韓国の行政モデルが国境を越え、世界の注目を集めている。行政安全部は先月、93カ国の外交使節団に向けて韓国の公共行政における革新的な取り組みを紹介し、「行政韓流」の可能性を示した。コリアネットでは、災害管理や スマート農業、山林復元、行政都市の建設など、韓国政府が推進する五つの革新事例を、全5回にわたって取り上げる。
無人トラクターが使われている栽培現場の様子=国立農業科学院
[ソウル=テレシア・マーガレット]
現在、韓国の農業は、急激な人口減少と高齢化に伴う、深刻な労働力不足に直面している。政府が5年ごとに行う「農林漁業総調査」によると、農業従事者が総人口に占める割合は1971年の44.7%から、2021年には4.3%へと急落した。特に、農業従事者の半数以上が65歳以上という現実は、超高齢社会の人口構造が農村地域の持続可能性を根底から揺るがす事態となっている。
農村振興庁は、こうした危機を克服し、農業を次世代の先端産業へと転換させるべく、農業用ロボットとスマート農機の導入を加速させている。防除や除草、運搬を担う自律走行ロボットをはじめ、人工知能(AI)搭載の無人トラクターや後付け可能な自動操舵(そうだ)装置などを開発し、農作業の効率性・安全性を大きく向上させている。
無人トラクターや田植機の性能は、ベテラン農家の作業精度を大きく上回る。人の手による作業では約±21cmの誤差が生じるのに対し、自動運転技術を導入すれば、誤差は±7cm前後に収まる。さらに、反復作業に伴う疲労軽減に加え、作業時間も約25%短縮できるなど、経済効果も大きい。夜間や悪天候といった条件下でも安定した稼働が可能であり、生産性向上に寄与するとの分析がなされている。
農作業のロボット化は、現場の安全確保とコスト負担の軽減を同時に実現する、まさに「ゲームチェンジャー」と言える。例えば、防除ロボットの導入により、作業員が農薬にさらされるリスクが大幅に減少する。さらに、精密散布技術によって農薬の使用量を従来比で20~40%減らすことができる。こうした効率化が、年間約2619億ウォンのコスト削減につながるという分析もある。また、除草や運搬を担うロボットの活用は、農作業中の転倒事故や筋骨格系疾患の予防にも寄与する。
無人トラクターを活用し、大豆の播種作業をする農業従事者=LSトラクター
農村振興庁は、播種(はしゅ)から収穫に至る全工程を自動化する「無人農作業時代」に備えている。AI基盤の認識技術と自動運転技術を組み合わせ、実現する計画だ。2029年までに、熟練の技を要する複雑な農作業をAIを活用したスマート農機と統合管制システムの構築、フィジカルAI基盤のロボット開発で代替する方針だ。
実現に向け、全北(チョンブク)大学などと連携し、フィジカルAI基盤のソフトウェアプラットフォームの開発といった、大規模国家プロジェクトにスマート農機が盛り込まれるよう取り組んでいる。
農村振興庁の関係者は、「ロボットは、今や農業現場の単なる補助手段ではなく、消滅の危機に瀕する農村を救う実質的な解決策」とし、「AI技術は、農村が抱える限界を克服し、新たな可能性を示す原動力になるだろう」と述べた。
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