韓国航空宇宙研究院宇宙探査チームのキム・ミンギ責任研究員=航空宇宙研究院
[コ・ヒョンチョン]
地球の軌道上を漂う宇宙ゴミ(スペースデブリ)が深刻な問題となっている。寿命を終えた人工衛星やロケットの残骸が秒速8キロメートル以上の速度で飛行し、宇宙船や宇宙飛行士の安全を脅かしているためだ。これまで映画の中の出来事と思われていた宇宙ゴミ同士の衝突が、今や現実のリスクとして目の前に迫っている。
宇宙航空庁によると、昨年確認されたスペースデブリは約2万個に上る。一部は地球の大気圏へ落下するものの、大部分は軌道上を漂い続け、運用中の人工衛星などと衝突する危険性を高めている。一方で、その除去には多額の費用がかかる。
こうした課題の解決に向け、韓国航空宇宙研究院(KARI)が新技術を開発した。研究院はこのほど、地球低軌道で増加するスペースデブリの捕獲・除去を可能にする軌道離脱装置を開発し、地上実証試験に成功したと発表した。装置の特徴は、デブリ除去衛星と実際に軌道離脱を行う装置を分離した「分離型システム」を採用している点にある。
従来のスペースデブリ除去方式では、回収衛星がスペースデブリを捕獲した後、そのまま大気圏に再突入して一緒に燃え尽きる仕様が主流だった。高価な衛星を一度のミッションで失うことになるため、経済性が極めて低いという課題があった。
これに対し、KARIは1基の回収衛星に複数の小型軌道離脱装置を搭載する方式を採用した。回収衛星は軌道上に残して繰り返し使用し、各装置がそれぞれスペースデブリに取り付いて除去を担う仕組みだ。これにより、再利用性と経済性を大幅に向上させることができるという。
韓国航空宇宙研究院の衛星試験棟・打ち上げ環境試験室で試験中の軌道離脱装置=航空宇宙研究院
今回開発された軌道離脱装置は、電気炊飯器ほどのコンパクトなサイズだ。しかし、その作動原理は非常に精巧である。まず接着式のけん引板 をスペースデブリに取り付けて引き寄せる。その後、4つのグリッパーがスペースデブリをしっかりと固定し、抵抗帆(ドラッグセイル)が四方に展開する。装置本体は小型だが、帆を広げると約25平方メートルに達する。
この抵抗帆は推進装置や外部電力を必要とせず、弾性エネルギーのみで展開される。帆が広がると、低軌道の希薄な大気との摩擦によって抵抗が発生する。この抵抗によってスペースデブリの速度が徐々に低下し、軌道も次第に下がっていく。やがて大気圏へ再突入し、燃え尽きて消滅する「軌道離脱(De-orbiting)」の方式である。
研究チームは実運用に先立ち、「けん引・捕獲・抵抗帆の展開」というという3つの主要機能を実証した。特に、電動駆動装置の使用を最小限に抑え、無動力方式でもスペースデブリの除去が可能であることを示した。
この技術はスペースデブリの除去にとどまらず、ランデブー・ドッキングや深宇宙探査における太陽帆推進など、幅広い宇宙分野への応用が期待されている。
韓国航空宇宙研究院のキム・ミンギ責任研究員は「地球周辺のスペースデブリは増え続けている」と述べた上で、「今回の研究は、再利用性と経済性を兼ね備えたスペースデブリ除去技術の実現可能性を示した」と語った。
hjkoh@korea.kr