科学技術

2026.02.24

チオフェン添加電解質によりデンドライトの成長を抑制したリチウム金属電池(AI生成画像)=韓国科学技術院

チオフェン添加電解質によりデンドライトの成長を抑制したリチウム金属電池(AI生成画像)=韓国科学技術院


[シャルル・オデゥアン]

韓国の研究チームが、次世代電池として注目される「リチウム金属(Lithium Metal)電池」の実用化を加速させる新技術を開発した。

韓国科学技術院(KAIST)は24日、高麗大学との共同研究により、バッテリーの寿命と安全性を両立する「インテリジェント保護膜」技術を開発したと発表した。

リチウム金属電池は、現在主流のリチウムイオン(Lithium-ion)電池より多くの電力を蓄えられるため、電気自動車の航続距離を大幅に伸ばせると期待されている。しかし、充放電を繰り返す過程で生じる樹枝状結晶「デンドライト」が、実用化に向けた最大の課題とされてきた。デンドライトは電池内部を損傷し、寿命の低下や内部短絡(ショート)を引き起こし、最悪の場合は火災に至る危険性があるためだ。

研究チームは、バッテリー内の液体成分である電解質に「チオフェン(Thiophene)」を添加する手法を採用した。その結果、電極表面にリチウムイオンの安定的な移動を促す「インテリジェント保護膜」が形成された。

この保護膜は、状況に応じて構造が自律的に調整される。リチウムイオンが移動する際、保護膜内の電荷分布が柔軟に変化し、最適な経路を形成する。その結果、急速充電時であってもデンドライトの生成を効果的に抑制し、電池寿命の大幅な向上を実現した。

研究チームは、バッテリー内部の観察を通じて、高電流条件下でもリチウムが表面に均一に析出・除去され、安定して動作することを確認した。

この技術は特定の電池に限らず、現在の電気自動車向けバッテリーシステム全体に幅広く適用できる。超長距離電気自動車はもちろん、都市航空モビリティや次世代の高密度エネルギー貯蔵装置など、幅広い先端産業分野での活用が期待されている。

研究チームは「今回の成果は、高速充電と長寿命を同時に実現する次世代電気自動車向けバッテリーの中核技術になるだろう」と述べた。

今回の研究成果は、材料・エネルギー分野の学術誌「InfoMat」に2日付で掲載された。

caudouin@korea.kr