政策

2026.04.10

人口減少の危機が深刻化する中、2025年の出生数は前年比6.8%増を記録した。少子化の流れに、わずかながらも反転の兆しが見え始めている。コリアネットでは、この変化を後押しした韓国政府の最新政策とともに、韓国独自の出産・育児文化を紹介する。


ソウル・陽川(ヤンチョン)区にある「陽川型夜間緊急保育園」の様子。保育の空白を解消するため27カ所へと拡大し、今年から小学生の兄弟・姉妹も利用できる=陽川区

ソウル・陽川(ヤンチョン)区にある「陽川型夜間緊急保育園」の様子。保育の空白を解消するため27カ所へと拡大し、今年から小学生の兄弟・姉妹も利用できる=陽川区


[ホン・アンジ]

昨年、韓国の出生数は約25万人に達し、前年比6.8%増を記録した。この希望の兆しは、社会全体に再び活気をもたらしている。韓国政府は、出生数の反転を持続可能なものにしていくため、国を挙げた総力戦を展開中だ。少子化の根本原因と指摘されるキャリアの断絶や費用負担、ワンオペ育児、そして保育の空白の解消に向け、政策の軸を「個人の努力」から「国家の責任」へと大きく転換させている。

産休・育休を義務化


最も注目すべき変化は、産休と育休制度によるきめ細かなセーフティーネットの構築だ。連邦レベルの強制法規が不十分な一部の国とは対照的に、韓国では有給の産休・育休を法的に義務付け、労働者の権利保障を徹底している。

女性従業員は、出産前後で合計90日の産休を取得できる。期間中は、賃金の100%が支給されるが、雇用保険からの給付には、単胎児の場合で、月額最大220万ウォンの上限が適用される。

産休明けには、育休へとスムーズに移行する仕組みとなっている。今年からは、育休中の経済的な不安を解消するため、「事後支給金制度」を廃止。給付額の25%を復職してから6カ月後に支給する従来の方式を改め、全額を毎月支給することで、親が抱える生活費負担を実質的に軽減している。

夫婦の共育てを後押しする「6+6親育休制度」は、まさに画期的な仕組みだ。生後18カ月以内の子どもを持つ親が同時に、あるいは順次育休を取得する場合、最初の6カ月間は、それぞれ賃金の100%が支給される。夫婦が共に6カ月ずつ利用すれば、合計で最大3900万ウォンまで受け取ることができる。この制度は、育児初期における経済的なセーフティネットとしての役割を十分に果たしているといえる。

その他にも、妊娠初期・後期の「1日2時間の時短勤務」、配偶者向けの「20日有給産休」などが育児初期の「ワンオペ育児」問題を解決する実質的な施策として機能している。

ソウル・鍾路(チョンノ)区の国立民俗博物館で開催されている特別展示「出産、みんなのお祝い」。妊婦の移動を支援する「ピングバッジ」と公共交通機関の「優先席」、経済的支援を象徴する「国民幸福カード」が展示されている=ソウル、パク・デジン

ソウル・鍾路(チョンノ)区の国立民俗博物館で開催されている特別展示「出産、みんなのお祝い」。妊婦の移動を支援する「ピングバッジ」と公共交通機関の「優先席」、経済的支援を象徴する「国民幸福カード」が展示されている=ソウル、パク・デジン


誕生から学齢期までの切れ目ない「現金給付」支援

また、妊婦へのきめ細かな配慮や交通費支援も注目を集める。見た目では妊婦と分かりにくい妊娠初期の女性に保健所から配布されるピンク色の「妊婦バッジ」や公共交通機関の「妊婦優先席」は、韓国社会の温かい「配慮の文化」を象徴するものだ。ソウル市は、妊婦1人につき100万ウォンの「交通バウチャー」を支給し、交通費の負担を軽減している。

現在、政府は現金給付を一層拡充している。初期の子育て費用を軽減する「初対面利用券」は、一時金として第一子に200万ウォン、第二子以降は300万ウォンを支給。「親給付」は、0歳に月額100万ウォン、1歳には月額50万ウォンを支給する。さらに、従来は9歳未満を対象としていた月額10万ウォンの「児童手当」は、13歳未満(小学6年生)まで拡大された。子どもの成長に伴い増大する生活費を、国も分担するという趣旨が背景にある。

年中無休かつ無償で保育サービスを提供する慶尚北道(キョンサンブクド)のある保育施設。共働き世帯・シフト制労働者・自営業者の保育の空白を解消する役割を担い、現場から高く評価されている=慶尚北道

年中無休かつ無償で保育サービスを提供する慶尚北道(キョンサンブクド)のある保育施設。共働き世帯・シフト制労働者・自営業者の保育の空白を解消する役割を担い、現場から高く評価されている=慶尚北道


学校と地域社会、夜間も提供される保育サービス

共働き世帯の悩みである「退社前の保育空白」は、よりきめ細かく整備されたインフラによって解消されつつある。従来の学童保育と放課後子ども教室を統合させた「ヌルボム学校」が全国へと拡大した。このプログラムでは、低学年の児童が校内で個々のニーズに合わせた学習や保育を受けることができ、親が希望すれば、夜8時まで子どもを預けられる。

また、深夜0時まで運営する「夜間延長保育園」や拠点型保育施設は、乳幼児を持つ親たちに大きな支えとなっている。今年からは、小学生(6歳~12歳)を対象とした「小学夜間延長保育」サービスも一層拡充された。

保護者の急な都合に対応できる体制も整備されている。保健福祉部は、3月から保育施設を案内する専用窓口(1522-1318)の運営を始めた。残業や仕事によって帰宅が遅くなる場合、子どもを安心して預けられる自宅近くの施設をすぐに確認でき、親にとって、「保育の最後の砦」になっているとの評価を受けている。

これらの取り組みは、出生率を回復させ、国の保育体制を現場に定着させるという強い意志の表れといえる。

shong9412@korea.kr