写真は、「大韓民国地方時代エキスポ」で忠清南道の「炭素中立経済特別道」展示館を見学する訪問客=2025年11月19日、蔚山、忠清南道
[ユン・ソジョン]
韓国経済を支えてきた「黒い煙」の時代は終わりを告げ、そこに今、「緑の革新」が訪れている。
韓国は昨年11月、ブラジル・ベレンで開かれた第30回国連気候変動枠組条約(COP30)当事国総会で「脱石炭同盟(PPCA)」への加盟を正式に発表した。アジアではシンガポールに次ぐ2カ国目。加盟は、炭素中立と再生可能エネルギーを軸に「エネルギー大転換」を進める政府の強い意志を示すことを意味する。
PPCAは英国や米国など62カ国が参加し、石炭火力発電所の段階的廃止を目指す国際的な枠組みだ。気候エネルギー環境部のキム・ソンファン長官は、「石炭火力発電所の設備容量は世界7位と規模が大きいが、PPCAへの加入を契機に、温室効果ガス削減装置を備えない新規発電所は建設しない」と述べた。
地方政府の先進的な取り組みが中央政府の決断を促し、国家的決断につながった。忠清南道や京畿道など8つの地方政府はすでにPPCAに参加して活動しており、脱石炭ロードマップの実質的な基盤を築いてきた。
国内の石炭火力発電所(60基)のうち半数が集中する忠清南道は、アジアの地方政府として初めて、2018年にPPCAに加盟した。これに合わせ、忠清南道は炭素中立という大きな枠組みのもと、エネルギー転換や低炭素型産業構造の再編など、代替産業の育成に総力を挙げて取り組んでいる。
写真は、2020年12月に早期閉鎖された忠清南道保寧火力発電所1、2号機=忠清南道・保寧、忠清南道
忠清南道は、2020年に保寧火力発電所1・2号機を早期閉鎖したのに続き、西海岸一帯に水素産業ベルトや洋上風力団地を整備し、地域の産業構造を低炭素型へと急速に再編している。
また、石炭発電所の閉鎖による地域産業や住民への影響を最小限に抑えるため、廃止地域支援特別法の制定や雇用の安定、就業転換などを盛り込んだ「正義の転換」事業も推進している。
こうした取り組みは、2024年に経済協力開発機構(OECD)の炭素削減分野で「優秀政策事例(practice example)」に選定されるなど、国際的にも高く評価された。
写真は、PPCA加入宣言式で、記念撮影を行うサイモン・スミス駐韓英国大使(左)、李在明京畿道知事(中央、現大韓民国大統領)、マイケル・デナハー駐韓カナダ大使=2020年9月1日、京畿道・水原市、京畿道庁
京畿道も、2020年にPPCAに加盟して以降、「京畿RE100」ビジョンを掲げ、着実に成果を上げている。
「RE100」は、企業が使用する電力を2050年までに 、風力や太陽光などの再生可能エネルギーに転換することを目標とする国際キャンペーンだ。京畿道は、今年末までに原発6基分に相当する9ギガワット(GW)の 再生可能エネルギー設備を拡充し、公共機関の電力も100%再生可能エネルギー に切り替える事業を進めている。2023年の新規太陽光設備容量は、 前年より 18%増加した。
こうした取り組みを基に、再生可能エネルギーの発電割合を2021年の5.8%から2030年には30%に引き上げ、温室効果ガス排出量を40%削減する計画だ。「1世帯1発電所」など、道民の炭素中立への取り組みを機会所得として還元する政策も盛り込まれている。
公共、産業団地、道民など分野ごとに「RE100」を推進してきた京畿道の取り組みは、海外でも注目されている。京畿道は昨年4月、シンガポールで開かれた「再生可能エネルギー市場2025(Renewable Market Asia、REM)」で、アジア地域のクリーンエネルギー導入を先導する機関として評価された。
中央政府は、地方政府のこうした成功モデルを全国に広め、石炭火力発電所閉鎖地域の雇用安定や職場転換を盛り込んだ「正義の転換」政策を通じて、包摂的な気候危機対応体制の構築を進める方針だ。
写真は、水原ワールドカップ競技場スポーツセンターの屋上に設置された太陽光発電所を視察する京畿道庁と水原ワールドカップ財団の関係者ら=2025年12月15日、京畿道・水原市、京畿道庁
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