「2026世界新安保フォーラム」であいさつするチョン・ヨンドゥ外交部戦略情報本部長=9日、ソウル
[ユン・ソジョン]
[写真=外交部]
人工知能(AI)やドローンなどの新興技術がもたらす安全保障上の脅威にどう対応するか。国内外の専門家が議論した。
外交部は9日、ソウル・龍山区のグランドハイアット・ソウルで「新興技術のリスクと機会」をテーマに「2026世界新安保フォーラム」を開き、共同繁栄に向けた方策を議論した。
今年で6回目を迎えるこのフォーラムには、政府や国際機関、民間、学界から約20人の専門家が登壇し、約200人が参加した。
チョン・ヨンドゥ・外交部戦略情報本部長は開会あいさつで、技術革新を安全保障の強化につなげるには「国際社会の協力と規範づくり、各国の責任ある行動が重要だ」と述べた。昨年、国連安全保障理事会で李在明大統領が議長を務めた「AIと国際平和・安全」に関するハイレベル公開討論など、韓国政府が国際社会で主導してきた取り組みを紹介した。続いて「すべての人のためのAI(AI for all)」というビジョンを示し、人間中心で包摂的なAI環境の実現に取り組む考えを表明した。
大統領府のキム・フィガン・サイバー安全保障秘書官は祝辞で、攻撃の高速化や手口の高度化が進む現代のサイバー脅威に対し、AIなどの新興技術が「最も効果的な防御手段」になると指摘した。6月に政府が発表したAI、ドローン、サイバーセキュリティー、航空宇宙分野の革新企業育成策にも触れ、民間の先端技術を国家レベルのサイバー・レジリエンスにつなげていく考えを示した。
テーマ別のセッションでは、低価格ドローンの普及や兵器システムの自律化がもたらす戦場の変化をはじめ、AI、サイバー、核の連動による誤判断のリスク、軍事分野の商業化に伴う宇宙安全保障競争など、様々な課題について議論した。
AIが国防・安全保障分野にもたらした変化について、カナダ政府でサイバーセキュリティーを統括したサミ・クーリ前総括責任官は、「AIによって攻撃にかかる時間や費用、攻撃に必要な専門知識のハードルが下がった」と懸念を示した。一方、経済協力開発機構(OECD)科学技術・イノベーション局(STI)のギ・ララン主任エコノミストは、世界の半導体供給網が一部地域に偏っていることによる限界を指摘した。
国家安保戦略研究院のオ・イルソク新安保研究室長は、AIの最も深刻な脅威は「民主主義の毀損だ」と指摘した。そのうえで、「韓国は民主主義のレジリエンスを高める取り組みを先導する国として、AIが民主主義に及ぼす弊害や阻害要因に積極的に対応すべきだ」と訴えた。
AIを悪用したサイバー攻撃への市民の対策について、クーリ前総括責任官は「最新のセキュリティーパッチを適用し、多要素認証(MFA)を設定するなど、『基本的なサイバー衛生(cyber hygiene)』を徹底するだけでも、攻撃を未然に防ぐことができる」と述べた。
ピーター・アンスティOpenAI(オープンAI)グローバル政策部門の国家安全保障政策責任者は、「国防分野にAIを導入する際は、技術が果たす役割について原則に基づき、非常に慎重に検討する必要がある」と指摘した。
政府や国際社会が技術革新を妨げることなく、国家安全保障を強化する形でAIを活用するにはどうすべきかとの質問に対し、オ・イルソク新安保研究室長は「『ソブリンAI(独自のAI、sovereign AI)』を目指す必要がある」と述べた。
そのうえで、「国防分野の情報を民間と共有するうえで、安全保障上の規定が大きな問題となっている」と指摘し、「米中を中心とする二極構造から脱し、同じような立場にある中堅国の意見を反映した独自のルールを構築する取り組みが重要だ」と強調した。
「新興技術のリスクと機会」をテーマに討論する「2026世界新安保フォーラム」の参加者=9日、ソウル
arete@korea.kr