文化

2016.05.26

20160524_HanKang_01.jpg

「ブッカー賞」を受賞した初の韓国人作家、韓江氏が24日にソウルで開かれた記者懇談会で取材陣からの質問に答えている



「韓国文学に今後はこのようなことが話題にならないほど様々な出来事が起こると信じており、今まさに始まったばかりだと思う」

小説作家の韓江(ハン・ガン)氏は24日ソウルで開かれた記者懇談会でブッカー賞(正式名称:マン・ブッカー賞)受賞の感想としてこう述べた。
また「韓国文学は広く読まれる可能性があり、そうなることを願っており、十分そうなるはずだと思う」と語った上で、韓国文学に対する海外の関心と今後の可能性について「良い翻訳家たちが増えたうえ、海外の編集者らも韓国の作家に関心を寄せている。これからが始まりだ」と付け加えた。

ブッカー賞受賞後の『菜食主義者』ブームについての質問には「この小説は少し読み心地が悪いかもしれない。質問として読んでもらえればと思う」と答えた。

韓江氏は肉食を拒否しながら自分が木になると信じる女性の物語を描いた超現実的な小説『菜食主義者』で16日にロンドンで「マン・ブッカー国際賞(Man Booker International)」を受賞した。ブッカー賞はノーベル文学賞やフランスのゴンクール賞と肩を並べる世界3大文学賞だ。この作品は2007年に韓国で発刊されたが、英語版は2015年1月に英国で初めて紹介された。

この日の記者懇談会では韓江氏は新作『白い』も紹介された。彼女は、この作品は倫理的な選択をせざるを得なかった人々を社会的な観点から描いた物語だと語る。『白い』も『菜食主義者』『少年が来る』同様デボラ・スミス(Deborah Smith)氏の翻訳で来年下半期に英国で発刊される予定。

20160524_HanKang_02.jpg

小説家の韓江氏の新作『白い』が24日に開かれた記者懇談会で公開された



ブッカー賞受賞作の発表直後、海外のメディアは次々と韓江氏の受賞を報じた。英BBCは受賞のニュースに次いで17日に「菜食主義者:韓国語の勉強から受賞まで」と題した記事で翻訳家スミス氏と韓国語にフォーカスを当てた。BBCは「スミス氏が韓国語の勉強を始めたのは2010年なのにも関わらず文学賞を受賞した。翻訳家だけでなくハングルを作った世宗大王も十分受賞する資格がある」と伝えた。米CNNも「読者の心、夢にまでも長らく残るシンプルで美しくかつ心を乱す作品」と受賞を報じた。また翻訳家のスミス氏が21歳までまったく外国語ができなかったことも伝えた。

CNN.jpg

CNNの16日付の記事「『菜食主義者』マン・ブッカー国際賞受賞」



韓国文学を愛する全世界の読者も今回の受賞に興奮を隠せずにいる。この度の受賞を機により様々な韓国文学が英米圏はもちろん、全世界に紹介されることを期待しているためだ。

コリアネットの名誉記者でありながら駐ロンドン韓国文化院で韓国文学ブッククラブの司会者を務めるディヤ・ミトラ(Diya Mitra)氏もそのうちの1人。『菜食主義者』のブッカー賞受賞を報じた17日付のBBCの記事の写真には、韓江氏と並んで立っているミトラ氏も写っている。

20160524_HanKang_04.jpg

韓江氏の『菜食主義者』のブッカー賞受賞を報じたBBCニュース17日付のホームページ。コリアネット記者団のジャケットを着たミトラ氏(左)が写真に写っている



ミトラ氏は「韓江作家が受賞して大変嬉しい。デボラさんと韓江作家には受賞する資格が十分ある。韓江作家の文章は残酷なまでに真実を語り、描写が生き生きしている。『菜食主義者』も良かったが『少年が来る』も非常に読み応えがあった」と興奮を隠せなかった。また、本棚の一角が韓国小説で埋まっているというミトラ氏は「ブッカー賞受賞を契機により多くの韓国文学が英国に紹介されることを願う」と期待を示した。

コリアネット チャン・ヨジョン記者
写真:ナンダ出版社、コリアネット ディヤ・ミトラ名誉記者
翻訳:イ・ジンヒョン
icchang@korea.kr

21963943-2703-42A0-8030-0D0031B323F4@Home.jpg

コリアネットのディヤ・ミトラ名誉記者(左)が今年1月にロンドンで韓江氏に会ったときの様子(写真:キム・ジョンジャ)