慶尚北道金泉市の国立種子院で開かれている種子産業専門家ワークショップで遺伝子分析実習を行う出席者ら
水分測定に関する国際規定について説明するISTA種子水分委員会元会長のマックギル氏
今回のワークショップの目的と種子検定研究センター設立の趣旨について、国立種子院のシン・ヒョングァン院長に話を聞いた。
‐今回の種子産業専門家ワークショップの目的とは。
種子問題の解決と管理だ。アジア各国から種子検定技術の共有に関する様々な要請があった。アジア種子産業の技術と管理に関する専門人材を育成する事業だ。2008年から約80人の公務員がこの課程を修了した。韓国の種子検定制度はいかに運営されているのか、研究人材はどう構成されているのか、そして種子産業はどのように成長してきたのかについて説明した。また、品質検定、保存管理技術、規格に関する講義が行われた。韓国独自の特殊な状況を説明するのではなく、世界基準に見合った教育を実施している。
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種子産業は重要な未来産業と強調するシン院長
‐国立種子院内に設置された種子検定研究センターの設立目的とは。
種子検定研究センターは、自己生産した種子を農家に供給する。でも、品質が一定水準以上のものしか供給できないので、品質が維持されているかどうか事前に点検する。普及した後も発芽率など品質に変化はないかの検証を行う。紛争が発生した場合に備えたテストも実施する。
韓国で流通する全ての種子を管理するとともに、新品種を保護し、新しい品種として登録される全ての種子を保管する。種子が貿易される際に品質証明書を発行し、これに関する人材を育成する。また、種子の品質の健全度を検査(health test)し、種子に病害虫がいないかどうか確認も行う。
‐種子検定研究センターの中長期の目標は。
現在行っている業務は、検定と分析がほとんどだ。今後は、研究機能を強化していく計画だ。種子を比較・分析する研究機能を強化し、民間及び各国の専門家向けの教育を拡大していく方針だ。また、人材を段階的に増やしていく計画だ。
種子産業は創造経済の中核である農業部門だ。種子産業が発展するためには、種子の所要量の多い国と技術協力が行われなければならない。大手の種子関連企業は品質維持機能がしっかり整っているが、中小規模の企業はそうではない。そうした企業のために種子の成分分析や病理検定を行う。
続いて、種子検定研究センターの役割について、センター長のソ・ウニさんに話を聞いた。
‐種子検定研究センターの主な役割とは。
種子検定研究センターの主な業務は、ISTA認証実験室の運営と国際種子分析証明書の発行だ。ISTA認証実験室は、国際規定に沿って種子品質検定を実施する能力を備えた実験室であることが国際的に認められていることを意味する。韓国で唯一、種子輸出企業のために種子品質証明書(ISTA certificate)を発行する機関だ。
また、国内で流通する種子の保管と管理に責任を持っている。現在、約618作物の約3万個の種子が韓国で流通している。これらの種子の発芽率と品種の真偽検定とともに、種子の品質の事後管理とモニタリングを実施している。
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遺伝子分析した種子を見せる種子検定研究センターのソさん
品種保護出願の際に栽培試験とDNA分析を実施して既存の種子との類似性を確認するとともに、新品種の審査も実施する。また、申告された品種と実際に流通する種子が同一かどうか検定するとともに、作物及び種子が病原菌(カビ、細菌、ウイルスなど)に感染していないかなどを確認する。
‐種子検定研究センターの主な研究分野と活用分野とは。
種子検定研究センターは、品種保護出願審査時に既登録の品種に対する権利の侵害がないかどうか確認し、出願された品種と既存の品種との類似性を測定する。また、病害抵抗性品種に対する検査も実施する。
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種子検定研究センターのソさんが、韓国で流通する約3万点の種子が保管されている冷蔵室で種子の管理について説明している
紛争または権利侵害が発生した場合、対象となる種子の遺伝子分析を行い、品種の真偽を確認する。種子の健全な流通のために種子の発芽率や品種の真偽を検査する。
高品質の種子を生産するために原種と普及種の品質管理を行う。また、種子品質検定技術を開発し、品種の形態的特性とDNAプロファイルの標準データベースを構築し、主要な種子の発芽力と活力を検定する。
‐種子検定研究センターが実施する教育活動とは。
種子関連企業や育種家、種子管理士、学生など、民間を対象に検定教育を実施している。韓国国際協力団(KOICA)とともに、アジア各国を対象に種子専門家人材の育成に向けた専門教育を実施するとともに、新品種審査技術と遺伝子及び病理検定に関する教育を行っている。また、2015年~2017年には、ミャンマーに種子品質検定システムを構築する計画だ。
慶尚北道金泉市にある国立種子院の全景
ISTA国際規定に沿って種子品質検定を実施する能力を備えた実験室であることを証明する認証書