韓国の経済協力開発機構(OECD)加盟20周年を記念し、これまでの成果を振り返り今後の教育政策の運営方向について議論する場が設けられた。
教育部は1日、「韓国教育20年の軌跡と未来の国家発展に向けた教育の役割」というテーマで「2016韓国・OECD国際セミナー」を開催した。
セミナーには教育界の専門家らが出席し、「韓国とOECDの教育協力の成果」「跳躍に向けた教育の役割」などのテーマで韓国教育事業の主要成果を再確認するとともに教育界の運営方向について議論した。教育界からはOECD教育・スキル局のモンセラット・ゴメンディオ次長、韓国教育開発院グローバル未来教育研究本部のカン・ヨンヘ本部長、イスラエル・ワイツマン研究所のダニエル・ザイフマン所長、駐韓サウジアラビア文化院のヘシャム・カダワーディ院長などが出席した。
韓国の経済協力開発機構(OECD)加盟20周年を記念し、韓国教育界の成果と未来の政策方向について議論する「2016韓国・OECD国際セミナー」が開かれた
さらにこの日、韓国の教育政策を紹介する「OECD教育政策アウトルック」韓国レポートが発刊された。
OECDはこのレポートで「2012学習到達度調査(PISA)の結果、韓国はOECD加盟国の中で数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの3分野で最上位にランクインした国の1つ。25歳~34歳における高等教育の修了率が最も高いグループに属している」として韓国の教育環境を高く評価した。
続いて、韓国が克服すべき主要政策課題として低所得者層や多文化家庭向けの良質な教育の提供、私教育問題、生徒の学習モチベーションの低下などを挙げ「生徒のストレスを減らし、認知能力だけでなく一人ひとりの夢と意志によって潜在能力を開発できる教育環境を整える」よう求めた。加えて「大学修学能力試験など評価システムの整備と家計負担の軽減に引き続き務めるべき」とし、「教育の質は維持しながらも学校の自律性を高める方策、そして低所得者層や多文化家庭の子供たちに幅広い機会を提供すること」を課題として示した。
最後に、主要政策課題に対する韓国政府の中核対応事例として「幼保教育を一元化した満3~5歳児のための無償教育課程『ヌリ課程』、中学生が自分の適性や進路の模索に集中できるようにした『自由学期制』、職務能力を標準化する『国家職務能力標準(NCS)』を活用した教育課程」などが紹介された。
「2016韓国・OECD国際セミナー」のパネルディスカッションに参加した経済協力開発機構(OECD)と教育界の専門家らが記念撮影を行っている
専門家のアドバイスも多数寄せられた。駐韓サウジアラビア文化院のヘシャム・カダワーディ院長は「韓国の実情に合った教育政策の策定が肝心だ。むやみに国際基準に合わせようとすれば韓国の経済成長の原動力ともいえる『競争』と『動機づけ』という中核要素を失いかねない。韓国だけの教育生態系づくりに集中すべきだ」と述べた。
イスラエル・ワイツマン研究所のダニエル・ザイフマン所長は「個人の力量は基準に合わせて統制するより、できるだけ自由に発揮できるような環境を整えた時に最大化できる」としながら、個人の多様な才能を認める教育を施してこそクリエイティブな人材を育成できると強調した。また、「イスラエルの討論式教育では互いのアイデアを受け入れる過程で新しいアイデアが生まれると考えられている。対立を仲裁する能力を養うことこそ教育の在り方だ」と付け加えた。
コリアネット イ・ハナ記者
写真:教育部
翻訳:イ・スミン
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