VR機器を体験するAIデジタル学び場の利用者の様子=10日、ソウル
[ソウル=チョン・ウィソク]
[写真=チョン・ウィソク]
人工知能(AI)が、日常生活や産業の現場に急速に浸透している。各地でAIを学べる教育拠点が設けられ、放送・メディア業界でもAIを活用した業務プロセスのイノベーションが活発化している。
10日、科学技術情報通信部と放送メディア通信委員会が主催する「AIデジタル学び場およびAI基盤の放送・メディアイノベーション事例プレスツアー」が行われた。AIを学ぶ教育の最前線と、AI技術を実務に取り入れた放送・メディアの現場を見学できる貴重な機会となった。
午前11時ごろに訪れたのは、ソウル市民大学・東南圏キャンパスの「AIデジタル学び場」。4階にある学び場は、朝から受講生の熱気に包まれていた。2020年に始まった「デジタル学び場」事業は、AIやデジタル機器がの扱いに不慣れな市民が、スマートフォンや無人決済端末(キオスク)などをスムーズに使えるよう支援している。政府はこうした施設を、2029年までに全国229カ所に拡大する方針だ。
「スマートフォンを活用した生成AI動画制作」講座の様子。右の写真は、取材に応じる(左から)イ・ウンファ講師、ユン・ボクスンさん、ソ・ジョンヒョンさん=10日、ソウル
この日の講義のテーマは「スマートフォンを活用した生成AI動画制作」。スマートフォンを手にした受講生たちは、講師の指示に従い、真剣な眼差しで画面をタップしながら作業を進めていた。分からないことや疑問があれば、受講生は自由に手を挙げる。そのつど補助講師が一人ひとりに寄り添い、丁寧に説明しながら授業の内容を理解できるようサポートしていた。高齢者のペースに合わせたきめ細かな教育が行われていた。
受講生のソ・ジョンヒョンさんは「AI技術を学び、生活の幅が大きく広がった」と話し、「専属の秘書が一人ついたような心強さがある」と笑顔を見せた。
韓国知能情報社会振興院(NIA)のデジタル力量開発チームのチャ・ハンナ首席は、「AIを起動してふだん使う言葉で打ち込むだけで的確な答えが返ってくる点は、むしろ高齢者やデジタル弱者にこそ必要な技術だ」と述べ、AI活用教育の重要性を強調した。
「ドラマ『エージェント・キム』フルAIシーケンス制作事例」をテーマに講演するモーフィアス・スタジオのイ・スヨン代表=10日、ソウル
プレスツアーの午後のプログラムとして行われた「放送・メディアAI革新人材育成セミナー」では、モーフィアス・スタジオのイ・スヨン代表が発表した「ドラマ『エージェント・キム』フルAIシーケンス制作事例」がひときわ注目を集めた。このドラマの特筆すべき点は、一部のアクションシーンにおいて実写撮影を一切行わず、すべての映像を「AIのみ」で完成させたことだ。
講演では、実際に放映された3分ほどののアクションシーンが公開された。走行する車両や主人公の格闘シーン、周囲の背景描写に至るまで驚くほど自然に表現されていた。イ代表は、「およそ5回分の撮影をAIで代替することで、制作費を60%以上削減できた」と説明した。
特に印象的だったのは、この技術を初めて試したのが昨年11月だったということだ。AIが想像をはるかに上回るスピードで進化していることを考えれば、AIが産業の現場にもたらす変化は、まだ序章にすぎないのだと実感させられた。
AIデジタル学び場での教育や放送・メディア分野におけるイノベーションの事例を目の当たりにし、AIは単なる時代の流れを超え、私たちが学び、活用すべきツールになったのだと強く感じた。もちろん、AIの急速な発展に伴うリスクを懸念する声も少なくない。変化の激しい時代の中で、AIの正しい活用法を教える教育の役割は、今後ますます重要になっていくとみられる。AIがもたらす社会と産業の変革に今後も期待したい。
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