ひと

2026.01.08

マリインスキー・バレエ団のファースト・ソリスト、チョン・ミンチョルが『眠れる森の美女』の舞台で踊る姿=マリンスキー・バレエ団(ナターシャ·ラジーナ)

マリインスキー・バレエ団のファースト・ソリスト、チョン・ミンチョルが『眠れる森の美女』の舞台で踊る姿=マリンスキー・バレエ団(ナターシャ·ラジーナ)


[アフメットジャヴァ・アイスル、マリア・ソロドコワ]

「一番大きな目標は、最後まで幸せに踊り続け、常に成長し続けるダンサーになることです」

この言葉のとおり、バレリーノのチョン・ミンチョル(21)が、世界的名声を誇るロシアのマリインスキー・バレエ団でファースト・ソリストに昇格した。韓国人としては、キム・ギミンに続き2人目となる。

コリアネットは先月25日、マリア・ソロドコバ(Mariia Solodkova)コリアネット名誉記者とともに、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で、バレエの本場に挑むチョン・ミンチョルを取材した。

マリインスキー・バレエ団のファースト・ソリスト、チョン・ミンチョル(右)が、バレエ『ジゼル』で男性主人公アルブレヒトを演じる舞台の一場面=マリインスキー・バレエ団(ミハイル・ビルチュク)

マリインスキー・バレエ団のファースト・ソリスト、チョン・ミンチョル(右)が、バレエ『ジゼル』で男性主人公アルブレヒトを演じる舞台の一場面=マリインスキー・バレエ団(ミハイル・ビルチュク)


― バレエを始めたきっかけは。
幼い頃、テレビで初めてバレエ公演を見て、母に『バレエをやりたい』と話しました。最初は地元の教室で韓国舞踊を習っていましたが、その後バレエに出会いました。父は反対しましたが、私の強い思いを理解し、やがて認めてくれました。それをきっかけに、専門的にバレエを学び始めました。

― マリインスキー・バレエ団にソリストとして入団が決まったときの気持ちは。
入団が決まったと聞いた瞬間、頭が真っ白になり、どう反応すればよいのか分かりませんでした。とてもうれしかった のですが、ロシア語がうまく話せず、「スパシバ(ありがとうございます)」としか言えなかったことが、今でも少し心残りです。

マリインスキーは、幼い頃から憧れてきたバレエ団です。群舞として参加できるだけでもありがたいことでしたが、ソリストとしての機会まで与えられ、本当に幸せでした。その分、強い責任感を持って日々の舞台に真摯に向き合っています。

 ― バレエを続ける中で、最も大変だったことは。 
バレエを始めたのは比較的遅く、13歳のときだったので、同年代の仲間に比べ、力不足に悩む時期もありました。でも、米国のコンクールで、実力の差に関係なく心からバレエを楽しむ海外の友人たちの姿に触れ、大きな感銘を受けました。それからは、他人を意識することなく、自分の道を歩もうと決めました。諦めたいと思ったことは一度もありません。

― バレエ人生で、最も記憶に残っている瞬間は。マリインスキー・バレエ団を訪れ、初めて目にしたキム・ギミンとビクトリア・テレシキナによる『白鳥の湖』の舞台が、強く心に残っています。あまりの感動に涙がこぼれ、この舞台で踊りたいという思いが明確になりました。マリインスキーに来たことは、人生の大きな転機となりました。

― 舞台に立つうえで、最も大切なことは。


舞台に立つまでの過程で、誠実さと真摯な姿勢が最も大切だと思います。幼い頃は本番当日の結果ばかりを意識していましたが、今は練習を通じてどれだけ学び、成長できたかのほうが重要だと感じています。

― 韓国のバレエ文化とロシアのバレエ文化にはどのような違いがあると思うか。
韓国では、1シーズンにおよそ6つのレパートリーを間隔をあけて上演するのが一般的です。 一方、ロシアでは、ほぼ毎日公演が行われるほど、レパートリーが非常に豊富です。そうした環境の中で学んだのは、単に動きが巧みであるだけでなく、ソリストとして作品全体をけん引する力や、ダンスによって物語を表現する力の重要性でした。

マリンスキー・バレエ団のファースト・ソリスト、チョン・ミンチョルが『ラ・バヤデール』の舞台で踊る姿=マリンスキー・バレエ団(ミハイル・ビルチュク)

マリンスキー・バレエ団のファースト・ソリスト、チョン・ミンチョルが『ラ・バヤデール』の舞台で踊る姿=マリンスキー・バレエ団(ミハイル・ビルチュク)


― ロシアで初めて舞台に立ったとき、観客の反応はどのようなものだったか。 
これまで緊張せずに臨めた舞台は一度もありませんが、ロシアでの初舞台は特に緊張しました。幸い、ロシアの観客の皆さんは温かく迎えてくださり、大きな拍手や歓声で応えてくださいました。公演後も「ブラボー」「素晴らしかった」と声をかけていただき、大きな励みとなりました。

― キム・ギミン首席舞踊家からは、どのようなアドバイスを受けたか。 
「役をただ覚えるだけでなく、それぞれのキャラクターを自分なりに表現することが大切だ」という言葉が、特に印象に残っています。簡単な役も難しい役もありますが、そうした経験を積み重ねることで、より深みのあるダンサーになれるというアドバイスも、心に強く響きました。

― ロシアのバレエ団では、どのようにコミュニケーションを取っているか。
ロシア語は難しいですが、周りに英語が得意な人が多いため、大きな問題はありません。それでも、ロシアで働く以上は、ロシア語も上達させたいと思い、一生懸命勉強しています。

― ダンスで観客にどのようなメッセージや感情を伝えたいか。
バレエを観ると、いつも大きな幸せと慰めを感じます。どんなに疲れた一日でも、舞台に触れると再び心に力が湧いてきます。観客の皆さんにも、その喜びや感動を一緒に味わってほしいです。心に長く残る舞台を届けられるよう、日々精進していきたいと思っています。

― 今後の目標は。
長年の夢は『ロミオとジュリエット』のような作品で踊ることです。そして何より、最後まで幸せに踊り続けることが私の大きな目標です。どんな作品であっても、難しくても簡単でも、その過程で喜びを感じながら学びを重ね、常に成長し続けるダンサーでありたいと思っています。

aisylu@korea.kr