「国民が主人である国、共に幸せな大韓民国」を国政ビジョンに掲げる李在明(イ・ジェミョン)政権が、今年6月4日で発足1周年を迎える。コリアネットは、政権の1年間の主要成果を全5回にわたって取り上げる。第2回は、AI(人工知能)、半導体ドライブ、金融イノベーションを前面に出した1年間の経済変化を振り返る。
[カン・ガヒ]
[写真=大韓民国青瓦台]
弾劾政局、米国との関税交渉、中東戦争、高止まりする為替、そして供給網の不安定化。過去1年の韓国経済は、こうした内外の複合的な不確実性のただ中にあった。そのような環境の中でも、経済の方向性を規定したキーワードは明確だった。「人工知能(AI)・半導体・コスピ」である。
李在明政権はこの1年間、AIと半導体を国家成長戦略の中核に据えた。そのもとで産業構造の転換と資本市場の改革を加速させ、経済の体質改善を進めてきた。その結果、韓国経済は主要機関や国際投資銀行による成長率見通しの上方修正を引き出し、当初の想定を上回る回復を示した。
その反発の中心にあるのが「半導体スーパーサイクル」だ。グローバルなAI投資の拡大を背景に、高帯域幅メモリー(HBM)をはじめとするAI半導体の需要が急増し、輸出と設備投資の双方を押し上げた。
AIデータセンター開所式に出席し、「大胆な税制優遇と規制改革を通じて、AI時代の成長基盤となるインフラを構築する」と述べる李大統領=2025年6月、蔚山
今年第1四半期の韓国経済は前期比1・7%の成長となり、5年6カ月ぶりの高水準を記録した。経常収支も738億ドルと四半期ベースで過去最高を更新した。輸出規模は世界8位から5位へと大きく順位を上げた。
政府は半導体特別法の制定を推進するとともに、半導体クラスターの整備、税制支援、人材育成を強化し、産業競争力の底上げを図った。
「AI先進国への飛躍」を掲げる取り組みも加速している。GPUインフラの先行整備に加え、AI関連法制度の整備を進め、官民連携の枠組みも強化した。
独自の「AI基盤モデル」開発プロジェクトを通じて韓国型の超大規模AIの育成を進めるとともに、製造業や医療分野におけるAI転換(M.AX)の拡大、データ活用基盤の整備も進展した。さらに「国民成長ファンド」(100兆ウォン規模+アルファ)の創設構想を打ち出し、産業全体の転換を後押ししている。
証券取引所で「韓国投資サミット」を開催し、資本市場改革の方向性と投資誘致戦略を説明する李大統領=2025年9月、ニューヨーク
最も大きな変化が表れたのは株式市場だ。
李大統領は大統領選公約として「コスピ5000時代」を掲げた。政権発足時に2700台だったコスピは、その後上昇を続け、26日の終値では史上初めて8000ポイントを突破した。半導体景気とAI成長期待が相場を押し上げた格好だ。
資本市場改革も上昇要因となった。政府は商法改正により取締役の株主に対する忠実義務を強化し、集中投票制の拡大や自己株式の消却制度を導入した。配当課税の見直しなど株主還元策も並行し、「コリアディスカウント」の是正を進めた。
世界国債指数(WGBI)への組み入れを背景に、外国人資金の流入も増加した。主要格付け機関が韓国の国家信用格付けを安定的に維持していることも、市場の信認を下支えしている。
物流拠点を訪れ、現場の声に耳を傾ける李大統領=4月8日、京畿道
景気の持ち直しと民生安定を狙った拡張的な財政運営も成果を上げた。
政府は昨年7月、31兆6000億ウォン規模の補正予算を編成し、全国民向けの消費支援策を実施した。さらに今年4月には26兆2000億ウォン規模の追加補正予算を迅速に成立させ、エネルギー価格高騰への対応を進めた。
物価安定にも取り組み、燃料税の引き下げや価格抑制措置を通じて、国際エネルギー価格上昇の影響を和らげた。その結果、消費者物価は主要国と比べても比較的安定し、2%台で推移した。
エネルギー政策でも構造転換が進んでいる。AIの普及に伴い増大する電力需要に対応するため、大型原発2基の新設が決定され、送電網整備を含む「エネルギー高速道路」構想も進められている。再生可能エネルギーの拡大とK-RE100(企業が使用電力の100%を再生可能エネルギーで調達する韓国型制度)を組み合わせ、産業競争力と脱炭素の両立を目指している。
この1年、韓国経済は外的ショックに直面しながらも、一定の成果を積み上げた。「半導体スーパーサイクル」とAI主導の産業転換は、一時的な景気回復にとどまらず、韓国経済の新たな成長軸として定着しつつある。
kgh89@korea.kr