統一部南北統合文化センター1階にあるソンム作家の展示場の一部=ソウル
[ソウル=シャルル・オデゥアン]
[映像=南北統合文化センター公式ユーチューブチャンネル]
「春に咲くツツジは、私にとってきわめて身近な風景です。南北の交流や和解、そして平和を描くとき、自然とツツジの姿が象徴として心に浮かびます」
先月25日、ソウル・江西(カンソ)区にある統一部の南北統合文化センター展示室。自身の作品「私の考えは」の前に立った画家の線無(ソンム)は、淡々とした口調で、その作品について語った。
「冬が過ぎて春が訪れるように、寒さが去り、暖かさが訪れることを願う気持ちが込められています」と述べ、分断という現実を乗り越えたいという切実な思いをにじませた。
1990年代末に脱北し、2002年に韓国に定着した彼は、今も顔を公にしていない。「芸術に境界はない」という信念のもとで活動を続けている。芸名の「ソンム」には「線がない」という意味が込められており、その名の通り、南北や理念、体制といった境界を越える表現を追い求めてきた。
「色紙作品」の一部。作品は油絵92点で構成されている。
ソンム作家は2007年に韓国で初の個展を開いて以降、ニューヨーク、ロサンゼルス、北京、ミュンヘンなど海外の主要都市でも作品を発表し、注目を集めてきた。来年には、フランス・パリで非武装地帯(DMZ)をテーマにした展示会を予定している。
今回の招待展「私の考えは」は、作家ソンムの内省を凝縮した作品群だ。韓国社会に根付く偏見や固定観念にも目を向けつつ、分断の時代に見いだした美しさや希望を描いている。平和や統一、故郷、懐かしさといったテーマが、作品の随所ににじみ出ている。
ソンム作家の代表作品
ソンム作家は、こうした思いを多様な連作で表現している。南北の双方になじみ深いツツジの花に、懐かしさと歓待の思いを託した「ツツジ」シリーズや、みかんの木や海など、済州島の生き生きとした風景と安らぎを描いた作品が代表作だ。中でも「紙の作品」シリーズはひときわ目を引く。重さと硬直の象徴である鉄条網を、身近な色紙でかたどることで、分断の現実と和解への切実な願いを同時に表現している。
ソンム作家は統一について、次のように語った。
「統一を語る前に、まずは交流することが大切だと思います。相手がどのような考えを持っているのかを知ることが必要です。交流を重ねるうちに、私たちは思っているほど違わないのだと気づくはずです。そしていつか、『なぜ私たちは別々に暮らしているのだろう』と問いかける日が来るのではないでしょうか」
統一部南北統合文化センターは、2020年の開館以来、南北文化の統合に向けて脱北作家の作品を公募・展示してきた。今年はセンター1階に展示室を新設し、規模を拡大している。
ソンム作家の作品108点は、31日まで観覧可能だ。
caudouin@korea.kr