パテック・フィリップやブレゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなど、一流時計といえばスイスのブランドが頭に浮かぶ。そうしたスイスの有名時計ブランドと肩を並べる韓国製の一流時計ブランドがある。「ロマンソン(ROMANSON)」だ。
「ロマンソン」のクラシック・コレクション(写真提供:ロマンソン)
1988年に設立された「ロマンソン」は、独創的なデザインと品質で世界市場で認められている、韓国を代表する強小企業(hidden champion)だ。ブランド名はスイスの時計工業団地「ロマンシオン(Romancion)」からヒントを得た。
当初は社長1人、従業員2人でスタートした。現在では、世界約70カ国に、年間2500万ドル以上を輸出するグローバル時計ブランドに成長した。
「ロマンソン」は、設立当初から「グローバル成長」に注力してきた。内需市場よりも新たな市場である中東市場の攻略を目指した。当時、オイルマネーで潤っていた中東市場をターゲットに輸出を開始し、10年余りで2千万ドルの輸出を達成するほどの成果を上げた。
こうして「ロマンソン」が短期間で急成長を成し遂げた要因は、「差別化されたデザインと技術、価格、そして品質」だ。
スイス・バーゼルで開かれた時計・宝石見本市「バーゼル・ワールド」で展示された「ロマンソン」の時計(写真提供:ロマンソン)
世界で初めてガラスの表面をダイアモンドで細工した「カッティング・グラス(cutting glass)」という技術を利用して製造した時計が中東やドバイ地域で大人気を博し、3.89ミリの「超薄型スリム時計」で内需市場も攻略した。また、ロシア人女性が好むバラ色がかった金色の「ローズ・ゴールド(rose gold)」の鍍金技術を開発し、その技術によって製造したデザインを発表、各地域の特性と現地の人の文化とトレンドに合わせて差別化されたモデルを打ち出した。
しかし、試練にもぶつかった。携帯電話の登場で時計を利用する人が徐々に減り、正統派時計ブランドの経営が難しくなった。2009年に売上が急減すると、「ロマンソン」が高級時計業界で勝負をかけるには「型破りの変化」が必要だった。
「ロマンソン」のプレミア・コレクションのモデル「アトラックス」(写真提供:ロマンソン)
そうして2011年に発表したモデルが「アトラックス」だ。このデザインの中核部品はすべてスイス製のものを使用し、製作もすべてスイス現地で行った。毒グモの足が後から時計にかかっているような思い切ったデザインのこのモデルは、従来の時計よりも高価な製品だが、発売と同時に国内だけでなく海外でも高い販売率を記録し、「ロマンソン」の代表モデルに成長した。
ロマンソンのキム・ギソク社長は、「各地域の特性と現地の文化に合わせて差別化された製品を地道に開発することで、海外市場の攻略に成功した。そうそうたる時計の一流ブランドでも出展が難しいバーゼル・ワールド名品館に堂々とロマンソンを出展させただけに、これまで積み重ねてきた技術と顧客の信頼を基に、最高のグローバル・ブランドとしてこれからも成長を目指していきたい」と話している。
スイスの一流時計ブランドがメインだったスイス・バーゼルでの時計・宝石見本市「バーゼル・ワールド」で、メインホールでの堂々の出展を果たした韓国の正統派時計ブランド「ロマンソン」(写真提供:ロマンソン)
「バーゼル・ワールド(Baselworld)」は、毎年春にスイス・バーゼルで開かれる見本市で、スイスをはじめ各国の時計・宝石の最新トレンドと新製品が公開される。「ロマンソン」は、1997年から同見本市に参加し、世界の時計市場から注目を集めてきた。特に、2013年にはこれまでスイスの一流ブランドがメインだったメインホールでの出展を果たし、「グローバルブランド力」を立証した。
En 2013, l’horloger a finalement obtenu un stand dans le hall principal, fief des marques de luxe suisses.
韓国の正統派時計ブランド「ロマンソン」は、3月27日~4月3日に開かれた「バーゼル・ワールド2014」で新モデル「クラシック」を公開した(写真提供:ロマンソン)
コリアネット ソン・ジエ記者
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