる地位を築くことを期待する。
ホ・ミン庁長は、2025年7月に国家遺産庁長に就任した。