オピニオン

2026.09.08

「2025世界新安保フォーラム」で演説するチョ・ヒョン外交部長官=昨年9月、ソウル、外交部

「2025世界新安保フォーラム」で演説するチョ・ヒョン外交部長官=昨年9月、ソウル、外交部



[チョン・ボングン]
世宗研究所 客員研究委員、韓国核政策学会会長

2020年代に入り、米中対立と米ロ対立が本格化する中、冷戦後の平和で安定していた国際秩序が急速に悪化した。米国の覇権が主導した、いわゆる「一極の瞬間」が終わり、世界は多極化と陣営化が進み、強国政治や勢力競争が激化する中、各国が自国の生き残りを図る戦争の時代へと突入した。冷戦終結後の30年間、グローバル化や自由貿易、デジタル化の波が戦争のない豊かな世界をもたらすという楽観論は影を潜めた。AI・半導体・ドローン・サイバー・宇宙技術などの「新興技術」は、国民の福利や人類の共栄のための手段である一方、国家間の勢力競争における中核的な戦略資産であり、戦争の手段にもなった。まさに、従来、国力や大戦略の構成要素とされてきたDIME(外交・情報・軍事・経済)に「技術」を加えた「DIME+T」の時代が幕を開けたのである。

新興技術は、社会に大きな恩恵をもたらす一方で、新たなリスクも生み出している。AIは知識の生産・活用、疾病の診断や新薬の開発、災害予測、生産性の向上などに大きく貢献する一方、戦場では殺傷力を最大化し、人間的・倫理的な熟慮を排除した殺傷につながる可能性がある。AIモデルを核危機の意思決定に適用した研究では、核兵器使用のタブーがAIの戦略的判断を十分に抑制できず、核兵器による威嚇や核兵器の使用が頻繁に選択されるなど、核使用のリスクが指摘された。映画『ターミネーター』に描かれたような、AIが引き起こす核戦争後の世界が、にわかに現実味を帯びてきた印象すら受ける。ドローンは遠隔地の山火事を監視し、医薬品を迅速に輸送する一方で、安価で効率的な殺傷兵器となり得る。宇宙技術も同様に、通信・航法・気候観測などの公共サービスを支える一方で、宇宙を新たな戦場へと変えた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は2018年、国連の「Securing Our Common Future」と題する軍縮アジェンダ報告書を発表し、新興技術の軍事化が急速に進む一方、国際法や軍縮規範、政府による規制は著しく遅れていると警鐘を鳴らした。特に、AI・自律兵器・ドローンは、自国の人的被害や政治的コストを抑え、武力行使のハードルを下げることで、人間の判断力や責任感を損なわせる可能性があると指摘した。さらに、サイバー・極超音速・宇宙技術は、誤認やエスカレーションのリスクに加え、戦略的不安定性を増幅させる恐れがある。加えて、新興技術は大量無差別兵器へのアクセス障壁を下げ、既存の核不拡散体制が脅かされる可能性も指摘した。グテーレス事務総長はこうした状況を踏まえ、武力行使における人間の統制力を回復し、国際規範を順守するとともに、透明性と責任明確化の向上を求めた。さらに、無差別かつ過度な殺傷力を持つ兵器システムの開発・取得を自制し、必要な新しい政治的・法的ルールを整備することを呼びかけた。

新興技術のデュアルユース(軍民両用)の性質を踏まえると、本質的な課題は技術そのものを禁止することではなく、その軍事利用を人間の統制と国際規範の下に置くことにある。新興技術が無分別かつ無責任に自律兵器や大量破壊兵器の開発・運用に用いられるのを防ぐためには、先端兵器の開発・使用に対して責任性・信頼性・人道性を求める新たな軍備管理規範の確立が不可欠だ。

韓国にとって、こうした新興技術の発展と運用は極めて大きな利害関係を伴う。先端科学技術国家であると同時に貿易立国でもある韓国にとって、新興技術の責任ある利用は、国家の発展の命運がかかっていると言っても過言ではない。さらに、北朝鮮の核脅威にさらされている分断国家であり、強国に囲まれた韓国にとって、新興技術が韓半島や周辺地域の安定を損なうために利用されるのを防ぐことは、直接的な安全保障上の利益にかかわる。加えて、韓国は先導的な中堅国として「グローバル責任大国」を目指している。その一環として、国際社会の主要な関心事となっている新興技術の無責任な兵器化を抑制し、責任ある利用を積極的に支持している。

韓国は先導的な中堅国であり、先端科学技術国でもある。2021年に「世界新安保フォーラム(WESF)」を発足させ、様々な新興技術や新安保問題をめぐる国際規範の議論をけん引してきた。今年9月に開かれる第6回フォーラムでは、近年のウクライナ情勢や中東紛争で明らかになった新興技術の本格的な軍事利用に焦点を当て、AI・ドローン・低軌道宇宙技術・核抑止・戦略的安定性などについて議論する。この会議は、韓国が推し進めてきた中堅国外交・国際安全保障外交の延長線上にある。

韓国は2012年、ソウル核安全保障サミットを主催し、当時の脅威であった「核テロ」に対応する国際規範の強化に大きく貢献した。2023年からは、「人工知能の責任ある軍事利用に関する高官会合(REAIM)」を開催し、軍事分野におけるAIの規範形成をめぐる議論を主導してきた。2024~2025年に国連安全保障理事会の非常任理事国を務めた際には、サイバー安全保障に関する公開討論を主催した。

今後、韓国の中堅国外交・国際安全保障外交の伝統を受け継ぐため、世界新安保フォーラムを現在のような年次会議にとどめず、新安保に関する国際規範を創出する「ソウル新安保プロセス」へと発展させることを提案したい。「DIME+T」の時代を迎え、韓国が目指す「グローバル責任大国」としての役割を果たすには、従来の「技術大国」を超え、国際規範の形成を主導する「規範大国」にならなければならない。それこそが、新安保時代における韓国の新たな世界的役割であり、国益を最大化する道である。


チョン・ボングン

大統領府国際安全保障秘書官、統一部政策補佐官、国立外交院教授などを歴任。韓半島・北朝鮮の核問題・核不拡散などを長年研究してきた専門家。現在、世宗(セジョン)研究所客員研究委員、韓国核政策学会会長を務める。